第四話 断罪、そして真実
レティシアの横領罪の告発に対する最終審議の日。王国の最高裁判所には、全ての貴族が集まっていた。アルベール王子は、レティシアの断罪を宣言する準備をしていた。アリアは、アルベールの傍らで、勝利を確信した純粋な笑顔を浮かべていた。
アルベールがレティシアへの断罪を宣言しようとした瞬間、静寂を破って、ノア・クリフォードが壇上に進み出た。彼の顔は、冷徹な決意に満ちていた。
「お待ちください、殿下!私は、レティシア・ローゼンブルク公爵令嬢の無実と、アリア・フェリクス嬢の陰謀を証明する証拠を提出します」
ノアは、壇上で、アリアが捏造した証拠の原本と、アリアが私腹を肥やすために行った不正取引の記録を暴露した。その証拠は、ノアが宰相補佐としての地位とアルベールへの忠誠を犠牲にして、命懸けで集めたものだった。
会場は、静寂から激しい動揺へと変わった。アリアの純粋無垢な仮面は崩れ去り、彼女の瞳には計算高さと憎悪が露わになった。アリアは、その場で不正と陰謀を認め、社交界から追放された。
ノアは、アルベールへの忠誠を捨て、レティシアへの愛と王国の正義を選んだのだ。
アルベール王子は、自らの優柔不断さと、純粋さに騙された愚かさを悟り、顔面蒼白となった。彼は、レティシアに謝罪しようと歩み寄った。
「レティシア……すまない。私は、貴女の真の価値を理解していなかった」
しかし、レティシアは、冷徹にアルベールの謝罪を拒否した。
「アルベール殿下。貴方には、王国の未来を担う資質がない。貴方の優柔不断な理想主義は、この王国を滅ぼすでしょう。貴方への私の心は、婚約破棄の瞬間に、既に死んだわ」
レティシアの心は、もはやアルベールから完全に離れていた。彼女の瞳は、同志として、そして愛する人として、自分を命懸けで守ってくれたノアだけを見つめていた。
ノアは、王子の忠誠を裏切った代償として、自ら宰相補佐の地位を辞することを表明した。彼の人生は、愛のために公人としての誇りを捨てた瞬間だった。
審議は、レティシアの無実と、アリアの断罪という大逆転で幕を閉じた。そして、悪役令嬢レティシアは、王国の救世主として、社交界の話題の中心となった。彼女の薔薇の鎖は、完全に解かれたのだ。




