story11: ~蛙と死神~
「クソッ……!」
頬に氷水の入った袋を包んだタオルを当てながら、廊下を歩く。周囲の生徒達はざわざわと騒ぎながら此方を見るが、近付けば目を逸らす。そう、これでいい。こうでなくちゃいけないんだ。
許せねぇ……“アイツ”も、俺を未だに舐めくさってる“教師”も、皆、皆……!
保健室から職員室へ、そしてようやく喧しいお小言から解放された俺は教室へと向かう。いつも通りに、どうしようもねぇ屑から取るモン取ろうとしていたら入った余計な邪魔。しかも、平気な顔で俺に手を出したソイツは、説教こそされたものの、大した処分は下らないらしい。
そして、あろうことかこの俺に、隣の2年C組の教師は説教をしてきやがった。
「どいつもこいつも黙って媚てりゃいいモノを…………!」
教室に入り、置いてあった鞄を持ち上げ、外へ向かう。教室に入った途端に、教室の奴らはビビったように此方を見る。それでいい。
改めて、周りの人間の態度を再確認しながら、俺に手を出したクソ野郎の顔を思い出す。
「三詰……友也ァ……!」
転入生だか何だか知らねぇが、「知らなかった」で済ます気はさらさらねぇ。そういや後ろに見覚えのある女もいたな。確かあいつは2―Cの風紀委員……!
そうだ、そっちの女を酷い目に合わせてもいい……あいつも勿論だが。
あの女も同罪。きっと、“俺の事”を何一つ転入生に教えてなかったんだろう。舐めやがって。
俺を舐めたらどうなるか……教えてやろう、すぐにでも!
復讐のプランを立てながら、俺は校門をくぐる。
泣きながら謝るクソ共を期待しながら、俺はふと道を歩くクソみたいな後姿に気付く。一人寂しく歩くその女は、すたすたと人の群れを避けるように、学校の脇の狭い道へと潜りこむ。それを見て、鬱憤を晴らすのにはちょうどいい、“あの時”は逃がしたしな、と子分も連れずに後を付けた。
幸い、そこにはその女一人しかいなかった。これはチャンスだろう。
「よう、倉井ィ。このまま帰れると思ったか?」
「あ……黒須……君」
その女、“倉井八雲”はびくりと体を振るわせると、鬱陶しい前髪の隙間から、眼鏡の下の死んだ魚のような瞳を俺に向けた。
「良かったなぁ?あんな正義の味方気取りに助けてもらって……でも、あれで済むと思ってたか?」
「あの……あの……」
もじもじと体を動かしながら、視線をあちこちへと泳がせる倉井。唇はふるふると震えており、怯えている事を全身で表現していた。
倉井の次の一言を待つ。睨みつけ、決して逃がさないようにその姿を捉える。倉井はひとしきり周囲を見渡し終え、“誰もいない”事を確認したようだった。馬鹿が。助けなんていねぇよ。あんな“馬鹿”、そうそう居る筈がねぇ。
「……********」
ぼそり、と倉井が何か声を発した事だけは分かった。それは突然の事。周囲を確認し終えた倉井は、突如その死んだ魚のような濁った瞳を地面に落とし、ぼそりと、何を言ったのか聞き取れないほど小さな声で呟いた。
「なんて言った?……オイ!」
俺は倉井に詰め寄り、胸倉を掴んだ。何時もなら、こいつは怯えた表情で此方を見る。そして、唇を震わせながら、ただだんまりとしているだけだ。そして、最後には金を出す……その筈だった。
しかし、倉井の口から発せられた言葉は俺の意表を突く。
「……失せてくれます?」
「……はぁ?」
「“失せてくれます?”、そう聞いたんです。こんなか弱い女の子を苛めて王様気取りとは滑稽ですね」
聞き間違いかと思った。しかし、倉井は続ける。
「放してくれます?さもないと、人を呼びますよ?」
「……お前、調子に乗ってるだろ?あの馬鹿に助けられて。それに解ってんだろ?人なんて来ねぇよ!……ああ、一遍分からせてやろうか?再確認だ。俺の怖さ、教えてやるよ」
