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The illegal City ~罪人の宴~  作者: 裏通
Case3: ~継観美月~
10/13

story9: ~継観美月、波乱の一日~



 トレードマークの紫のバンダナを巻きなおし、店主、只野忠は眼鏡をくいっと持ち上げる。そして、私が訪ねてきた“理由”を知る彼は勝手に話を始めた。


「いやぁ~、しかし悪いね。美月ちゃんには申し訳ないけど……やっぱり“駄目”なんだよね」

「……そうですか」


 “奴”の情報、何年も待ち続けても手に入らないその情報が今、偶々入っている訳もなく、私はがっかりする事もなかった。“運が良ければ”程度、宝くじを買う程度の気分でここに週一回訪れているだけなので、それ自体はあまり問題ではない。

 今回、私にはもう一つの目的があった。


「今回は他に依頼があるので……」

「ん?他に?何かな?」

「定期的にここらでの“要注意人物”のリストが欲しいんです」


 “要注意人物リスト”


 それはこの“イリーガルシティ”でも特に注目される情報。それはとある機関によって定期的にまとめられ、情報を発信される。それは一般人にとって“危険”とされる対象を示しており、それに対する注意を呼び掛ける意味合いを持つ。今まで、私はそれに気を配る機会が無かったが、最近、その習慣を見直すべきかと思い、依頼を出した。


「ふむ、別に君くらいになれば注意すべき相手なんていないと思うけどねぇ?ああ、“野球屋”の件、引きずってる?」

「……やっぱりもうご存知でしたか」


 ついこの間あった出来事を只野さんは既に把握していたようで、話をすぐに理解したようだった。


「何があったかは詳しく知らないけど、油断でもしたのかな?まあ、それだけ注意すれば大丈夫大丈夫。噂で入ってくる程度の奴に注意しとけばいいって」

「いいえ、実力不足ですよ。それにこれは私だけが気を付ければいい問題じゃないので」


 そうだ。これは私だけの問題ではない。三詰クンは恐らく、私なんかよりも圧倒的に“強い”。だから彼に関しての心配はない。しかし、私の周りには強い人間ばかりではない。そんな人達を護るには、私には力が足りない。だからこそ、今後の為にできる事をしなくてはならない。


「…………う~ん、アバウトな情報は僕、苦手なんだよねぇ」

「そうですか……」


 あまりこういった依頼は乗り気じゃないような素振りを見せる只野さん。無理に頼む事も出来ないので、諦めようかと思ったが、そこで思わぬところから声が飛んでくる。


「おや?継観さんではありませんか!珍しいですねぇ。何かお求めの情報でも?」


 ドアを開けて店に入ってきたのは、同じ学校の制服を着た女子生徒だった。眼鏡を掛け、さらにの上、額の辺りにももうひとつ眼鏡を乗せている。耳元には一本のボールペンを挟み、片手には分厚いメモ帳、もう片方の手にはシャープペンシルを持つその賑やかな見た目の同級生は鼻歌交じりで近づいてきた。


「おや?こちらの方は?お会いした事は無かったと思いますが……あ、もしかして転校生さん?」

「はい!三詰友也でっす!宜しく!」

「なはは!これは失礼しました!尋ねる前に私から名乗るべきでしたね!私、2-D所属の“益子雅マシコミヤビ”と申します!マシコなりミヤビなり何とでも呼んでくださいね!新聞部に所属してるので、コレで覚えてくださいね~!私が書いた記事も載ってますんで!」


