story6: ~似た者同士~
「日妃様、良かったのですか?あのまま大反君を彼女の傍に付けて」
「それはどういう意味で言ってるんだ?右腕」
「……何のメリットがあるというのです?あんな“嘘”を信じて」
私は日妃様の意図を測りかねて、尋ねた。
“明らかに嘘を付いている彼女”の言う事をそのまま信じ、“危険”を知りながら、新人を彼女の傍に付ける意味が全く分からない。メリットなど欠片もないその行動にこの人は本当に何か意味を見出しているのだろうか?
返ってきたのは、いつものような曖昧な回答。
「……なァ、“鉄板”を攻めるよりもよぉ、“大穴”を攻める方が見返りがでけぇんだ。それは分かるだろ?」
「……“大穴”?」
「“鬼神”でもねぇ、“子守唄”でもねぇ、“ノイズ”でもねぇ、新しい“最上位クラス”の殺し屋……それがアタイが欲しい配当だ」
大物中の大物の名前を並べあげ、日妃様はにやりと笑った。包帯から覗く鋭い目がこちらを向く。
「……分かるか?そんなデカイ配当を手に入れるには、“大穴”狙いっきゃねぇだろうよ?そこらで名の売れてる程度の奴じゃねぇ。もっと名も知れない、得体の知れねぇ奴がいい。その中から独自の予想をもって“大穴”を探し出すんだ」
「……と言うと、その“大穴”とは」
「“吸血姫”。お譲ちゃんの背負ってきたネギをそのまま頂いちまおうって寸法だ」
正直、日妃様の考える事は理解できない。まさか気の狂っているとしか思えない殺人鬼が欲しいとは。彼女はいつでも我々の考えの外側に居るように思える。それは“三大勢力”のボス故なのかは分からないが。
まあ、百歩譲って“吸血姫”の獲得が目的であったとしても、不可解だ。何故、新人の大反君を付けたのか。
「では何故、大反君を?もっと手堅い駒は居たでしょうに」
「……バーカ、シロウを付けたのにも理由があるに決まってんだろ?」
日妃様は携帯電話を取り、大量の自分の部下の番号の中から一つを選びだし、電話をかけ始めた。
「アタイが欲しい“最上位”は一人じゃねぇんだよ」
~~~~~~~~~~
闇雲クララの手を引き、人目の付かない道を走る。ジグザグに入り組んだ道を複雑に動きながら追跡者の目を逃れようとする。しかし、追跡者はそう簡単に振りきれるものではない。
「ちっくしょう!何処にいきゃいいんだよ!」
人目の多い通りに出たら、確実にヤバい事になるだろう。こいつらは平気で周りの人間に手を出しそうだ。しかし、このまま逃げていても、地理に疎い俺では逃げ切れなくなる。それだけでなく、今は闇雲クララという、言っちゃ悪いが“足手まとい”がいる。
戦うか?無理だ!こんな化け物二人同時になんて無理だろ!
