第11話-決闘-
次回が魔法に関する説明回となりますので、戦闘シーンは深く考えずに雰囲気で感じてください。
「おい、なんだよ。俺は聞いてないぞ! ジェファーとカリンはグルだな……。待てよ、さては4将全員か!?」
突然、私に名指しされたジョンは珍しく狼狽えている。
彼の推察通り、私は4将全員に沈んでいたひと月の間のことを謝って、相談して、そして、今日この時のために手伝ってもらっていた。だって、こうでもしないとあいつはきっと今の私をちゃんと見てくれないから。以前の私みたいに。
「ジョン! この決闘の申し込み、受けるの? 受けないの? ハッキリしなさい!」
「……分かったよ」
「聞こえないわよ!」
「ああ分かったよ!! 1回お前に力の差をハッキリと見せつけて、一体どれだけ俺がお前を守るために必死だったのか! どれだけ俺が傷ついたか! どれだけ俺がお前を本気で愛しているかを分からせてやる!!」
ちょっと、皆の前で何言ってるの……。
ジョンの大胆過ぎる宣言に、顔が熱くなるのを感じる。
「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」
どうしてそこで1番盛り上がるのよ!
私の感情は恥ずかしさの上限を振り切り、むしろ頭に血が上ってきた。この決闘、絶対に勝つ!
「言っとくが、手加減はしないからな。『バルバリア魔法戦線』で最弱の魔法使いだからって舐めんじゃねぇぞ。お前と一生を共にすると決めてから、1日たりとも魔法の鍛錬は怠ってねぇ!」
「私はあんたと出会う更に前、もっと前、ずぅーっと前から弓の腕を磨いてるの! 急所貫かれてあんたが寝たっきりになったとしても死ぬまでしか面倒見てやんないんだから!」
私たちは決闘前の最後の口撃を繰り広げる。
「何を見せられているんだ僕たちは……」
「いいじゃないですか、たまには」
「いいぞ! これでこそ祭りだ!」
「アリスねぇね、ジョン、どっちも頑張れー!」
4将がそれぞれ何か言っているけれど、頭に血の上った私の耳には入っていない。
「「フンッ!」」
訓練場の床に降り、申し込んだ側の私は東の初手位置に着く。深呼吸よ。大丈夫。きっと私にはお母様の精霊が付いてる。あいつは魔法使いとはいえ最弱クラス、絶対に負けない。
「審判はこの私、『バルバリア魔法戦線』4将が1人――カリンが務めさせていただきます。両者位置につきましたね」
落ち着け私。苛立ったままでは弓は言うことを聞かない。ここからは平常心、メンタルがものをいうのよ。
「始め!」
大丈夫。まずはすぐ空中へ上がる。私はあいつが山羊座系魔法しか使えない事を知っている。投擲にさえ気を付ければ大丈――
「え」
「そうだよな、お前は俺が岩石の生成魔法しか使えねぇと思っているもんな!」
私目掛けて礫が飛んできた。飛んでくる時の風圧を羽で感じ取った私は、それを咄嗟に避ける。
普通に飛んでくるならまだしも、礫は不可解な軌道を描きながら次々に私へと迫ってくる。そもそも宙に浮き続けていること、それ自体がおかしい。
これは……別の魔法を同時に使っているわね。
「ほう、あれは……。やるじゃんかカルロ、君が教えたんだろう」
「第1階層も碌に使えなかった癖に第3階層の魔法を会得しちまうなんてな。全く、ジョンは本当に面白ェやつだよ」
「あれは、えーっと、(原種は)何て呼んでたっけ。あ、そうだ!」
「あんた、いつからッ!」
「建築作業中に会得したんだよ。どうだ、ちょっとは驚いたか」
間違いない。礫を制御しているのは乙女座の――動力魔法よ。
「まだまだ小石程度しか動かせねぇけどな。それでも、高速で羽に当てりゃあ俊敏なお前でも地に落ちるだろ!」
そう言って、彼は礫を私目掛けて次々に放ってくる。
一方的にやられるのはまずい。少しでもやり返さなきゃ。
「それだけで私を追い詰めようだなんて、甘いわよ!」
「よっと……その状態でも撃ってくるか」
外したッ! 周囲の礫に気を配りながらだと的が絞り切れない。でも、何となく分かった。至る所に散りばめられてるけど、同時に動かせるのは精々2つみたい。
あいつの魔力量が少ないことは知っている。なら、このまま避け続けて魔力切れを狙う? ……いや、そんなの面白くないわ!
「やああああああああああ」
私は声を張り上げ、全速力で彼に近づいた。
「はぁッ? 弓使いが接近戦だとッ!?」
「どうよ! これくらい近いと迂闊に礫は飛ばせないでしょ? 自分に当たったらさぞかし痛いでしょうねぇ」
「うっせぇ、至近距離から足狙って弓連射なんてどうかしてるぞお前!」
よし、後ろから攻撃が飛んでこなくなった。そうよね、自分自身を巻き込みたくないもの。飛んでくるのが前からだけになって、充分に避けやすくなったわ!
「さっきからあんた私の羽ばっか狙ってるでしょ! お互い様よ! 足に矢ぶっ刺さってすっ転んで恥かけばいいんだわ!」
「なんだと? お前こそいい加減落ちやがれ」
あいつは突然の接近戦に混乱してる。どんどん後ずさりしてることにきっと気づいていないでしょうね。そのまま狙うは……。
「「絶対負け(ねぇ)(ないんだから)!!」」
よし、よしよし、このままこのまま、おーらい、おーらい……。わーい! これは流石に勝ったわ!
……いや、なんか、後ろにとんでもない圧を感じる。羽、というか背中がもの凄い力で押されてるのだけど、ちょ、待、あの、待って待って待って待てええええええええええええ――
「そこまで!」
――――――――――
「まさか……私たち」
「俺たち」
「「2人して反則負け(とはな)(なんて)……」」
確かに、私の目論見は成功した。成功したのよ。彼は場外へすっ転び、あえなく反則負けになったわ。でも、彼が場外に近づくということは接近戦をしている私だって同じ。場外に出る直前に自分の位置に気が付いたんでしょうね。彼は咄嗟に私の背後に防御魔法を展開して、それで私の体を空中に貼られた結界へと無理矢理押し付けたの。
いや、もしかしたら咄嗟でもなんでもなくて、接近戦を挑んだ時点から彼はそうなるように誘導していたのかもしれない。考えることは同じ、か……。
私とジョンはその後、一応、治癒班に診てもらった。そして、何も問題ないことを確認してから、私たちは2人一緒に隣同士の席でこの祭りを楽しんだわ。
「閉会式は、えっと、私、『バルバリア魔法戦線』4将の1人――ルーナが、魔法でショーを行い、ます。えっと、どうか、皆さま、楽しんでいってください、ね」
炎、水滴、宝石が織りなす様々な光が宙を舞い、色々なものを形作った。身近なものから、バルバリア島の地図、夜空に輝く星座まで。
「アリス、綺麗だな」
「えぇ、そうね」
「その、なんだ、すまなかった」
「私こそ、えっと、ごめんなさい」
「俺、これからも頑張るから」
「勿論、頼りにしてるんだから!」
その瞬間、巨大な「バルバリア魔法戦線」の紋章が宙でパッと輝いた。
「皆さま、今日は本当に、ありがとうございました、です」
戦闘シーンに全く自信がありません。誰か私にご教授ください……。




