表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

第7話 ダンジョン攻略(2)危険は他人に

金稼ぎのためにダンジョンに来た屑達今回はある一人の隠されたが事実判明⁉その事実にに驚きが隠せない屑達さてダンジョン攻略は一体どうなるのか。

 静かに進み続けること一時間程度、俺達は現在地下一階にまで辿り着いた。

 そこは真っ暗闇で学校の廊下と同じ程度の幅で一歩一歩進むたびに足音が響き渡る。

 俺達はたいまつの明かりを頼りに進んでいる。

 ピチャ……

「キャー!血です!血が降ってきました!」

 水滴に反応した肩がビクッと上がった。どうやらレベッカの頭に血が落ちたらしい。

「ここで騒然な戦いがあったんだな」

 小さく開いた和の口はポツリと呟いた。たいまつを壁に近づけ、壁に纏わりついていた闇を取り払った。

 確かに辺り一面血まみれだ……それなのに死体が一つもないなんておかしい……。もしかして食べられたのか?

「本当に遅れてスタートして良かったわね」

 不謹慎ながらも噛みしめるように言った。そしてこの場の空気が重みを帯びた。

「ああ、でも序盤から辺り一面に血が噴き出すほどの戦いをしてるとなるとダンジョン最深部到達無理じゃないか?」

「そうだなでもやばくなったら屑の瞬間移動か俺の透明化で逃げられるから俺らは大丈夫だろ。行こうぜ」

「私とレベッカちゃんは?」

 人差し指で自身指差し、無意味な確認をしてきた。

「確かに俺と和は大丈夫だな」

「だから私とレベッカちゃんは?」

 俺たちは詩織を無視して再び進み始めた。

 少し歩いた先には大きな広間があり、そこには人がいた。

「あれって……」

「あれ?お前ら馬車の……ってそれどころじゃないんだ!助けてくれクガが……」

 イシダは重傷を負ったクガを介抱していた。

「何があったんだ?もしかしてあそこの血はクガのか?どんな魔物と戦ったんだ?」

 彼らのもとに駆け寄ったかと思うと何故か和が中二病を心配した。

「確かにあの血はクガのだが魔物のせいじゃないんだ。実は……」

「回想入るな、面倒くさい。」

 急いで手を伸ばしイシダを止めようと口を塞いだ。

 魔物のせいじゃ無いあたり、しょうもなさそうだから聞きたくない。

 話は二時間前に遡る……。

 チクショウ!強行突破しやがった!

 二時間前

 ダンジョン攻略開始の合図が受付嬢から入り、一斉に冒険者がダンジョンの中へと流れ込んだ。

 大勢の冒険者はダンジョンに入りトラップに気を付け、慎重に行動している。

「フッ!貴様ら!ダンジョンは慎重にやってるとトラップによって詰み状態になってしまうので入ると同時に最深部に向かって走るのが鉄則だ。生きたいやつは俺について来い!」

 中二病を発症したクガは声高々にそう言い残し、全力ダッシュでダンジョンの闇の中へと消えて行った。。

「あっ!待ってくれよ」

「セノ早く走れ、置いて行かれるぞ!」

 躊躇なく中二病の付き添いの二人は走り出した。

「ああ!いけねえ確かにその通りだぜ。久しぶりで感が鈍ってた」

「当たり前すぎて忘れてたぜ。あいつは優秀だな皆あいつについて行けばこんなダンジョン余裕だぞ」

 その場にいた全冒険者が目立ちたがり屋な中二病の発言を信じて、暗闇の中に向かって走り出した。

「はぁ……はぁ……賢い……やつらだな……うわ!」

 たった数秒しか走っていないとは思えない程クガの息が切れていた。そして階段で躓き階段の上からボールを転がしたかのように、転がり落ちた。

「クガー!」

 セノは階段を駆け下り、クガに駆け寄った。その目には血まみれで横たわっている中二病だけが映っていた。

「おいセノ離れるぞ、ここにいたら他の冒険者たちに踏み潰されちまう。」

 迅速な判断で二人はクガを連れてその場を離れた。

 ここで元の時間に戻る。

「クソ馬鹿じゃねえか!」

 開口一番に和がクガに罵声を浴びせた。

 普通血まみれのケガ人にそこまで言うか?鬼畜だ、この男は鬼畜の男だ。まあ、言いたくなる気持ちは理解できるが、やっちゃだめだろ。

「何言ってんだお前ら!クガさんは偉大なでっけぇ男なんだぞ!」

 イシダは和の言葉に憤慨し、頭を掻きむしった。

 こいつが⁉『偉大』?どこがだ?