 ペコペコと互いに何度もお辞儀をしあうと、益子さんはポケットから細く丸めた紙を取り出し、三詰クンに手渡した。


「へ~新聞部か~……益子さんすげ~!」

「“さん”なんて他人行儀な!呼び捨てでいいですよ~同じ学年ですし!三詰さんってそういう方が楽そうなタイプじゃないですか?」

「おお……いいなあそういうの……じゃあ、俺はミヤビって呼ぶから、ミヤビも呼び捨てにしてくれよ~!」

「なはは、これは失礼!他人行儀なのはこちらもでした!じゃあ、トモヤと呼ばせて頂きましょう!」


 いきなり意気投合したらしい二人はがっちりと握手して、互いに笑いあっていた。何故だろうか、私、突然蚊帳の外……


「おっと!継観さん!そういえばどうしてここに?」

「……あ、少し欲しい情報があったんだ。この辺りのここ最近の要注意人物の事とか……」

「あ~!確かにここ最近、この辺りは激戦区ですからね~!だったら、お金を払わなくとも私がリストくらい提供しますよ!」

「え?いいのか?」

「モチのロンですよ!どうせ、“趣味”で集めた情報ですしね!人に喜ばれる情報を……これ、私のマスコミ魂ですから!」


 にっこりと笑って、益子さんはシャーペンをクルリと回した。以前から時折話していて、活発で人柄もよいと思ってはいたが、彼女は想像以上にイイ人だったようだ。


「あ、でもリストに纏めるのに時間がかかるのでまた今度でも?」

「ああ、ありがとう。今度、何かお礼をさせてくれ」

「いえいえ!……と、言いたいところですが、実は継観さんにお伺いしたい事があったんですよ~!今回の情報提供の報酬……という訳ではないのですが、色々とお話聞かせていただけません?」


 それは予想外の言葉だった。私に聞きたい事?一体それは何だろうか?思い当たる節のない私は返答に困った。何かまずい事でも聞かれないだろうか?益子さんは私の表情からその考えを読み取ったかのように、補足を加える。


「あ、いえいえ嫌ならいいんですよ?ただ、“継観さんが野球屋と接触した”という噂を聞いたので是非ともその時の事をお聞きしたかったんです」

「野球屋……あいつに何かあるのか?」

「いえ、私が知りたいのはそっちじゃなくて……」


 ひとまず、“私の欲しい情報”についての質問でなかった事に安堵する。しかし、野球屋絡みの事で、彼女の興味をそそるであろう情報で思い当たるものが一つある事に気付く。そして、それが“話せるようなものではない”ことに気付く。


「“押し殺し”。“野球屋”を破り、“イリーガルシティ”でデビューを果たした謎の人物ですよ」


 クラスで“週刊無法者”片手にクラスメート達が話しているのを少し聞いた。外で一時期有名になった謎の殺人鬼“押し殺し”。その殺人鬼が、この“イリーガルシティ”にやってきたという記事。“コンクリートの壁をもへこませる張り手の持ち主”で、その暴れた場所には無数の手形が残されるという噂である。


 その話を聞いた時、私は一瞬でその正体がわかった。何を隠そう“押し殺し”の暴れる現場に私は居合わせたのだ。“野球屋”に怒り、立ち向かった“押し殺し”、それはまさに今、この場にいる三詰友也本人なのだ。


「“野球屋”と“押し殺し”が戦った場に、居合わせたりしてませんか?」

「……何の事か良く分からないな。押し殺し?そんな殺人鬼なんて知らないな」


 彼にとって、この事実はきっと知られたくないものだろう。私はそう思った。だからこそ、これは隠し通すべきものだと思った。

 彼は優しいのだ。とてつもなく。困るほどに。だから、彼を“殺人鬼”と呼ぶ事に、呼ばせる事に私はどうしても抵抗があった。きっと、彼には何か事情がある筈なのだ。


 益子さんはこちらをじろりと見た。その眼はまるで私の嘘を見透かすようで、少し恐ろしかった。暫くの沈黙。それを破ったのは意外な人物だった。


「野球屋?それってあいつだよね?あのバット持ってたデカイの」

「……あれ?トモヤは会ってるんですか?野球屋に?」


 益子さんの視線が三詰クンの方を向く。私は戸惑いを感じた。三詰クンが何故ここで話に入ってくるのだろうか?下手したら自分の正体がばれるというのに。


「おう!ぶっ飛ばしたからな!“押し殺し”って誰だ?アイツ倒したの俺だけど?」

「ちょっ……三詰クン!?」

「…………え?トモヤ、何言ってるんですか?いやいや、ちょっと待って下さいよ」


 あろうことか三詰クンは自ら、自分の素姓を明かすような発言を続ける。


「……もしかして……つまり……え~と、トモヤに聞きましょう。もしかして、“野球屋”を気絶させたのは……貴方ですか?」

「ああ」

「現場に残っていたという“手形”はトモヤのものですか?」

「ああ、確かに一杯“押した”からなあ。手形結構残してたかもな~」


 もしや、三詰クン……隠す気ない?


