表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/37

第8話 ダンジョン攻略(3)他力本願でだめなら有能な自分だよね

前回の詩織の嫌な発言⁉詩織は活躍したいがために屑の静止も聞かずダンジョンボス部屋の扉を開き屑パーティーをボス部屋内に連れ込んでいく。果たして詩織の思いついた作戦とは?その作戦は成功するのか失敗するのか?

「行くわよ!」

 勢いよくボス部屋の扉と思われる重厚感あふれる巨大な扉を彼女が蹴り開いた。正直人間一人で蹴り開けるようなサイズではなかった。

「ちょっと待……」

 俺の静止を無視して、ボス部屋の中へと無理やり俺達を連れ込んだ。

 このバカ!しっかり話し合ってからだろ!

 ボス部屋に入ってすぐ冒険者達の視線が一点に集まった。

「おお、助っ人が来たぞ」

 ボスと戦っている彼らは俺達の登場に喜んだ。その声は瞬く間に部屋中に響き渡った。そして歓声が開口一番の音を追いかけた。

 これじゃあもうこの場から逃げられないじゃないか……、あいつの作戦がクソだったらまたあいつを囮にしてやる!

「あれがボスか……」

 目の前の巨大な魔物を前に和の口から言葉が漏れた。その魔物は体長二十メートル程度の竜のような姿をしており、うろこ一つ一つがバスケットボールサイズだ。

「あれはサラマンダースネークです。毒はわずか一滴でも体のどこかに触れると5分後に死にます」

 レベッカが魔物を指差し解説した。

 一滴触れたら五分で死亡とかクソゲーかよ、クソが!ああ、もう!バカのせいで強制ボス戦になった、必ずあのバカには復讐してやる! 

「毒は任せなさい。」

 詩織が無い胸に拳をポンと、置き自慢げに答えた。

 詩織は回復魔法を使えなかったはずだ…もしかして戦おうとしない俺達を戦わせるための嘘か?確かめてやる…

「回復魔法使えないんじゃなかったのか?」

 腕を組み威圧感を出して、バカを問いただした。

 あいつは嘘がへたくそだ、だから聞けば一発で分かる!

「毒みたいな状態異常は回復できるわ。何故か状態回復魔法は覚えられたから。お陰で私が二日酔いしてるの見てないでしょ?」

 確かにこいつ異世界に来てから二日酔いしてないな、普段なら二日酔いで頭が痛いからと八つ当たりをしてきていたのに、それがない。

「まじか、ナイス」

 和が詩織にグッドサインを送り褒めた。

「それだけじゃないわ、私の活躍する作戦のメインはバフ魔法のほうよ。ここにいる全冒険者にバフ魔法を掛ければどうなると思う?」

 ニヤリと笑い、立てた人差し指をメトロノームのようにチッチッチと振り、意味深な視線を俺に送ってきた。

「はっ……それならボスを倒せるかも!成功したらこれからも僧侶でいいぞ」

「言ったわね、忘れないでよ?プラスオーバーステータス」

 さっそく杖を掲げその場にいた俺達を除く全冒険者に全能力超上昇のバフを掛けた。

「うっ!ううう‼」

 周りの冒険者はセルフハグのポーズを取り悶え始めた。どこか苦しそうだった。

 まさかこいつ失敗したのか?

 俺は不安を感じ、一滴の冷や汗が俺の頬を通った。

「どうしたんだ、大丈夫か⁉」

 詩織以外の俺達三人は周りの冒険者に駆け寄った。冒険者の体は今にも燃えそうなほど熱く湯気を帯びていた。

「皆さん辛そうです、詩織さんいったい何をしたのですか?」

 胸の前で手を組みわなわなと震えているレベッカが尋ねた。

「何したって、バフ魔法を掛けただけよ。そろそろ効果が出るわ」

「うおおおおおおおおお‼」

 冒険者は各々が思うマッスルポーズを取って叫んでいた、まるでボディビルの大会のようだ。

 彼らの叫び声はダンジョン全体を揺らした。

「え……」

 俺達は唖然としてその場に立ち尽くした。ただただ眺めていることだけしかできない俺達とは違い詩織だけは腕を組みドヤ顔を決めていた。

 彼らはは有り余る力を抑えられず、次々にサラマンダースネークに襲い掛かった。

「ほらね、言ったでしょ?これが全力のバフ魔法よ。バフ効果は闘技場でやった時の二倍以上でも効果時間は同じ三分ただ疲れは十倍」

 クソ魔法じゃねえか!闘技場の時だって戦闘後すぐ疲れでろくに動けてなかったのに、その十倍ってクソ魔法じゃねえか!