拳を振り上げ、その死体のように白い肌に狙いを定める。それでもなお濁った瞳で虚空を仰ぐ倉井は、その口を僅かに歪ませ、地獄の底から響くような声を発する。
「嘘です」
「“人を呼ぶ”、そんな必要ありませんし……私は“か弱い女の子”でもないですよ?」
ぞっとした。こいつは“普通の高校生”じゃない。身近に見ているからこそ分かる。こいつは“殺し屋”のそれと同じモノを持ってる。そう直感した時にはもう遅い。
俺の首筋には冷たく、鈍い光を放つ刃が付きつけられていた。
「ちょっちょっちょっ!ないわー!クララちゃんに手をかけるって!ないわー!笑笑!」
「ネコ、止めとけ。一般人は“殺す”な。その汚い手を退かす、それだけでいいだろ?な、ヤクモ?」
「ないわー!私達の可愛い可愛い“アイドル”を、傷モノにしようとしてる奴を“バラさない”?ないわー!私はやっちゃうよ?やっちゃうよ?はい、死亡~~!」
背後に立つ喧しい女は、その指先の刃を軽く俺の喉元に触れさせる。何だ、こいつは?何だ、こいつは!?殺す!?ふざけるな!俺を誰だと思って……!
汗が噴き出す、体が震える、ありえない、ありえない、ありえない!おかしくなっちまった、あの転入生のせいで!全てがおかしくなっちまった!
ぷすり
血が地面に落ちる。女の爪が血で濡れている。刺された。刺された。刺された……!?力が抜けるのが分かる。腰が力なく落ち、女の腕による拘束が解ける。へたり込んだ俺を見下すように見下ろす倉井、そして前に回り込んできた男と女。おれを刺したであろう女は、その手を見せびらかしながら、にやりと笑った。
「にゃ~~~~んちゃって♪」
その手には傷跡。ぽたぽたと血を滴らせるその手を、女は俺に見せびらかした。そう、女は自らの手を刺していたのである。俺の首には傷一つない。ただ、体の震えは止められなかった。
何だこいつら、何だこいつら……!
「……“この格好”の時は、“クララ”は止めてもらえませんか?」
「クララちゃんはクララちゃんじゃな~い!」
「ネコ、止めとけ。素性がばれるのは宜しくない。まぁ、“コイツ”には十分脅しをかけたからいいが……周りに聞かれるとな」
“クララ”、そう呼ばれた倉井八雲は、俺にまるで興味がないように、とっとと踵を返すと、道の奥へと進んでいく。
「ねぇ、クララちゃ~ん!今日はさぁ、お買い物付きあって欲しくて迎えに来たんだけどぉ!可愛いバッグ選ぶの手伝って~!」
「ネコさん……私の立場、一応分かってます?“今は”、根暗な苛められっ子ですよ?それが楽しげに女友達とショッピングしてたらおかしいでしょう」
「なら、一度帰ってからキャラ変えするとかさぁ!」
「帰ったら仕事です」
ネコと呼ばれる女と共に、去っていく倉井。一人残った男は、地面に腰を落とす俺を一瞥すると、忠告した。
「“関わるな”。お前を案じて言っている。さもないと……“あの子”に“遊び殺されるぞ”」
男はそのまま倉井とネコの後を追い、去る。
俺の“日常”は壊れた。たった一人、たった一人の転入生のせいで……
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彼は“黒須秋流”、木隠学園高校2年D組の一生徒である。それと同時に、殺し屋派遣会社“黒須人材”の社長、“黒須夏樹”の一人息子である。
茶髪にピアスの不良生徒で、その鋭い目付きと、口の下にある黒子がチャームポイントである。
自らの家の会社を後ろ盾に、今までずっと校内を胸を張って歩いていた彼には、忠実な僕とも言える子分達が大勢いた。皆、彼を恐れている。正確には、彼の後ろに構える“殺し屋”を。
秋流は、赤く染まった頬を冷やしながら、事務所のガラス戸に手をかける。戸を開くと、受付のカウンターがあり、その奥に幾つかのデスクが並ぶ。その奥の目立つ席にはいつも通りに腰をかける彼の父が、そしてそのわきにはいつも通りに社長である彼の父に文句を垂れる一人の女が居た。