「…………もしかして、トモヤ、自分が“押し殺し”って呼ばれてるの、気づいてなかったりします?」

「何それ?俺がそう呼ばれてるの?どうせならもっと格好いい呼び名が欲しいんだけど……」


 瞬間、益子さんの目がキラリと輝くのが見て取れた。益子さんはそのまま掛けた眼鏡を押し上げると、ぐいっと三詰クンの目の前にまで詰め寄った。その近寄り具合に何故か私がドキッとする。


「近い!ミヤビ近い!何だ急に!?」

「それはマジですか?あの手形をトモヤが付けたのはマジですか?野球屋を倒したのはマジですか?」

「ははは、三詰君は面白いなぁ。冗談なんか言っちゃって~」

「冗談じゃないですよ!俺、本当にやりましたし!」


 只野さんはどうも信用していないようだった。何故だろうか、本来ならそうやって三詰クンの事を誤魔化せれば最高なんだろうが、このままでは何かまずい、私の直感がそう告げる。


「じゃあトモヤ、試しにこの店の壁へこませて下さいよ!只野さんもそうすれば納得するでしょう?」

「ははは、やってみなよ。それをやられちゃ僕も信用せざるを得ないなぁ」

「只野さん!煽らないで下さい!三詰クンも止め……」


 私の警告は遅すぎた。いや、仮にもう少し早かったにしても、彼は止まらなかっただろう。大きく振りかぶって放たれた彼の“押し”は


 

 店の風通りをとても良くした






   ~~~~~~~~~~




 只野さんは泣いていた。もう帰っていいよとだけ言った彼の背中はとてつもなく寂しかった。


「いやぁ~~、まさか今一番の注目株の“押し殺し”がこんな身近な人間だったとは!私、感激しましたよ~!」


 商店街をゆっくり歩く私達に何故か付いてくる益子さん。嬉しそうに先程の半壊した店を撮ったカメラを片手に三詰クンの肩に腕を回した。


「いや~それほどでも!」

「三詰クン……少しは反省した方がいい……」


 沸々と内から複雑な感情が湧き上がってくるのが分かる。三詰クンは此方の表情を見ると、しゅんとしてしまった。


「はい……やりすぎました……すいませんでした」

「なはは!まあまあ、継観さん。トモヤを煽ったのは私ですし、怒らないであげてくださいよ?それに只野さんだって煽ってましたから、自業自得ですって!」


 ここ、“イリーガルシティ”の住民には外の常識は通用しない。


 まさか、何年もここで暮らしていて今更その事を痛感させられるとは思っていなかった。しかも、つい最近ここに来た人間にだ。


「…………はぁ」


 頭が痛くなる。それと同時にこれから行く場所でも何か問題が起きるんじゃないかと不安になる。何故ならここまでもれなく暴走してきた三詰クンに加え、その暴走を煽ってくれそうな益子さんまでセットでついてきているからだ。

 しかし、二人を追い払うのは気が引ける。


「継観さん、何処に行くんですか?私もトモヤとお話したいので付いていっていいですか?迷惑じゃなければでいいんですが」

「…………いい。だが、変な事は絶対しないでくれ」

「了解しました~!」


 こういったはっきりしない所は私の駄目なところだろう。はっきりと断ればよかったのだ。でも、「迷惑じゃなければ」なんて言われたら断れないじゃないか……それに、三詰クンもいつまでもそんな可哀そうな顔をしていたら心苦しくなってくるじゃないか……


「……三詰クンも頼むから落ち着いて行動してくれ?私を気遣って付いてきてくれた事には感謝しているんだから」

「……はい!俺、もうむやみやたらに“押し”たりしません!」

 

 やたらと良い返事を返して、三詰クンは笑った。私も彼を落ち込ませないように、彼に笑いかけた。


「で、何処に行くんですか継観さん?私、継観さんの事も気になってるんですよ~?もしかして、“仕事”に行ったりします?あ、でも怪我してるんですよね?」

「ああ、今日はこの怪我の報告に行くんだ。でも、あそこは金曜の夜以外は連絡がつかないからな。時間潰しにあそこに行っていたんだ」

「ほほう。でも、まだ夜という時間でも無いですよ?」

「だから今は“別の”目的を果たしに行く」


 それが一番気が滅入る場所。


「それは一体何です?」

「…………“道場”だ。私が通っているな」


 そろそろ暗くなりだすだろう。今なら“師匠”もいるであろうその“道場”に向けて私は歩を進める。


 きっとかなり怒られるだろうな……そう思うと気が重かった。




   ~~~~~~~~~~