手詰まりか?最早、それ以外に考えなど浮かばない。
「ちっ!」
後ろから徐々に迫る殺人鬼二人と距離を取る為に、忍ばせたナイフ二本を投げて牽制する。勿論、“八つ裂き鬼”は刀で防ぎ、“吸血姫”はナイフをビスケットのように噛み砕く。しかし、僅かに距離を離す。
「逃げるな!八つ裂きにしてやる!」
「八つ裂きにされたら困るわぁ……私のご飯がなくなっちゃう……」
キンキンと金属音が後方から聞こえる。どうやら、追跡を続けながらも二人の殺人鬼は交戦を続けているようだ。このおかげもあって、連れが居ながらも俺は上手く逃げきれているらしい。しかし、それももうもたない。
「…………いい加減に……殺す」
“八つ裂き鬼”は低い声を漏らした。その瞬間に感じる悪寒。俺が振り向くと、そこには“八つ裂き鬼”が投げ放った刀が飛んで来ていた。俺がそれに気付いた時、既に手を繋いで居ない片方の手でのガードは間に合わなかった。俺は咄嗟に闇雲クララの手を引き、前に放り、自らの背中を刀の盾とする。
あ、刺さったわ。
徐々に迫る刀が何時自らの体を貫くのか、そんな恐怖に包まれながらも俺は死を覚悟した。
~~~~~~~~~~
俺の電話に突然、組長の電話が入った。俺はすぐに電話を取る。
「組長、どう致しました?今日はオフなんですが」
『まァ、イイじゃねぇか潜!お前さ、今から伝える場所に行って一仕事してこいや』
「何をするんですか?殺しは勘弁。休日まで血に汚れたくねぇもんで」
『違う違う!“護衛”と“言伝”だ!……そういやお前、今行ったらいい事があるんだがなぁ~?』
組長は何やらくすくすと笑いながら、勿体ぶるように言う。だが今、俺は一世一代のチャンスと戦っている。今、この周辺に居たらしい“闇雲クララ”を探しているのだ。直に彼女に会えるチャンスよりもおいしい仕事などある訳が
『“闇雲クララ”が泣いてるぞ~?今、助けに行きゃあお前……ムフフな事が待ってるんじゃね?』
「行きましょう!」
即断だ。何故、組織に属する人間が上司の命令に背く事が出来ようか?そうだ、俺は日妃組の一員だ。どんな仕事でも請け負おう。別にやましい事などない。
『じゃあ、状況と場所を説明するぜ?それと、そこに居るシロウに伝えて欲しい事もな!』
四朗?何故、新入りのアイツが?おい、俺を差し置いてクララちゃんと何してるんだあいつは?
とまあ、冗談を言っている場合でもなさそうだ。組長が電話を掛けてきたという事はかなり急ぎの用事なのだろう。
「ええ、お任せを」
俺は身なりをきちんと整えて、組長の指示をしっかりと脳に刻み込んだ。
~~~~~~~~~~
「おい、新入り……情けない格好を見せるな」
俺に刀が届く事は無かった。響いたのは聞き覚えのある声。
「潜……先輩?」
暑苦しいコートに身を包み、マスクグラサンの完全不審者が俺の背後に立ち、その刀を受け止めていたのだ。先輩はこちらを向き、二人の殺人鬼に背を向けると、何もないかのように普通に話し出した。
「新入り。組長からの命令だ」
「お前も来たか…………殺す殺す殺す!」
八つ裂き鬼が再び手品のように生み出した八本の刀を先輩の背中に振り下ろす。しかし、先輩の背中はまるでその凶刃を通さない。ギィン!という金属音だけが響き渡る。先輩は俺にただ一つ、とんでもない指示だけを告げた。
「“吸血姫”を捕獲しろ。“八つ裂き鬼”は俺が相手してやる。分かったらとっととここから離れろ。こいつは俺が引きつけておくから、“吸血姫”をおびき出せ」
「………………ハァ!?無理無理無理無理!あんな化物を捕まえろ!?何言ってんのアンタ!?」
先輩は何度も振り下ろされる刀を背中に受けながら、親指を立てた。
「ここは俺に任せて先に行け……」
「何格好つけてるんすか!?明らかにヤバい方を押し付けられた気がするんスけど!?」
「俺の事はいいから行け!!」
「…………分かりましたよ!行けばいいんでしょ!」
