表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/37

第32話 良いだろう…う〇こしてやるよ‼

 俺は東条屑。喋るハムスターを飼い主のもとに返すべくカガクの国にやってきた。しかし予定外のことにこの国に来る途中魔王軍の幹部に襲われてしまった。幸運なことに詩織の父親、哲也さんに助けてもらいなんとかこの国に来ることができた。


 宿の中、宿の暖かな光の下、俺達は夜の食卓を囲んでいる。


「屑君、朝言っていたブタマン君の恋愛はどうなったんだい?」

「あー……」

 哲也さんの質問に俺は言葉が詰まった。


 やべー!『あー、あのキモデブの相手は哲也さんの娘の紫苑姉さんですよ』なんて哲也さんが可哀そうで言える訳ねぇ‼それどころか『どうして紫苑が?』って聞かれて、『巨乳にするスキルの発明実験のためです』なんて絶対言える訳ねぇ‼ここは何とか誤魔化そう。


「あ、あれは一旦白紙に戻りました」

「屑君どうして嘘をつくんだい?ブタマン君なら私と付き合ったじゃないか」

 俺が必死についた嘘を、紫苑姉さんが首を傾げ不思議そうに無に帰した。


 バカー‼人が折角誤魔化したってのに‼


「でも安心して親父、お姉ちゃんがあのキモキモデブブタ野郎と付き合ったのは巨乳にするスキルの発明の実験の被験体が欲しかっただけだから。」

 詩織は、哲也さんが不安にならないように補足説明した。


 バカ‼この姉妹は見事に二人そろって大馬鹿だ。哲也さんがこれで納得する訳無いだろ!哲也さんのことだ、きっとブチ切れてブタマンを殴り飛ばしに行くぞ……。


「哲也さん落ち着いてくださ……え?」

 目の前の光景に俺は、目を疑った。あれだけ強い哲也さんが気絶していた。


 何やってんだ⁉ここはブチ切れると見せかけて納得しているパターンだろ!フリを振ったんだからちゃんとやれよ!


「屑さん、哲也さんは大丈夫なのでしょうか?」

「知らない」

 レベッカが心配そうに尋ねてきたが、哲也さんに呆れていた俺は適当に答えた。


「フッフッフ、ならばこの我が禁術を使って起こしてやろうっ!」

「クガ、変なことするなよ」

 嬉々としているクガに、嫌な予感がした俺は釘を刺した。


「面白いね、禁術をお目にかかれるとは」


 なんで、紫苑姉さんはこんなに乗り気なんだよ。


「それではいくぞ。我が悪魔が宿りし右手、その名もデーモンジャッジメントハイパーライトハンド‼」


 名前ダッサ‼


「てやぁ‼」

 自信満々に立ち上がったクガは、何をするかと思えば哲也さんの額を思いっきりチョップした。


 禁術じゃねえのかよ‼全く時間の無駄だ。


「ぐあぁぁああぁ‼」

 部屋の中に痛みで苦しむ声が響いた。見るとクガが右手を抑えてその場に蹲っていた。


 こいつ本当に何がしたいんだ⁉もう分からん!中二病だからとかのレベルを超えている。多分クガは人間じゃないんだろうな……。


「ごちそうさまでした、じゃあ俺はもう寝る。おやすみ~」


「ああ、おやすみ」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

「その時が来るまで永久の深き眠りに堕ちて来るが良い」

 食事を終えた俺は、立ち上がって自分の部屋に向かった。


 そして、月が海に沈み、山から朝日が昇った。


「ふわぁーあ……朝か…もう少し寝るか……」

 勇気を出してベッドから起き上がった俺だったが、しかし朝には敵わず再びベッドの中に隠れた。その時、ドアが『バンッ‼』と大きな音を立てて開いた。


「起きろぉー‼」

「やかましいわっ‼」

 ベッドから起き上がり、ドアを蹴破った詩織にブチ切れた。


「やかましいじゃないわよ!朝よ、朝‼早く起きなさい!」

 詩織が俺の顔を踏みつけて言った。


「チッ!なんで起こしに来るんだよ!」

「それがあのムカつくハムスターの飼い主が見つかったのよ。」

「え⁉」


 嘘だろ、もっと順を追って見つかると思ってたのにこんなに急に見つかるのかよ!