「仕事がないと食うのにも苦労する、それはお分かりか?」
「ええ、ええ、分かってますよ。でも依頼が無いんじゃ仕方ないでしょう?」
「何故、私には依頼が入らないのか?それだけが理解できないのだが」
「う~ん、貴女の仕事っぷりがニーズに合わないんでしょう。でも、大きな仕事は貴女に回って来るんだから……」
「しかし、流石に最近仕事が少なすぎるのだが」
「いいじゃないですか。“殺し”の依頼なんて少ないくらいが」
「いや、私の生活がかかっているんだぞ?」
「だったら、少しくらい“汚い”仕事も受けたらどうです?」
「断る」
「もう!我儘は勘弁して下さいよ!……っておや?秋流。帰ってたんですか?」
「おお、坊っちゃん。お帰りなさい。どうだ?私を登下校時のボディーガードに雇わないか?」
「息子にたからないで下さいって!」
いつも通りの事。マフラーにコート、手袋にマスクにニット帽、防寒装備完備のその女は僅かに目元の肌だけを露出させる。冬ならその格好でもおかしくはないが、今はまだ“春”。とてもじゃないが、そんな恰好では暑苦しすぎる。
特徴はその防寒装備、そしてその上に羽織るようにかかる美しい黒髪、それだけの特徴で広く知られるその女は、人々からは“子守唄”と呼ばれた。勿論、“殺し屋”である。
「……いらねぇよ。それより、親父。頼みがある」
「頼み?珍しいですね、何です?」
秋流とは対照的に、柔らかい物腰で話す父、夏樹。眼鏡に、ピシッと整えられた前髪が真面目な印象を与えるその男は、実際に温厚でとても“殺し屋派遣会社”の社長とは思えない男だった。
「俺を舐めた奴が居る。殺し屋貸せ」
「お断りです」
簡潔な秋流の要求を、笑顔で夏樹は突っぱねた。いつもの事である。
何を隠そう、秋流は今まで幾度となく、父の会社の殺し屋を使おうとした。しかし、実は全て父親に拒否されているのだ。
「見ろよ、コレ!怪我させられたんだぞ!」
「お断りです。と言うより無理です。子供の喧嘩に付き合う人が居ません。多分、笑って無視されますよ」
「ふざけんな!社長なんだろ!?命令して仕事させりゃいい!」
「“社員”は“社長”の“道具”じゃありません。大切な“ビジネスパートナー”です。第一、命令できる訳ないでしょう。“殺し屋”ですよ、おっかない」
「腑抜けが……!」
夏樹は何時でも、物腰柔らかく部下に接する。それは、その人柄もあるが、相手が恐ろしい“殺し屋”だからでもある。むしろ、本人は後者の理由を何時でも丁寧な自分の態度の理由に挙げていた。実際、緩い彼の下で働く“殺し屋”達は、彼を舐めてかかる事はあっても、決して非難はしない。それなりに頼りになる“ビジネスパートナー”として認めているのだ。それが、彼の元にそれなりの人材が揃う理由でもある。
しかし、力を手元に置きながら、腰が引けっぱなしの父親を秋流は心底嫌っていた。
秋流はすぐさま、その視線を“子守唄”に向ける。目もマフラーやマスクに埋もれがちで、その表情を伺いにくいが、昔から度々話をする程度の仲であったので、秋流と“子守唄”はそれなりに親しく話す間柄であった。今では悪ぶっていて、秋流も前ほど“子守唄”と接しなくなったが。
「おい、さっきボディーガード云々言ってたよな?金なら出す。だから、“殺し”を頼む。憎たらしい奴が居るんだよ……!」
久しぶりに、秋流から話しかけられた“子守唄”はその表情を見せずに、暫く沈黙した。「放っておいて下さいよ」という夏樹の声が届いているのかも分からない。何を思ったのか、“子守唄”は、すたすたと秋流に歩み寄る。
「幾ら欲しい?」
「子供の喧嘩に関わらないで下さいよ!」
夏樹の注意、秋流の質問を黙って聞いていた“子守唄”は、ぽんと秋流の肩に手を乗せる。そして、「坊っちゃん」と軽く呟く。
バンッ!