 大分、日の光も見えなくなってきた。


 継観さんは何故か重々しい表情を見せていた。いつも、そこまでヘラヘラしているような子ではない。むしろ、何処か気難しそうな顔をしている彼女だが、その表情はいつもよりも暗く見えた。これから入る“道場”が、今日の彼女を暗くしているのだろうか?

 住宅街に建つ厳格な雰囲気を漂わせるその道場は“御門道場”という看板を掲げていた。


「へぇ~、“御門道場”ですか。成程、継観さんが“強い”理由が分かりましたよ」

「……益子さんは知ってるのか?」

「知る人ぞ知る道場ですしね。普段は子供を見ているだけですから、知らない人も多いでしょうが、私はちゃあんと知ってますよ!」


 継観さんとミヤビは何やらこの道場の事を話している。俺は勿論、ここの事など知らない。


「……この“イリーガルシティ”で名の知れた人物には意外とこの道場出身者が多いんですよね。あまり知られていないようですが」

「名の知れた人物?」

「おっと、トモヤ。これはあまり聞かない方がいいですよ?世の中には知らない方がいい事もある……とまあ、お決まりの文句は置いておいて。楽しい話じゃないから、それで分かります?」

「う~ん、まあならいいや」


 腑に落ちない部分もあったが、別段楽しい話でもないなら聞かなくてもいいかもしれない。それに、何故だか継観さんもあまり聞かれたくない話だったみたいだしな。表情が強張ってたし。


 そんなことより、継観さんもミヤビみたいに俺を呼び捨てにしてくれないかなぁ……


なんて事を考えていると、継観さんは声を発した。


「……じゃあ、入ろう」


 継観さんは静かにその戸を開いた。先に入っていく継観さんの後に続き、小さな声で「おじゃましま~す」と囁き、ミヤビが入る。俺はその後に続き、ミヤビの真似をして「おじゃましまっす」と小声で囁きながら中に入った。


 継観さんは俺が入ったのを確認した後、戸を静かに閉めると、呼吸を整え靴を脱ぎ、手に持った後、道場に上がり込んだ。続いて俺とミヤビも中に入る。


 広々としたその木張りの空間は薄暗く、僅かな提灯の明かりだけが灯っている。そんな中で、入り口の真逆、道場の奥の方にはうっすらと人影が見える。


「……継観美月。後ろに居るのは?」

「……友人です。是非、この道場を見学したいと」

「そうですか。了承しました」


 人影は継観さんと会話を始める。何処となく優しそうなその声は、その奥に不気味な威圧感を秘めていた。


「それは良しとして……それは一体……」


 一瞬、部屋中の提灯の炎がゆらりと揺れた。それと同時に体を突き抜ける悪寒。今まで感じた事のないその不気味な感覚に俺は思わず身構える。




「何ですか?」


 俺達は道場の入り口に立っている筈だった。そして、あの男は確実に道場の奥に居た筈だった。


「え?」


 思わず声が漏れた。道着に身を包んだ細身な男は、継観さんの目の前に居た。黒い布で目をグルグル巻きに縛ったその奇妙な男は気づけば継観さんの包帯を巻かれた腕に手を掛けている。