「ワイのご主人が見つかったやて~⁉」

 驚愕の事実に俺のズボンのポケットからハムスターが飛び出して言った。


 こいつまた俺のポケットで寝てたのかよ!寝返りしてたら死んでたな、このバカのせいで毎晩夢見が悪くなるのはごめんだ、今度からは確認してから寝よう。


「早く屑そのハムスターと一回に降りてきて。」

 と、ドタドタと大きな音を立てて詩織は階段を下って行った。俺は急いで起き上がり、詩織の後を追いかけた。


 宿の一回には、どこからどうみても平凡そうな男性がいた。


「あんたがワイの飼い主か?」

「本当に全て忘れたんだな……、ゴミめ!」

 舌打ちを交えしかめっ面の男性が言った。その一言でこの場が不穏な空気に包まれた。


「君⁉喋れるのかい?これは興味深い、飼い主君このハムスター解体してもいいかな?」

「え?」

 紫苑姉さんの一言でその場は、先ほどとはまた違った不穏な空気に包まれた。


 飼い主に解体してもいいか聞いて『良いですよ』っていう訳無いだろ!


「解体してもいいですよ……」

 男性はジリジリとこちらに迫り寄りつつ言った。


「ただし……出来るものならねっっ‼」

「え⁉」

 俺達は突然の状況に声が漏れた。

 男性の体が透き通った水色の流体に変わり、哲也さんを飲み込んだ。哲也さんは声を発することなく、机の上に置いていた剣を取ろうともせずなすがままにされた。


「おいおい、忘れたのかぁ~?この魔王軍幹部のジャイアントスライムのイート様を‼フハハハハハッ‼」

「なっ……」

 平凡な男は魔王軍幹部のイートで、イートを倒せる哲也さんが飲み込まれたことで俺のパーティーの間に緊張感が走り、走り駆け抜けた緊張感を絶望が飲み込んだ。


「フッ、おめでたい頭だね、気付かれていないと思っていたのかい?」

 バカ面で調子に乗っていた魔王軍幹部を紫苑姉さんが小ばかにした。


「強がりを言うな、ペチャパイ二号!」

「あ?」

 温厚な紫苑姉さんでもペチャパイ呼ばわりで怒りにスイッチが入った。


「テレパシーを習得した人間が二人もいたのに気が付いていない訳ないだろう?自分の毒性で自身の脳まで溶かしちゃったのかな?」

「……ぐ」

 紫苑姉さんの返答にイートは言葉を失った。


 自分から煽って一言で論破されてるの、バカすぎだろ‼


「屑君も気が付いていたのだろう?」

「え……そりゃ勿論!」


「嘘だね」

「嘘ね」

「嘘なのですね」

「虚言だな」

「嘘だ!」

 咄嗟のことで俺は上手な嘘が付けず、その場の全員にバレた。


 流石にダメだったか。


「この俺を止められる者は今封じ込めている。これまで散々痛めつけてくれた分、ゆっくり、ゆっくりと、溶かして殺してやる‼」

 哲也さんを飲み込んだイートの体は、肥大化し体長三十メートルの巨大なスライムへと変化した。


「かかって来い、顔だけのペチャパイ女二号‼」

「は⁉」

 二度のペチャパイ発言に紫苑姉さんの頭は、怒りでいっぱいだ。


「皆、私の後ろに隠れて」

 その一言に従い、俺達全員紫苑姉さんの背中に隠れた。


「フンッ!ペチャパイ一人でこの魔王軍幹部様の一撃が止められるとでも思っているのかぁ⁉」

「試してみればいいじゃないか」

「良いだろう‼」

 巨大なスラムは巨大な柱を作り、紫苑姉さんに向けて勢いよく伸ばした。


 『試してみればいいじゃないか』じゃねえよ‼死にたくねぇ!