俺は再び闇雲クララの手を引き、走り出す。ああは言ったモノの、先輩には感謝している。一人を抑えてもらえるだけで随分と勝手が違うからな。
「…………死ぬなよ、新入り」
「……人の心配してていいのか?僕はお前も殺したかったんだよ?」
“八つ裂き鬼”は、潜に全ての刀を受け止められながらも、焦りを見せることなく、むしろ不敵な笑みさえ浮かべていた。対峙する二人の横をすいっと“吸血姫”がすり抜ける。
「……さて、軽く始めるとしようか」
「僕はまだまだ本気じゃないよ?遊ぶ暇なんてないと思うよ……!」
刀を何本か投げ捨て、“八つ裂き鬼”は一本の刀だけを構える。それに対し、潜は武器は己の拳一つと言わんばかりに、何も持たずにただ構えを取った。
「……あっちのチンピラも僕が殺したかったけど……仕方ないか」
「餓鬼……喧嘩を売った相手を間違えたな」
~~~~~~~~~~
「……離してください」
「はい?」
それは先輩の助けと無茶振りが入ってから、暫くの間逃げ回っている時、突然放たれた言葉だった。声の主は当然彼女しかいない。彼女は俺の手を無理矢理振りほどくと、そのまま立ち止まった。
「ちょっと何言ってんすか?殺されちゃいますよ?」
「いいですよ。貴方は逃げたらいいじゃないですか」
此方を鋭く睨みつけ、闇雲クララはくるりと背中を向けた。ある程度距離を離したとはいえ、“吸血姫”はまだ追跡を続けているのだ。ここまで来るのもすぐだろう。
「馬鹿な事言ってないで!」
「“吸血姫”の狙いは私ですよ?私が残れば貴方は逃げられますよ?先輩さんが貴方狙いの殺人鬼を足止めしてるみたいですし」
「いやいや、アンタ残したら俺殺されますから。主に先輩に」
突然、何を血迷った事を言ってるんだこの子は?まあ、元からヘンな子ではあったがここまでとは。しかし、まあ困った事になった。このまま変に駄々を捏ねられてちゃ埒が明かないな。ここは一発ぶん殴って……いや、女の子にそんな事できるかっての。じゃあ、どうすればいいか?もう答えは一つだけだろう。
「はいはい、分かりましたよ。好きにすればいいじゃないっすか。自殺志願者を引き留めるほどお人よしじゃないっすよ?俺は」
「……そうですよ。そのまま黙って逃げればいいんです。さようなら、四朗さん」
俺は既に決定を翻す気などない。俺はそのまま闇雲クララに背を向けると、再び走り出した。
~~~~~~~~~~
私の手を引いていた男、大反四朗は私の「逃げろ」という言葉に思いのほか素直に従って、とっとと逃げ去ってしまった。
「まあ、これでいいんですけど」
適当に強がりを吐いてみる。いざ、自分の“死”が間近に迫ると、緊張するものらしい。ずっと望んでいたのに。そんな私の前に“死”はゆっくりと歩み寄ってきた。
「あらら?ようやく止まってくれたの?」
「ええ」
私は軽く頭を下げる。これから自分を殺すであろう殺人鬼に。
「突然逃げるんだもの。びっくりしちゃった♪」
「あの男が勝手に引っ張ってっただけです」
そう、あの男が勝手に引っ張って行っただけ。ファンに見つかったあの時も勝手に。別に私はそんな事を望んでいないのに、勝手に私を助けるつもりになって。その勘違いっぷりが面白いから沢山遊ぼうかと思ったけれど、やっぱり大して面白くもなかった。
「じゃあ、いただきます♪アナタの人生どんな味♪さぞかし甘い人生でしょう♪」
この殺人鬼は何か勘違いをしている。私の人生なんて甘くもなんともない。ファンは居るけど彼らの欲するのは“私自身”では無くて、私という“虚像”。“嘘”で塗り固められた私の仮面。人間として私は欲されてなど居ないのだ。当然だ。一番私を愛してくれる筈の人間が私を愛していないのだから。
何より、私の人生は所詮、“金”で換算できるもの。そんな人生、金に興味もない私にとって、ドブに捨ててもかまわないもの。
「あ~あ、楽しい人生でした」
私は最期に一番の大嘘をついた。
殺人鬼はその口をあんぐりと開け、私の喉元をじぃっと見つめると、ゆっくりと口を近づけ……
バリンッ!