「クガさんはこの前な、地面に仰向けで倒れたかと思うと女の子のパンツを覗いてたんだぞ!」

「ただの変態じゃねぇかよ!」

 思わず俺の手が滑り、血まみれのクガの頭を叩いてしまった。

 やっぱり大したことないじゃねぇか!

「偉大だ……」

 何かに感銘を受けたらしく和の頬からは涙が零れ落ちた。

「どこがですか?和さん、クガさんはただの変態ですよ」

「いや、偉大だ。透明化しないお風呂も覗けない俺には、街中で堂々とパンツを覗いてるクガは眩しすぎる……。神だ……!」

 変態は変態に共鳴を起こしたらしく、眩しそうに手で目を覆い隠していた。

 あーもう!これだと話が進まねぇ!

「でも天井の血は何だったんだ?階段でコケただけなら天井の血はおかしいぞ」

 変態が偉大であることを否定してもイシダと変態の耳には届かないと諦めて、嘆息交じりに質問した。

「それはこいつが恥ずかしいからってすさまじい戦いがあったと思わせるために天井に血を塗ったんだ」

 俯いて答えた。

 うわぁクッソ小さい男……。

「なぁそれより僧侶はいないのか?クガを治してほしいんだ」

 セノが両手を広げて、尋ねてきた。

「それなら詩織がいる。」

 詩織を指差し、答えた。

「え~……、仕方ないわね。ほら怪我したところ見せなさい」

 嫌そうに詩織はクガに近寄りしゃがみ込んだ。

 傷を治すのが面倒くさいと思っている僧侶なんて、こいつだけだろうな。

「ここだ」

 セノが真っ赤に染まった後頭部を指差した。

 やっぱり頭が悪かったんだな。これで詩織が治したら、中二病も治るんだな。

「OKそれじゃいくわよ」

 次の瞬間の行動に俺達は目を疑った。詩織は突如手に持っていたお酒を口に含んだかと思いきや、クガの頭に吹きかけたのだ。その光景を見たイシダとセノは言葉を失い、魚のように口だけがパクパクと動いていた。

「おいバカなにやってんだー⁉」

「信じられねぇ相手は怪我人だぞ⁉」

 俺に続き和が詩織に罵声を浴びせた。

 は⁉このバカが何をしようとしてるんだ?バカなのか?こいつは義務教育で血まみれの人には酒を吹きかけてはダメだと学ばなかったのか?

「何よ?助けて欲しいって言うから酒で消毒したんじゃない?」

 彼女は悪いことをした自覚が無いのか、胸を張って自信満々に答えた。

「そうじゃなくて僧侶のお前に回復魔法で治してほしかったんだろ」

 俺は当然のことを理解してないバカに苛立ちを感じて首元を掻きむしり、本来必要のない説明をした。

 何で分かってないんだよ!

「それなら早く言いなさいよ」

 早く言えってそれしかないだろバカが。

「私回復魔法使えないわよ」

 人差し指で自信を指差しとぼけた面で答えた。

「ハアァー⁉おい無能、今なんて言った?なんて言ったんだー⁉」

 俺は無能の胸ぐらを掴み思いっきり揺らした。

 ただでさえ役立たずなのに回復魔法使えないって、このバカは何の役に立つんだー⁉

「ちょっと待って言うから手を放して」

 俺の手を掴み胸ぐらから剥がした。

「だから私は回復魔法が使えないって言ってるのよ」

「回復魔法が使えないだー⁉お前僧侶だろ?僧侶が回復魔法使えないってなんの役に立てるんだよ⁉やっぱりお前帰ったらジョブチェンジしろ。剣道強いんだから冒険者か戦士になれ!」

 悪びれもせず呆れたようにようにやれやれと答えた詩織に腹が立った。

「何言ってるのよ。前衛なんて危険な仕事やらないわよ」

 こいつ危険が嫌で僧侶選んでたのかよ!

