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第37話 キス魔だぁ‼キス魔がいるぞぉ‼

 俺は東条屑。魔王軍幹部討伐した俺達は幹部討伐祝いのパーティーに招待された。問題を起こしそうな詩織とクガを宿に置いて来た俺は安心していたのだが、しかし普段は頼りになる紫苑姉さんも酒カスの人間で問題を起こすのでは不安になっていた。


 辺りは真っ暗の真夜中だが、目の前は華やかで黄金に光り輝く王宮が待ち構えていた。


「ここだね」

「そうですね」

「招待状を見せてください」

 俺達は王宮門番に招待状を見せ、王宮の中に進んだ。


「さあ、屑飲むよ」

 普段から凛々しい顔をしている紫苑姉さんの顔がより一層凛々しく輝いていた。


 やばい!紫苑姉さんは詩織と違う類の酒カス人間だった。酒を飲ませないようにしないと……。


「待ってください、紫苑姉さん。お酒はパーティーを楽しんだ後にしましょう。」

 紫苑姉さんが手に取ったグラスを奪った俺が言った。


「お酒と楽しんだ方が楽しいと思うのだけどね」

 顎に手を当て、首を傾げた紫苑姉さんが言った。その表情はとても不思議そうで顔には『?』が浮かんでいた。


「じゃ、じゃあ俺が酒を飲むんで紫苑姉さんはお酒を飲まずに楽しみましょう。最後にどっちの方が楽しかったか話し合いましょう。」

「良いけど、お酒が入った状態でまともに話合いできるのかい?」

「はい!」

 俺は一切考えることなく瞬発的に答えた。


 別に話し合いで負けてもいい!紫苑姉さんにお酒を飲ませることになるよりは良い。


「じゃあまず一杯目だね」

 紫苑姉さんに手渡されたお酒をグイッっと、勢いよく飲んだ。その様子を見て紫苑姉さんは拍手して感心している。


 別に俺がお酒を飲むのを見るのは初めてじゃないっていうのに、何を感心してるんだ?


「良いね、二杯目だよ」

「え?いやパーティーを楽しみましょうよ」

 お酒の入ったグラスを手渡そうと目の前に出されている手に対して首を振って答えた。


「へぇ~じゃあ私が飲もうかな」

 手に持っていたグラスは紫苑姉さんの綺麗なピンク色の唇に触れた。


 くっ、これはもしかして俺が紫苑姉さんにお酒を飲まさないようにしていることに気が付いるんじゃないのか?気が付いたうえで俺のことをからかっているんじゃないのか?こっちは紫苑姉さんのことを思って行動してるって言うのに…。とは言えこっちに選択肢は無い!


「分かりました、飲みますよ。飲めばいいんでしょ?」

 紫苑姉さんの唇にまで差し掛かったグラスを奪い、泥酔する覚悟を決めて飲んだ。


 これならクガの方がマシだったか…?いや、流石にないか。


 そこから俺は渡されるがままお酒を飲み続けた。そこで大きな問題が発生した。


「こうも気持ちよく飲まれると私も飲みたくなるね……」

 俺の意識が少し遠のいている内に紫苑姉さんがお酒を一口飲み『バタン‼』と、その場に倒れた。


「れ?紫苑姉さんらいりょうぶれすか?」

 倒れた紫苑姉さんの意識を確認するために、俺は膝をつき倒れている体を揺らした。


 これはラッキーだ。このまま意識を失っていてくれ……。


 油断している隙に紫苑姉さんの体が勢いよく起き上がった。


「あ……」

 柔らかいものが俺の唇に当たった。その衝撃に思わず口から言葉が漏れた。そしてすぐに紫苑姉さんの唇が離れた。


「ダメだったか……」

「フフフ照れちゃって可愛いね」

 お酒で血行が良くなっているのか、顔を真っ赤にした紫苑姉さんが微笑しつつからかってきた。


 そう紫苑姉さんはお酒に弱くたった一杯で酔う、そして酔うとキス魔になるのだ。小さい時から一緒にいた俺はキス程度何ともないが、しかし紫苑姉さんは美人過ぎる。キス魔だとバレたら周りにブタマンのようなやばいのだけでなく、普通の男性たちですら群がって来る。そんな人達と酔った勢いでキスしてたなんて可哀そうだ、バレないうちに紫苑姉さんを連れて帰ろう。


「ねえ君、私とキスしない?」

 俺が目を離した一瞬の隙に紫苑姉さんは近くにいた男性のもとに移動していた。


 何やってんだ、バカー!