あれ?私の首ってこんなに固いっけ?まるで割れたみたいな音がして……
冗談はやめておこう。私の目の前には、悲しげな目をした殺人鬼がナイフをバリバリと噛み砕きながら、私ではなく私の後方を見ていた。
「あっちゃ~!やっぱり不意打ちも駄目か!」
「どうして?どうして邪魔するの?」
それはさっき逃げた筈の男の声。
「どうしてって……あとで上司に怒られるのが怖いからだよ!」
ナイフを咥えたままの殺人鬼の顔に、私の横を通り、一発の拳が叩き込まれる。
~~~~~~~~~~
「どうして……戻ってきたんです?」
闇雲クララは腕を伸ばした俺と殺人鬼の間に立ちながら、平然と言葉を発した。こいつ、図太すぎるだろ。この状況で平然と話せるか普通?
俺は拳を引き、闇雲クララの腕を引いて後ろに下がらせる。
「……ったく、最初からそのつもりだったからに決まってるっしょ!コイツ、どんな攻撃も食っちまうからアンタを囮にしてだな……」
「最低ですね。女の子を囮にするなんて」
「何生意気言ってんスか、半べそかいてたくせに。本当に見捨てるとでも思ったんスか?変に捻くれた嘘ばっかりつくから行けないんスよ?」
「な……!?泣いてません!貴方の目は節穴ですか!?私はどう見ても泣いて……ふにっ!?」
俺はハンカチを顔に押し当てて、彼女を黙らせた。
「分かったから目閉じてな。ちょっと、オゾマシイモン見せる事になりそうなんで」
「…………はい」
彼女は素直にハンカチで顔を隠した。さっきから表情でマル分かりなんだよ。強がりばっかり並べて、自暴自棄な振りばっかりして、嘘ばっかりついて。
「さて……今ので、口を封じれば攻撃が通ると分かった所で……始めますかね、“吸血姫”さんよぉ?」
「…………痛い。私の血が……血が……血がぁぁぁぁああああああ!!」
“吸血姫”の鼻から血が滴り落ちる。ああ、女に何してんだ俺。もっと優しく扱ってやらないとなあ。
「お~怖っ!足がブルってきたよ!だけどまあ、ここで逃げたら後が怖いし、いっちょやったるか!」
「血、血、血、血ィィィィィィィィィ!」
青い目をギラリと光らせ、“吸血姫”が襲いくる。俺は懐に残り三本となったナイフを確認し、その内の一本を取り出し、構えた。
ギィン!
俺の放ったナイフを“吸血姫”が思い切り噛み砕く。俺はそれに合わせて、再び“吸血姫”に飛びかかった。
~~~~~~~~~
ついに“反射光”、大反四朗が“吸血姫”に向かっていく。ようやく待ちに待った展開に突入した訳だ。
先程はナイフを咥えた隙を付いて、シロウが“吸血姫”の顔面に一発を叩きこんだが、今度はそううまくはいかない。“吸血姫”はナイフを噛み砕くと、すぐに口を開き、接近するシロウを迎え撃った。
「うおっ!?」
シロウはその危険性を察知し、開かれた口の前で拳を止める。正解だ。このまま拳を前に突き出していたら、恐らく手をぐちゃぐちゃに噛みつぶされていただろう。
「……イタダキマス♪」
攻撃を止めたシロウを見て、“吸血姫”はにっこりと笑うと、その口をガチガチいわせながら、シロウの方に前進する。
ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!
「おほっ!?おわっ!?あぶねっ!?」
その一噛み一噛みを後退しかわすシロウだが、すぐに下がる事は出来なくなる。後ろには闇雲クララ。これ以上下がれば、最初から狙っている彼女に“吸血姫”は飛びかかるかもしれない。シロウはぎっと歯を鳴らすと、残り少ない武器、ナイフを懐から取り出し、“吸血姫”に投げつける。
バリンッ!
近づいたもの全てを反射的に捕食する“吸血姫”は、視認できるナイフは全て噛み砕く。その強靭な顎、頑強な歯、圧倒的な反射神経は近づいたものに確実に噛みつく。その完璧な噛みつきガードをすり抜けなければ、こいつに近づく事は不可能だろう。
だからこそ、シロウはナイフを食う隙をつきたかった。しかし、“吸血姫”も馬鹿では無い。一度受けた手を何度も受けるような真似はしない。シロウは素早く抑えにかかるが、当然の如く反撃が待っている。一体、シロウはどうするつもりなのか?