それと同時に、響いた激しい音。それは秋流の赤くないもう片方の頬を、勢いよく“子守唄”が打ち抜いた音。
それこそ、手袋のクッションがあったお陰か、乾いた響きこそなく、三詰に打たれた時ほどみじめな姿を晒さなかったものの、ごろりと秋流は地面に転がされた。
倒れ、頬を抑え、何が起きたのか理解できないまま秋流は“子守唄”を見上げる。それを呆れた目で見下ろしながら、“子守唄”は膝を曲げた。
「坊っちゃん。喧嘩を人に頼るようになっちゃあ、男もお終いだ。私は薄汚い人間には従わない、わかるかい?」
「……て、てめぇ何叩いて」
「私は気が立ってる。何時から坊っちゃんはこんなになっさけない男になったのやら」
マフラーをグイッと下げ、マスクをずらし、ぎろりと見開かれた目で“子守唄”は威圧的に秋流に言い放った。
「幻滅したよ。その腐った根性、治せるまでは顔を見せるな糞餓鬼……!そしたら、話ぐらいは聞いたげよう」
秋流は震えた。父の会社でも、この“イリーガルシティ”でも“最強”と言われる、Sランクの殺し屋、“子守唄”の迫力を目にして。
秋流が小学生の頃から優しく接してきてくれたその“殺し屋”の、“恐ろしい一面”を目の当たりにしたのは、それが始めての事だった。
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「すみませんね。本当ならそういうのは父親の私の仕事なんですが……」
「全く……どういう教育を施せば、ああなるのやら……暫く目を離した隙にとんだ屑になったものだ」
“子守唄”はマスクとマフラーを直しながら、私を睨みつける。昔から何かと息子の世話を焼いてくれていた彼女は、我が社のエースであると同時に、家族の一員のような存在でもあった。
「ははは……母も姉も、早くに失ったあの子を叱る気にもなれず……放任主義を貫いたせいでしょう」
「さて、どうだか。叱ろうと叱るまいと、人間は“その程度”で“ああ”はならないように出来ている。馬鹿のメーターを振り切ったのは、もっと原因があるのでは?」
別に彼女は私をフォローした訳ではない。その冷たい視線がそれを語っていた。それは他にお前に原因があるのだと、そう告げていた。彼女なりの気遣いを受けて、私は笑顔で礼を言う。
「ありがとう」
「礼を言う場面じゃないだろうに。仮にも部下だぞ。それに好き勝手言われてよくもヘラヘラ笑っていられるものだ」
「それを君が言うかね?」
“子守唄”はふんと入り口の方を向くと、カウンターを飛び越え、戸に手をかけた。
「後できちんと“子守り”の報酬は戴くぞ。何たって私達は“ビジネスパートナー”なのだから。“サービス”はなし、だ」
「……ええ。報酬は弾みますよ。どうか、宜しくお願いします」
此方を向くことなく、そうとだけ告げると、 “子守唄”は外に出ていく。事務所を飛び出していった秋流の後を追う様に。
「……何があの子にあったのやら」
次第に荒れていった息子の様子は知っている。でも、無視してきた。
「“きっかけ”は分かりませんが……」
でも、今、それに向きあう時なのかもしれない。私は今更ながら考えを見つめ直す。
「きちんと話す“きっかけ”になると良いですね」
その言葉が、どれだけ無責任かは分かっていた。そして、“子守唄”が自分に何を言いたかったのかも分かっていた。いい顔をしても結局は“人任せ”の自分を嘲笑しながら、私はただただ、社長の椅子に腰をおろして、息子と部下の帰りを待つ。