 スライムの巨大な柱は見る見る大きく見えるほど物凄いスピードでこちらに向かって来た。その光景に俺達は嫌々死を覚悟した。


「アルティメットバリア」

 俺達の前に透明感あるピンク色の分厚いバリアが現れ、こちらに向かってきていた柱はバリアに衝突して弾けた。


「え?」

 俺達は紫苑姉さんの両脇からそれぞれ顔を出して驚いた。


「よくも防ぎよって~!」

 防がれると思っていなかったイートは、予想外のことに腹を立てた。


「当たり前や、ワイのユニークスキルやで⁉」

 今回の事の発端のハムスターが偉そうに言いやがった。


 こいつは確実に魔王軍の手のものだ、だがしかしこいつを責めても価値が無いことはもう分かっている。なぜならばこいつは記憶力が無く自分がスパイであることを忘れているからだ。その証拠に人間に化けていたイートが飼い主を名乗り出た際に『あんたがワイの飼い主か?』と言っていた。こいつは、敵でも味方でもただの無能なハムスターだ。


「ライトニングピラー!(光の柱)」

 紫苑姉さんはイートに向けて手を掲げて唱えた。すると、イートを囲うように魔法陣が現れ、次の瞬間に白光の大きな柱が出現した。そして柱が消え、柱が通った部分のイートの体は削れていた。


 強っ!紫苑姉さんこんなに強かったのか……なら!


 俺は紫苑姉さんの背中から飛び出し、イートの前へと躍り出た。

「服だけ溶かすセクハラカスライム、悔しかったら攻撃して来いよ、このカスライム!」

 中指を突き立てて、イートを全力で馬鹿にした。


 フハハハハ‼前々からこのバカのせいで何度か危険な目に遭っていたからストレスが吹っ飛ぶな‼


「フッ、ペチャパイの後ろにいなければ貴様なんぞ簡単に殺せるわ、この馬鹿め!」

 イートは自身の体の一部を拳状に変化させ殴りかかってきた。


「テレポート」

 イートの拳を目の前まで引きつけ、ギリギリのところで俺は瞬間移動で紫苑姉さんの背中に隠れた。


「当たってまちぇ~ん!簡単に殺せると思ってた何て…バカですねぇ‼」

 俺は紫苑姉さんのわき腹から顔をヒョコっと覗かせて言った。


 最近誰に対してもバカに出来ていなかったから開放感が溜んねぇ。


「くうぅ‼貴様ァ‼」

 イートの体は巨大な剣を作り出し、拳状に変化していた一部が剣を掴み振りかぶったが、しかし紫苑姉さんのアルティメットバリアを破ることが出来ず剣は粉々に弾けた。


「屑、私にもやらせてよ」

「オッケー」

 俺と詩織は一緒に紫苑姉さんの背中から飛び出しイートの前に煽るために来た。


「あんた何度も攻撃してるけど頭に栄養いってないんじゃないの?それで体にも栄養いってないからフニャフニャ、あんたの摂取した栄養はどこにいってんの?もしかして全部う〇ことして出してんの?そのう〇こで野菜を作ったらさぞ、大きな野菜が育つんじゃない?」