「痛っ……!」

「継観さん!」


 俺はすぐにその男に飛びかかろうとする。しかし、それを見越したように顔を歪めた継観さんは声を上げ、俺をけん制した。


「大丈夫だから手を出さないでくれ……!」


 俺は踏みとどまる。目隠し男はこちらに顔を向ける。目が見えているかは分からないが、何故かその男は全てを見透かしているように見えた。


「……ああ、すみませんね。弟子の情けない姿を見たらカチンときてしまったもので……君からしたら奇妙な男が友人に暴力を振るっているように見えたかもしれませんね」


 男はすぐに手を引いた。そして、その場に正座すると深く頭を下げた。


「私、この道場を預かる“御門ミカド”と申します」

「あ、継観さんのクラスメートの三詰友也です!」

「益子雅です~、初めまして!」


 先程までは恐ろしい気迫だったその男、御門さんからは既に威圧は感じられず、穏やかな笑みを口元に浮かべたその表情は先程までとは別人のようだった。




   ~~~~~~~~~~




 道場の奥、畳の敷かれた部屋に俺達は招かれる。お茶まで出してくれた御門さんは机に付き、話を聞いていた。


「全く……貴女は甘すぎる、継観美月。私の教えを何一つ分かっていない」

「申し訳ありません……師匠」


 正座をして、俯き気味に弱々しい声を継観さんは漏らした。いつもの凛々しい姿はそこにはなかった。


「そんな殺人鬼に遅れを取った?……しかも“鎖”を持っていなかった?弛んでいる。これはもっと厳しい稽古が必要かも知れませんね……」

「はい……」

「それに……」

「ちょっと待って下さいよ!」


 俺は声を挟んだ。御門さんの顔がこちらを向く。その威圧感が再び顔をのぞかせる。


「何か?」

「三詰クン!止めてくれ!これは……」

「止めない!」


 正直、御門さんは怖い。それも今まで俺が見てきた人間の中でもトップクラスにだ。しかし、継観さんの今の姿は見ていられない。そもそも、この為に俺は今日、ここに来たのだから。


「継観さんが怪我をしたのは俺を助けたからなんです!だから別に継観さんが油断してたからとかじゃないと思うんですけど!」

「違う!もっと私がしっかりしていればこんな事にはならなかった!そんな情けない私を三詰クンは助けてくれただけだろう!?庇わなくてもいい!」

「まあまあ、お二方落ち着いて!トモヤも継観さんも興奮しないで下さい!」


 継観さんは珍しく強い口調、鋭い目でこちらを見てきた。しかし、俺も引けない。継観さんが自分を貶める必要なんてないのだ。


「…………其方で喧嘩をされると私も説教しづらいですね。まあ、小言はこの程度でいいでしょう」

「すいません、師匠……」

「すいません、話の邪魔をして」


 御門さんは何故かふっと微笑むと、すくっと立ち上がった。


「それより興味深い事も出来ましたしね……」


 何故か御門さんがこちらを向いている。


「見詰友也君。貴方が継観美月を護ったのですね?……少し、その力、見せていただけませんか?」

「え?」

「し、師匠!?何を言ってるんですか!?」

「おお!これは面白そうですね!“押し殺し”三詰友也VS“剛腕”御門!これは面白いデータが取れそうです!」



 何故か、継観さんの師匠と力試しをする事になった俺。



 引く訳には行くまいて!俺は一丁、継観さんにいいとこ見せてやるか、と決意した。俺は立ち上がり、御門さんに向かって笑みを送った。


「やってやりますよ!」




 何故か、継観さんが凄い表情でこちらを見ていたが、俺はその時、それに気付かなかった……




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