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“敵を作るな”
それは“イリーガルシティ”で生きる上で、最も重要な定石。
それは例え高名な“殺し屋”であっても、例え大きな権力を持っていようとも、“生きていたいなら”守るべき絶対の条件。“例外”など無いのだ。
「毎度ありィ!承ったぜ、承っちゃったぜェ、オイ!」
男は、ビニールシートを引いた上で、簡単な段ボールの看板を立てて、その店を開いていた。そこに、複数の学生たちが集まり、その“仕事”を依頼する。
体中に痛々しい傷跡を付けたその男は、学生達から受け取った封筒の中身を何度も確認しながら下品な笑い声をあげた。
その金額は、この怪しい男に差し出すにはいささか大き過ぎた。
しかし、学生たちはインターネットやその他の情報網を駆使して、既にこの男が信用に足る者だと判断していた。大きすぎるその金額も、男の“実績”を見れば、ずっと安いものだった。
男の掲げる看板には“喧嘩屋”の文字。
“喧嘩を代行する”と謳ってはいるモノの、その男が刻んできた“実績”はそんな生ぬるい言葉では語れないほどだった。
「んでさァ、金貰ってから聞くのも可笑しいけどよォ……“俺に頼む”ってのがどういう意味か分かってんのか?えぇオイ、真面目な学生さんよぉ?」
「……それは“殺す”事に付いて聞いてるんですかね?」
“殺す”、そんな物騒な言葉を吐いた学生のリーダー格、その歪んだ感情に満ちた目を見て、男はげらげらと笑い転げた。
「ぎゃははははははは!最近の餓鬼は怖ええわ!例えこの町が荒んでいようとも……こうも簡単に命のやり取りに手を触れちまうか!」
「……で、受けていただけるんですか?」
リーダーの言葉に、男はぴたりと笑いを止めた。まるで、今までの大笑いが演技であるかのように。
「ッたりめェだろ。ま、俺に依頼をした以上!例え、“鬼”が出てこようが“殺し屋”が出てこようが、胸張って構えてな!ぎゃははははは!」
「…………では、明日の夜7時にまた……」
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「本当に大丈夫なのかよ?あんな奴で……もしかしたら、ヤバい殺し屋が出てくるかもしれないんだぞ?」
「大丈夫だよ……“万が一の為”に、あの人に“喧嘩代行”を頼んだんじゃないか」
“喧嘩代行”、一見穏やかではないその言葉。学生集団の後列に居る少年は、その響きに、“それ以上”の恐ろしさを感じながら、その肩を震わせた。
「ちゃあんと……殺してくれるさ。何たってあの……“凪原”だよ?」
“喧嘩屋”凪原
“イリーガルシティ”にて密かに噂される男。
喧嘩を代行し、その相手を容赦なく“殺し”にかかるその男は、“喧嘩屋”という商売人と言うよりは、“喧嘩屋”の異名を持つ、格安の“殺し屋”のような存在だった。
名の知れた殺し屋でさえも手にかけるという、そんな危険な男に依頼をしたリーダーは、罪の意識もなさそうに、ただただ嬉しそうににやりと笑う。
「楽しみだなぁ……なぁ、黒須君……!」
“敵を作るな”
その定石を無視した愚者が、どういった末路を辿るのか……それがまさに示されようとしていた