「ストーーップ‼」

 何とかギリギリのところ俺はで紫苑姉さんの口を手で覆ってキスを防いだ。


「ちょっと君!何故私のキスの邪魔をするんだ‼」

 キスできなかった男性はブチ切れて俺の胸ぐらを掴んでいた。本気の力で捕まれちょっと辛い。


 ここは訳を説明しないと…。


「いや紫苑姉さんはキス魔なだけで本気であなたとキスがしたかったわけじゃないんですよ」

「キス魔ぁ?……」

 キス魔というワードを聞いて男性は胸ぐらから手を離し、深く考えこんだ。


「スゥ…キス魔だぁぁー‼キス魔がいるぞぉー‼皆ぁー、キスできるぞぉぉ‼」

 王宮の中に男性の咆哮とでもいうべき大声が鳴り響いた。


 ハァ⁉こいつ何王宮の中で『キス魔』とか叫んでんだ⁉頭おかしいんじゃないのか?


「ちょっとあんた何考えてるんだ⁉」

「フッ、美人なキス魔がいれば叫ぶ。炎宗教国フランマでは常識だぞ?」

 俺の質問に対して男性はドヤ顔でイカレタ常識を堂々と答えた。


 どんな国だよ⁉


「おい、今の声はフランマの貴族の声だ」

「あぁ、つまりキス魔は美人だ。探すぞ‼」

「美人とキスしたい‼」

「ヌフォー‼キス魔だはぁ‼」

 というは話が王宮内のあちこちから聞こえた。


「仕方ない、スリープ」

 とりあえずキス魔と化している紫苑姉さんを眠らせて持ち抱えた。


「あそこだ、いた!いたぞ‼」

 いよいよ王宮に呼ばれるほどの貴族の軍勢が紫苑姉さんとのキスを求めて走ってきた。


「や、やばいテレポート‼」

「チィッ!逃げられたか」

 俺の姿は王宮内から消えた。そして俺達の姿は俺が借りている宿のベッドの上に現れた。


 疲れてたから本能的にベッドの上を想像してテレポートしたのか……。まぁ、いいや。


「あー疲れた!」

 そして移動先をベッドの上にしていた俺はその場にすぐ倒れこんだ。重くなった瞼を支えきれず、視界が真っ暗になった。


 本当にカガクの国は散々だった、モルモットの飼い主は見つからないし、というか紫苑姉さんがハムスターにモルモットって名前つけたせいでクソほど分かりにくいな。疲れた……もう明日元の国に帰ろう。


 意識を失い再び気が付いた時、窓から眩しい朝日が差し込んでいた。


「ふわぁーあ……朝か…帰ろう」

 自身の重たい体をゆっくりと起こして、眠い目を擦って言った。


「おはよう」

「うわあぁぁ‼な、なんでここにいるんですか⁉」

 隣にいた紫苑姉さんに挨拶をされるという突然の事態に驚きを隠せなかった。


「屑が私を連れ込んだんじゃないか」

「いや連れ込んでな……」


 ハッ!そうだ…俺はテレポートの時に紫苑姉さんを持ち抱えた、そしてベッドの上にテレポートしたからそのまま寝たんだった……。何やってんだ、俺。


 仰向けで横になっている紫苑姉さんがニヤニヤと笑いながら言った。俺は否定しようとしたが重大なことに気づき否定しきれなかった。


「フフ、連れ込まれた私は一体何をされたのかな?」

「何もしてませんよ!」


 何で南家の人は詩織然り、哲也さん然り、紫苑姉さん然り性格のどこかしらに問題があるんだ……。もう早く屋敷に帰りたい。


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