「じゃあ回復魔法が使えない僧侶がどうやって役に立つんだよ!」

「回復魔法が無くてもバフ魔法や防御魔法が使えるじゃないのよ!」

「うるせぇ!バフ魔法なんて短時間しか効果ないのに滅茶苦茶疲れるゴミ魔法だろ!」

「でも防御魔法があるじゃない!」

「防御魔法は魔法使いの俺と屑でも使えるぞ」

「でも……」

 詩織はついに言葉に詰まった。

 回復魔法が使えない僧侶と剣技最強の前衛職どちらが良いかという答えの分かりきったディベートだに勝利しても全然嬉しくねえな……。

「三人とも落ち着いてください」

 レベッカが俺と無能の間に割って入り止めた。

 クッ……これ以上レベッカに罵り合いを見せるのはよくないな……。

「じゃあ詩織お前は意地でもジョブチェンする気は無いんだな」

「そうよ」

「なら分かった勝負だ、この任務でお前が大活躍したらジョブチェンしなくてもいい、ただし活躍できなかった場合は即ジョブチェンな!」

「いいわよ、回復魔法が使えない僧侶が役に立つって分からせてやるわ」

 その言葉を聞いてついつい笑みをこぼしてしまった。

  まんまと引っかかったな、このバカがよぉ‼今日はもう戦闘をしないお宝を探すだけ、つまり僧侶としての活躍は不可能なのだ。フハハハ!ざまあみろ、マヌケ!

「それじゃあ行くか」

 俺たちは気を取り直し、再び歩き出した。

 するとすぐ俺の袖を何者かが掴んだ。

「待ってくれクガを助けてくれ」

 その言葉で全員ピタリと足を止めた。

「あ…」

 忘れてた‼でも回復魔法無いのにどうやって治せばいいんだ⁉面倒くさいな……。

「ダンジョン出て僧侶に頼めばいいだろ。」

 和がダンジョンの入り口のほうを指差した。

 確かにそれもそうだな。

「それもそうだな、サンキュー」

 クガを抱えてダンジョン出口に向かった。

「あんなことも分からないなんて、あいつらどこまで馬鹿なんだ……?」

 ガハ!

 和がを顔に当て首を振ってやれやれと言ったその一言は俺の心に深く突き刺さった。

「本当ですね」

 ガハ!

 今度こそ俺たちは気を取り直しダンジョン最深部に向かって歩き出した。

 三十分後……

「なあマップで見る感じこの奥で今回参加した全冒険者たちが戦ってるがどうする?」

 巨大な扉の前にして俺達は立ち止まっていた。

「は⁉屑なんでだよ。ダンジョン入る前に屑のマップで確認した時もそこにいただろ」

「このダンジョンのボス部屋なのでしょうか……?」

 L字にした人差し指と中指を顎に当て斜め上を見た。

 ボス部屋か、危険だよな。ボスが倒されるまでここで待つか……、でも全滅するかもしれないのに見捨てるのもなぁ夢見が悪いよな、どうしたものかな……。

「入って助太刀しましょうよ」

 純粋真面目ちゃんなレベッカは迷わず元気な声で提案してきた。

 危険だ、作戦が思いつくまでは一時待機しよう。

「ちょっと待っ……」

「そうね、入りましょう。」

 俺の言葉を遮り詩織が扉を開けた。

 このバカ!まだ作戦を思いついていないのに……、それにしてもさっきまで危険が嫌で僧侶選んだくせにどういう風の吹き回しだ……?

「どうしたんだ?危険なのは嫌がってたのに」

「活躍する方法が思いついたんだろ」

 そういうことか!和よく覚えてたな、この賭け完全に勝ったと思ってたから忘れてた。

「その通りよ、レベッカちゃんは危ないから私の後ろに隠れてて」

 意気揚々とした自信に満ち溢れた顔の詩織は俺達の前に立った。

 やばいこいつに活躍されると困る……、なんとか邪魔しなければ。


よければ、下の星5評価とブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