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第36話 プレゼントは、わ・た・し♡

 俺は東条屑。モルモットを飼い主のもとに返すべくカガクの国にやってきた俺達は、そこで遭遇した魔王軍幹部ジャイアントスライムのイートをやっとの思いで討伐した。


 宿の大部屋で集合している。


「スーツ高かったな…」


 そう俺達はイート討伐に際して国王代理のウラギから王宮でのパーティーに誘われて身なりを整えたのだった。


「高かったって、お金は全部私が出したじゃないか」

 スーツをビシッと着こなし、何故かその上に白衣を着ている紫苑姉さんが言った。


「いやまあそうですけど…高かったですけどいいんですか?」

「別に良いよ、私研究で数十億ギラ稼いでるからね」

 数十億ギラ稼いでいるブルジョワ紫苑姉さんは何やら誇らしげだ。


 数十億⁉スゴッ!紫苑根さんと同じタイミングで転生したはずなのに、俺達はついこの前まで数十億の借金があったなんて…どうなってんだ……?


「ハハハハハ!この我も漆黒の羽衣スーツと純白の羽衣ワイシャツでテンションは最高潮だ‼」

 高級なスーツに胸を躍らせたクガは普段よりも中二病に拍車がかかっていて、かつてない程に会話が面倒くさい。


「で、何で詩織はスーツ何て持ってるんだ?」

 話の焦点を面倒くさいクガから逸らすべく俺は詩織に尋ねた。


「あぁこれ?これはね前カジノのディーラーを首なったときオーナーがくれるって言ったから貰って来たのよ。レベッカちゃんどう、かっこいい?」

 詩織も紫苑姉さん同様にスーツをビシッと着こなしていた。そして振り向きざまに無い胸を張った詩織は自信満々にレベッカに感想を求めた。


 こいつクズすぎる!前貧乳だからって理由で男性用スーツ渡された報復に黒スーツの男に痴漢の冤罪掛けてたのに、今はこんなに嬉々として着てやがる。絵に描いたようなゴミだな……。


「はい、とても素敵ですよ!」

「ありがとう、レベッカちゃんとの結婚式にはこの服で行くわ!」

「え⁉今なんて言いました⁉」

 ツルの様に絡んで来る詩織に向けて、首を九十度捻りレベッカは問い返した。今の一言はこれまで詩織からのセクハラを受けたレベッカと言えども、一度も聞いたことのないワードだった。


 俺は人間の関節とは思えない程ウネウネとした四肢で絡みついている詩織を見て溜息を吐いた。


 普段なら無視しているが、しかし今は和がいないから俺が詩織を止めないといけないのかよ……面倒くせぇ。


「おい、詩…」

「詩織やめなよ、レベッカ君が可哀そうだろう?」

 俺より先に紫苑姉さんが詩織を抑制した。


「嫌よ、愛し合う私達を邪魔しないで!今夜はパーティーの後にサプライズプレゼントするのよ」

 詩織は猫の様に『シャー!』と全力の威嚇で紫苑姉さんに対抗の意思表示をした。


 それ言ったらサプライズじゃないだろ、バカ!


「詩織二度はな…」

「紫苑姉さんちょっと待ってください、サプライズプレゼントって何ですか?」

 紫苑姉さんの言葉を止めレベッカは目を輝かせて詩織に尋ねた。


 そういえばレベッカはボッチなんだった!ボッチだったからプレゼントが嬉しくて仕方ないんだろうな。バカって言いたいけど可哀そうすぎてバカって言えない!


「仕方ないバレちゃったから言うわ……」

 達観した笑みを浮かべた詩織は天井を仰ぎ見た。


 はいはい、どうせプレゼントは『あ・た・し』だろ、面倒くさい。


「プレゼントは…わ・た・し…」


 やっぱりな、もう皆答え分かてるから早く言い切れよ。


「の」


 の⁉のぉぉぉ⁉どういうことだ?まだ終わりじゃないのか⁉


「初夜♡」

「ふぇぇぇぇ⁉」

「黙れビッチ!レベッカが限界超えて倒れただろ!」

 突然の気持ち悪く常軌を逸した下ネタにレベッカは顔を真っ赤にして倒れた。


 気持ち悪すぎる!こいつを法で裁けないの悔しい‼


「詩織少し頭を冷やしな、ブリザード(吹雪)」

「待って、お姉ちゃ…」

 詩織に向けられた美しい手の平から極寒の雪山を思わせるような吹雪が飛び出した。そして詩織は全身氷漬けになった。


 怖えぇ!この人自分の実の妹を氷漬けにしたんだけど、昔から俺達が一線を越えた時には厳しく叱ってくれていたがここまでやるか…。


「それじゃあ私は倒れたレベッカ君と詩織の面倒を見ているから屑とクガは王宮のパーティーに行ってきなよ。」

 洗面所に向かった紫苑姉さんはハンカチを濡らして絞った。そして倒れているレベッカに膝枕をし、額には濡らしたハンカチを掛けた。


「いや待て、この我が眠れる王女レベッカと美しき氷に閉じ込められし美女(詩織)の見守り(看病)をしよう。」

 何がクガの中二病心をくすぐったのか、手を顔と膝に当てる見たことも無い中二病ポーズを取った。


「さっきまでスーツで心躍らせていたし楽しみなのだろう?私のことは気にしなくていいよ」

「別にパーティーはどうでもいい、我はこの漆黒の衣と純白の衣があればあとは何でもよいのだ!そして我はパーフェクトヒールが使える。何より、レベッカと詩織にはイート戦の時に助けてもらった恩を返したいのだ!」

 どうやらただの中二病だと思っていたクガ人情味の強い人間であり、恩返しのための決意がひしひしと伝わった。


「なら私も屑と共に約束されし狂演の場(パーティー会場の王宮)に向かうとするよ。」

 クガへの最大限の感謝の行動として、紫苑姉さんも中二病になりきって返事をした。そして紫苑姉さんはレベッカをベッドの上に運んだ。


 これは思わぬ幸運だな。国王代理のウラギさんがいるところに問題を起こしそうなレベッカとクガ連れて行くは不安だったから良かった。


「それじゃあ屑行こうか」

「そうですね」

 俺達は共に宿を後にした。宿の外はすっかり暗くなっており街灯の光がポツン、ポツンと灯してあった。そして俺達は王宮へと辿り着いた。


 クガも詩織もいないから面倒くさいことにはならなさそうだな……いや、待て!そういえば紫苑姉さんも詩織とは別ジャンルの酒カスなんだった。これはちょっとピンチだ…。


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