「ドリャー!」

 彼らはサラマンダースネークと白熱のバトルを繰り広げる。

 三分後……

「おい!クソ無能!サラマンダースネーク全然倒れそうにないぞ!」

 正直俺は憤慨していた。さっきの詩織の説明通りの魔法なら周りの冒険者が動けなくなるからだ。

 やばい!このままじゃ周りの冒険者が動けなくなる!俺達だけで倒すなんて絶対無理だぞ……。

「このまま逃げたらここにいる人達全員たられちまうぞ、どうする屑」

 そうなのだここで逃げれば全員やられる。いくら俺達でも夢見が悪いし、こんな大勢を見殺しにはできないぞ……。

「仕方ない……レベッカちゃんその剣貸して」

 全ての元凶は気だるそうに後ろ頭を掻いて、レベッカに手を伸ばした。

「別にいいですけど……」

 困惑しているのか歯切れ悪そうに答え、詩織に剣を手渡した。

「でもどうするのですか?」

「まあ見てて、本当はやりたくないけど僧侶でい続けるため、プラスステータス」

 嫌そうに杖を掲げて自身に全能力上昇のバフ魔法を掛け、杖を投げ捨てた。

 バフ魔法自体は闘技場の時と同じの?いくら詩織でも本当に勝てるのか?

「おい勝てるのか?」

「勝てるわよ、あれくらい」

 ゆっくりと歩きだし、通り過ぎさまに答えて剣を構えた。

 それなら初めからお前が戦えよ、バカ!

 そこからは瞬きよりも早い一瞬の出来事だった。気が付くと詩織は視界から消え、宙にはサラマンダースネークの首が舞っていた。前を見ると首のない体だけとなったサラマンダースネークが目に映った。

「は……あ…え…あ…?」

 またしても詩織以外の俺達三人は唖然とし、口から声が漏れるだけで固まった言葉にすることが出来なかった。

「よし!これで倒したからあたしはこれからも僧侶ね」

 声の方を見ると詩織は体だけの体だけのサラマンダーの上に立っていた。どうやら詩織が一瞬でサラマンダースネークの首を斬り飛ばしたようだ。

 こいつこんなに強いなら戦士や剣士になっても全然危険じゃないだろ!

「さっそく進むわよ」

 そう言い残した彼女は首無しサラマンダースネークの体から飛び降りて歩き出した。

「あ……あぁ。マップによるとこの先がダンジョン最奥の財宝部屋だ」

 ようやく頭の回転が追い付いた俺が返事をした。

「くっ……疲れで……もう動けない、目の前は財宝部屋だっていうのに……。」

 周りの冒険者たちはバフ魔法の反動で倒れたまま動けないでいた。

「ラッキー!財宝あさり放題だな」

 笑顔で和がガッツポーズを取った。

 フハハハハハ!財宝は全部俺達のもんだ!山分けなんかしないぞ、バカ共め!

「ラッキー?違うわよ。私がバフ魔法を掛けたからよ」

 確かにその通りだが、都合良く言われてるな。だがそれでも良い、なぜなら俺達には莫大な金銀財宝が目の前にあるのだから。

「おおー、でかした!どれだけ活躍する気なんだよ」

 笑顔を隠しきれていに様子の和が珍しく詩織の肩を叩き褒めた。

「詩織さん流石です」

「レベッカちゃん感謝なら言葉じゃなくて体で払ってくれる?」

 笑顔で近寄ってきたレベッカに対し、背後を取って詩織が抱き着いた。

 どれだけ活躍してもロリコンはロリコンのままなんだな……。

「それじゃお宝あさりするか!」

 俺はそう言って満面の笑みで財宝部屋の扉を勢いよく開けた。すると突然俺達は財宝部屋の中に吸い込まれた。

「何なんだよいきなり……!」

「オ前ラナンダァ?冒険者カァ?」

 声の主は全身が黒い体毛に覆われ頭に角が生えて背中には羽の生えた細マッチョな二足歩行の生物がいた。まさに悪魔のような見た目だ。

 さっきボス戦したのに、また戦うのかよ……いや逃げよう!

よければ、下の星5評価とブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