ベーシックインカム制度の導入の効果
ベーシックインカム制度は婚姻制度と関係があるため、導入の際に日本の婚姻制度が根底からくつがえる可能性を否定できない。
結婚という契約は社会を構成する最小単位である世帯を形成するものである
支給対象が世帯であれば、病気などで配偶者が働けなくなり介護を必要とした場合でも離婚を選択することが少なくなると考えられる。
支給対象が世帯ではなく個人となれば、乳幼児にもその権利が与えられる可能性がでてくる。これにより、夫婦は子供を多く授かることと障害を持った子供を育てることへの負担が軽減するだろう。
障害がある未成年者が支給を受けることで、親の収入に頼らずに施設で過ごすこともできるだろう。ベーシックインカム制度と社会福祉の産業化が結びつく理由はこの事例に表れている。障害児の支給額は施設の収入になり、その収入は職員の賃金や施設の運営に流れていく。日本おいて福祉施設には税の優遇措置が設けられているとはいえ、法人税や所得税・法人住民税など国や地方自治体の歳入が増加する。これが経済を回すことであり、社会福祉の産業化では、整備された制度と成熟した経済が必要だとする事例のひとつとなる。
また、配偶者を選ぶ条件に高い収入よりも生涯をともにしたいと思えること、を優先できるだろう。家長制度を軸に祖先が築いた財産を維持してきた社会は戦後の憲法改正により崩壊した。
結婚に「家のつり合い」を求めた時代を過ぎ、両者の合意のみにより婚姻を認められた時代、その次に到来するのが「家庭の在り方を選べる」ことだろう。自分の人生をマネジメントできる自由は、すべての責任を自分が負うことになる。
しかし、障がい児が生まれやすい遺伝情報を持つ配偶者との結婚をためらう必要がなくなり、子どもが健康かどうかで世帯収入が作用されることもなくなる。
また、遺伝学によれば必ず一定数の障がい者がこの世に生まれてくる。治療法が確立できて、その治療費をまかなえる見通しが立つならば、安心して子どもを持ち世帯を形成できるだろう。
それは結果的に日本という国の繁栄につながっていくのである。
ベーシックインカムの支給額は一定であり、使い方は一人ひとりに任せられる。
国が住居や施設を用意し供給することは選択の余地を狭める。
自給自足の生活も冒険的な起業も、収入が保障されることで安心して挑戦できる。
子どもを持つことの意味が変化するだろうが、良い方向へのシフトであることを言い添えたい。
まとめると、ベーシックインカム制度の導入は民法を改正するなどの国の在り方が変化するものだ。混乱が生じるだろうが、デメリットよりもメリットのほうが大きい。なぜなら、どのような時でも収入が安定するからだ。
日銀券増刷によるベーシックインカム制度の導入を考察することも可能だと考える。