 頭をトントンと指差し、詩織はイートをバカにした。


「いいだろう……ここでう〇こしてやるよ‼」

 体の一部を変形させ、イートはう〇こ型の巨大物を俺と詩織の頭上から落とした。


「テレポート」

 俺と詩織の姿はその場から消え、紫苑姉さんの背後に現れた。


「おいカスライム、俺がテレポート使えるんだから躱されるに決まってんだろ、このバカがよぉ‼アーハッハッハッハー‼」

「屑やめてあげなさい。あいつは本当に頭に何も詰まってないのよ。見て分かるでしょ、あいつの頭を見ようとしても奥の景色が透けて見えちゃってるんだから。」

 細い指はイートの頭に向かい、その場に高い笑い声が響いた。


「雑魚冒険者共が舐めやがってぇ!」

 イートは自身の体の一部をサッカーボール程の大きさに分裂させ、高く打ち上げた。


「ハハハハァ‼この我がメテオでアルティメットバリアなんぞ突き破ってやる‼」

 イートが体の一部を高く打ち上げたのはそれこちらに落とすためだった。


 まずいっ!本当にバリアを破られたら死ぬ!調子に乗って煽り過ぎた。


「紫苑姉さん大丈夫ですよね?俺まだ死にたくないんですけど‼」

 俺は紫苑姉さんの背後から顔を出し、必死に確認した。


「このバリアでは耐えられないかもしれないね」


「え?死ぬの⁉ふざけないでよ!屑が煽り過ぎたからだわ。責任取ってあんた一人が囮になってきなさいよ」


 この野郎…、さっきまで一緒に楽しんで煽った仲なのに簡単に裏切りやがって、あの世で散々嫌なことしてしてやる!


「何を言っている二人とも。バリアに当たる前に壊せばよいではないか‼あんなもの我が一撃でこの世から消してやろうっ‼ライトニングピラー!」

 右の手の平を天に掲げ、クガは魔法を唱えた。そして手の平から現れた魔法陣から白光の柱が天高く伸び、消えた。


 今の魔法は紫苑姉さんの使ってたものだ。あいつかっこいいからすぐに覚えたんだな……とはいえバカだな。


 クガは魔力切れでその場に倒れた。


 自分の魔力量を考慮せずにスキルを習得したからだ、バカ。まあでも、これで一先ず安心だな。


「ってー!全然ダメじゃない!あのメテオ全然数減ってないじゃない!」

 詩織は魔力切れのクガをブンブンと振り回した。その結果頭を地面に何度もぶつけたクガは、頭から血を出し意識を失った。


 何ぃ⁉唯々動けなくなったのかよ、役立たずめ!


「はぁ~クガ君は何をしているのかな?」

 手を広げて溜息を吐いて、紫苑姉さんはやれやれと頭を振った。


「ライトニングピラー!」

 手の平を天にかざし、魔法陣から白光の柱を放った。光が消えたかと思うと柱の通った場所には塵一つなく、メテオは空から消えていた。


「それにしても紫苑さんは、詩織さんのお姉さんとは思えないほど面倒見の良い人ですね」

 唐突にレベッカが失礼な発言をした。


「別にそんなことは無いよ。ただ、この中だと私が一番年上だからね。年上は年下を守らなくてはいけない、それだけだよ」

「え?それって屑さんと同じこと言ってましたよね?」

 細い首が曲がり、こちらに捻じれた。


 何で言うんだよ!これで調子に乗られると癪だ、誤魔化さないと。


「へー、屑君がねぇ」

 紫苑姉さんは振り返り小さな笑みを浮かべて言った。


「言ってないです」

 何とか調子に乗らないように俺は否定した。


「嘘をついても無駄だよ、私にはテレパシーがあるのだから。」


 そうだったチクショウ‼今から誤魔化す術は無いのか?……あっ、やらかした。


 俺は頭に手を当て俯いた。


「丸聞こえだよ」

「ですよね~」

「それじゃあ質問するよ。どうして私の良く言っていたことを真似して言ったんだい?」

「考えが似ただけでしょ?」

「本当に……そう来たか。」


 う〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こ、フハハハハ俺のテレパシー対策は通じた。その名もう〇こで思考を埋め尽くそう作戦だ。


「素直になった方が良いよ?別に憧れていることは恥ずかしいことでは無いのだがね。」


「憧れてないですよ!」


「ほらほら、隠しても無駄だよ、素直に尊敬してます、の一言言えばいいだけだろう?」


 あああああ!う〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こう〇こ……あぁー‼


「後ろ!後ろ見てください!」

 紫苑姉さんの背後を震える手で指差し、俺は訴えかけた。


「そんな安い手が私に通用すると思ったのかい?無…」

 紫苑姉さんは発言の途中でイートの体に飲み込まれた。


「何やってんだ、あんたー‼」


 テレパシーがあるのに何やってんだ⁉もしかしてテレパシーを全部俺に向けて使っていたから背後から近寄るイートに気が付けず、不意を突かれたのか⁉バカじゃん‼


「ハハハハァ‼ざまあみろ、ペチャパイ二号‼」

よければ広告下の星5評価とブックマークお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