グチュッ!
嫌な音が響く。肉が食いちぎられる音だ。成程、そういう手ね。
「…………痛ッ!……おらァ!」
シロウは自らの左腕を犠牲に、右手で“吸血姫”の額を抑える。そして、そのままその表情を苦痛に歪ませながら、固い床に“吸血姫”を叩きつけた。
「ぎっ!?」
「ッ……どうだッ!?」
短い悲鳴を上げ、“吸血姫”はシロウの腕を口から解放した。血の滴る左腕をぶら下げながら、シロウはふらふらと後退する。今のは相当、効いただろう。最早、動かないはずだ。
「立つなよッ……!」
シロウは懇願する。しかし、“このまま終わっちゃ困る”。
「い、いだい……!どうしてこんなにひどい事するのよぉ……!私は……血が……欲しいだけなのにぃ……!いじわる!いじわる!いじわる!いじわる!」
“吸血姫”は立ち上がる。その血の滴る後頭部を抑え、目に涙を浮かべ、食いちぎった肉片をガムのように噛みしめながら、その身をふらふらと起こした。
「マジかよ……!こんなの拘束どころか殺せもしねぇって……!」
泣き事を言いながら、シロウは顔を歪めた。もう動かない左腕は犠牲に出来ないだろう。そうしたら右腕を差しだすか?まさか、そんな馬鹿な真似はしねぇよな?シロウ?
「日妃様。そろそろ私が助けに入った方が……」
「右腕。この状況で右腕を差し出すのは馬鹿のやる事だろうがよォ?お前は黙ってろい!」
「しかし、本当に不味いのでは?」
「アタイに任せときゃいいんだよ」
右腕がシリアスな顔で今にも飛び出していきそうなので、足を思い切り踏んづけて、制止する。そして、そろそろじっと見ていてもシロウが危ないので、そろそろ出ていく事にした。
路地の曲がり角から顔を出し、戦うシロウに声をかける。
「おい、シロウ!だらしねェな!」
シロウはこちらを振り向き、情けない表情を浮かべる。
「ボス!助けに来てくれたんスか!?」
「馬鹿野郎!お前がそいつをとっ捕まえるんだよ!」
「無理っす!コイツ、化物っすよ!?それに左腕もう動きません!」
こいつはいっつもビビりみたいに泣き事ばかり言いやがる。“本当は怖くもなんともないくせに”怖がり気取りで、臆病者の振りをしてやがる。ビビりがいつも他人を挑発するような態度とるかよ。こいつはいつも人を舐め腐って……!
「お前はなァ、自分の“才能”ってやつを理解してねェんだ!お前が“反射光”と屋ばれる所以を思い出してみろ!」
「知りませんよ!俺はそんなあだ名、認めてねぇですもん!」
こいつは本当に世話が焼ける……これじゃあ“最上位”なんてどれだけ先の事になるのやら……
“反射光”と言うのは、シロウの殺しの際の特徴から与えられた異名である。
反射するように相手の挙動に合わせて攻撃し、光のように相手に悟られることなく一瞬で敵をしとめる。
強力な反射神経で反射的に動くその特性は“吸血姫”と似ている。しかし、後者の“光の如く一瞬で”という特性はシロウだけの特性。
まあ、勿論、光の速さでナイフを投げる人間など居ない。
「お前はどうやって相手に悟られずにナイフをブッ刺せる?それを良く考えてみるこった!」
「相手に悟られず……?」
これこそが唯一、まともに“吸血姫”とやり合って、打ち負かす事が出来る力。
シロウがそれさえ見出せば……“最上位”候補二人が一気にアタイの手中に収まるわけよ!
シロウは暫く何かを考えた後、懐からナイフを取り出し…………
動いた。