第11話-決闘-
次回が魔法に関する説明回となりますので、戦闘シーンは深く考えずに雰囲気で感じてください。
「おい、なんだよ。俺は聞いてないぞ。ジェファーとカリンはグルだな。待てよ、おい、さては4将全員か!」
「ジョン! この決闘の申し込み、受けるの? 受けないの? ハッキリしなさい!」
「……分かったよ」
「聞こえないわよ!」
「ああ分かったよ!! 一回お前に力の差をハッキリと見せつけて、一体どれだけ俺がお前を守るために必死だったのか! どれだけ俺が傷ついたか! どれだけ俺がお前を本気で愛しているかを分からせてやる!!」
「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」
彼の察しの通り、私は4将全員に、沈んでいたひと月の間のことを謝って、相談して、そして、手伝ってもらった。だって、こうでもしないとあいつはきっと、今の私をちゃんと見てくれない。以前の私みたいに。
「言っとくが、手加減はしないからな。『バルバリア魔法戦線』最弱の魔法使いだからって、舐めんじゃねぇぞ。お前と一生を共にすると決めてから、1日たりとも魔法の鍛錬は怠ってねぇ!」
「私はあんたと出会う更に前、もっと前、ずぅーっと前から弓の腕を磨いてるの! 急所貫かれてあんたが寝たっきりになったとしても、死ぬまでしか面倒見てやんないんだから!」
「何を見せられているんだ僕たちは……」
「いいじゃないですか、たまには」
「いいぞ! これでこそ祭りだ!」
「アリスねぇね、ジョン、どっちも頑張れー!」
「「フンッ!」」
訓練場の床に降り、申し込んだ側の私は東の初手位置に着く。深呼吸よ。大丈夫。きっと私にはお母様の加護が付いている。最近は私自身飛びながら風で揺れる風船を90m先から狙ったって殆ど当たるようになったんだから。あいつは魔法使いとはいえ最弱クラス、絶対に負けない。
「審判は私、『バルバリア魔法戦線』4将が1人、カリンが務めさせていただきます。両者位置につきましたね」
落ち着け私。苛立ったままでは弓は言うことを聞かない。ここからは平常心、メンタルがものをいうのよ。
「始め!」
大丈夫。まずはすぐ空中へ上がる。私はあいつが地エレメントの牡牛座系魔法しか使えない事を知っている。地面から来る攻撃に気をつけて、落とされなければ大丈――
「え」
「そうだよな、お前は俺が岩石の生成魔法しか使えねぇと思っているもんな!」
私目掛けて礫が飛んできた。飛んでくる時の風圧を羽で感じ取った私は、それを咄嗟に避ける。きっと、風を操る双子座系魔法で制御しているんだわ。動きがまだ単調だから初撃は避けられたけど、これは油断できないわね。
それにしても、風を操る魔法が使えるようになったなんて、やるじゃない! 後で褒めてあげるわ、ジョン。でもね、空気の流れに敏感な妖精種に対して、その魔法は愚策も愚策。甘いわよ! ……待って、違う。礫を宙に浮かせるためには常に下からの風を送り続けなきゃいけないはず。でも現状、私には全くそれを感じない。もしかして、これは……ッ!
「ほう、あれは……。やるじゃんかカルロ、君が教えたんだろう」
「普通なら双子座の方が圧倒的に発現しやすいんだがなァ。全く、ジョンは本当に面白ェやつだよ」
「あれは、えーっと、(原種は)なんて、呼んでたっけ。あ、そうだ!」
「あんた、いつから!」
「建築作業中に発現したんだよ。どうだ、ちょっとは驚いたか」
礫を制御しているのは風じゃない。動力魔法――天秤座だ。
「まだまだ小石程度しか動かせねぇけどな。それでも、高速で羽に当てりゃあ俊敏なお前でも地に落ちるだろ!」
そう言って、彼は礫を私目掛けて次々に放ってくる。一方的にやられるのはまずい、少しでもやり返さなきゃ。
「それだけで私を追い詰めようだなんて、甘いわよ!」
「よっと……その状態でも撃ってくるか」
外した! 周囲の礫に気を配りながらだと的が絞り切れない。でも、何となく分かった。至る所に散りばめられてるけど、同時に動かせるのは精々2つみたい。
あいつの魔力量が少ないことは知っている。なら、このまま避け続けて魔力切れを狙う? ……いいえ、そんなの面白くないわ!
「やああああああああああ」
私は声を張り上げ、全速力で彼に近づいた。
「はぁ? 弓使いが接近戦だと!?」
「どうよ! これくらい近いと迂闊に礫は飛ばせないでしょ? 自分に当たったらさぞかし痛いでしょうねぇ」
「うっせぇ、至近距離から足狙って弓連射なんてどうかしてるぞお前!」
よし、後ろから攻撃が飛んでこなくなった。そうよね、自分自身を巻き込みたくないもの。飛んでくるのが前からだけになって、充分に避けやすくなったわ!
「さっきからあんた私の羽ばっか狙ってるでしょ! お互い様よ! 足に矢ぶっ刺さってすっ転んで恥かけばいいんだわ!」
「なんだと? お前こそいい加減落ちやがれ」
あいつは突然の接近戦に混乱してる。どんどん後ずさりしてることにきっと気づいていないでしょうね。そのまま狙うは……。
「「絶対負け(ねぇ)(ないんだから)!!」」
よし、よしよし、このままこのまま、おーらい、おーらい……わーい! これは流石に勝ったわ!
……いや、なんか、後ろにとんでもない圧を感じる。羽、というか背中がもの凄い力で押されてるのだけど、ちょ、待、あの、待って待って待って待てええええええええええええ――
「そこまで!」
――――――――――
「まさか……私たち」
「俺たち」
「「2人して反則負け(とはな)(なんて)……」」
確かに、私の目論見は成功した。成功したのよ。彼は場外へすっ転び、あえなく反則負けになったわ。でも、彼が場外に近づくということは、接近戦をしている私だって同じ。場外に出る直前に自分の位置に気が付いたんでしょうね。彼は咄嗟に隆起魔法を使用して、地面から岩盤を斜め上に隆起させた。そう、私の体は空中に貼られた結界へと物理的に押し付けられたってわけ。
いや、もしかしたら、咄嗟でもなんでもなくて、接近戦を挑んだ時点から、彼はそうなるように誘導していたのかもしれない。考えることは同じ、か……。
私とジョンはその後、治癒班から治療を受けた。そして、2人一緒に、隣同士の席でこの祭りを楽しんだわ。
「閉会式は、えっと、私、『バルバリア魔法戦線』4将の1人、ルーナが、魔法でショーを行い、ます。えっと、どうか、皆さま、楽しんでいってください、ね」
炎、水滴、宝石が織りなす様々な光が宙を舞い、色々なものを形作った。身近なものから、バルバリア島の地図、夜空に輝く星座まで。
「アリス、綺麗だな」
「えぇ、そうね」
「その、なんだ、すまなかった」
「私こそ、えっと、ごめんなさい」
「俺、これからも頑張るから」
「勿論、頼りにしてるんだから!」
その瞬間、巨大な「バルバリア魔法戦線」の紋章が宙でパッと輝いた。
「皆さま、今日は本当に、ありがとうございました、です」
戦闘シーンに全く自信がありません。誰か私にご教授ください……。




