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第22話 女の服だけ溶かすスライムって変態じゃねえか!

カガクの国に到着まであと一歩というところで魔王軍幹部ギガントスライムのイートに襲われ絶体絶命の大ピンチに陥った。

 俺は東条屑。喋るハムスターを持ち主に返すべくカガクの国に向かっていた俺達だったがあと少しで到着というところで魔王軍幹部ギガントスライムのイートに遭遇し襲われてしまった。


「うわあああ!テレポート」

 俺はギリギリのところでイートの攻撃をかわした。


 危なかった……。クソォどうやって逃げたらいいんだ?


「屑!レベッカちゃんが」

 詩織は巨大な拳状のスライムに攻撃をされそうになっているレベッカを指差した。


 やばい……、今は魔力が少ないからレベッカを連れてテレポートは出来ないぞ……。


「屑、ワイを投げろ!」

 ハムスターが突如ポケットから顔を出して言った。


「分かった、オラァァァ!」

 ポケットのハムスターを手の中に収めた俺は躊躇無く投げ飛ばした。


「いよっしゃぁぁ!アルティメットバリアー!」

 ハムスターはレベッカの前まで飛ぶと防御スキルでイートの攻撃を防いだ。


「貴様ぁ、何故邪魔をする⁉」


 ……邪魔をする?はっ、まさかこいつ。今はそれどころじゃなかった。


「レベッカ何突っ立ってるんだ、ちゃんと避けろ。死ぬぞ!」


「はい!すいませんでした」

 戦闘中にもかかわらずレベッカは深々と頭を下げて謝った。その隙をイートに狙われ、イートの触手が再びレベッカへと向かった。


「危ない!」

 詩織はレベッカを庇いイートに飲み込まれ、透け通った水色のスライムの体の中に詩織が見える。


「やばい!詩織が飲み込まれた。」


 やばいどうにかして詩織を助けないと……。まずはイートがどんなやつなのか知らないと。


「レベッカ、イートは体内に飲み込んだ後どうするんだ?」


「イートは体内に飲み込んだ後男性であれば強力な毒素で一瞬で骨に変えてしまいますが、女性ならば窒息しないよう女性の顔を体から出し微弱な毒素でゆっくりとじっくりと服だけを溶かしていきます。」


「は⁉」


 魔王軍幹部の癖してとんでもないスケベモンスターじゃねえか!


「ならまだ時間に猶予はあるってことか」


「はい、そうです」


 よしっ時間がある、考えろ、俺考えろ。……チクショウ何も思いつかねえ。


「こうなればやけくそだ、フレア!」

 俺は杖先から火の球を飛ばした。火の玉はイートにあたったがイートは無傷だ。


 やはり……水分の含有率が高いから意味が無いな。


「グフフフ、随分と可愛い女じゃないか、どうだどんな気分なんだ?パーティーメンバーと大勢の人間の前で少しづつ服を溶かされていく感覚はどうなんだ?ハァ……ハァ……、おじさん興奮しちゃう‼」


 キモイな!何こいつ、魔王軍幹部なんだよなずっとただのスケベモンスターなんだけど魔王が討伐された理由がなんとなく分かってきた。


「くっ!剣さえあれば簡単に脱出できるのに……よくも折ってくれたわね、あのハムスター絶対殺す!」


「えぇぇl!何でワイのせいやねん!」


「あんたがバカみたいに硬いバリアを張ったからでしょ。」


「理不尽な」


 詩織の奴予想外に元気だな……ってそんなこと考えてる場合じゃない。


「屑さん詩織さんを助けるには詩織さんをイートから切り離すしかありません。」


「そうは言っても切り離そうにも剣が無いからな……。」


「もう一人可愛い女がいるじゃないか!」

 イートは再びレベッカを狙う。


 やばい……俺じゃああの攻撃を防げないぞ。


「もう終わりだ……。」


 ズパッ!レベッカを飲み込もうとしていた触手状に伸びていたイートの体が細かく切り刻まれた。


「な⁉何ぃぃ⁉また貴様かぁ‼」


 そこには短髪黒髪で剣を持った四十歳ほどの男がいた。


「黙れ、金づる‼もっと切らせろ‼」


 男は目にもとまらぬ速さでイートを細かく切った。その際イートから詩織助けてくれた。


「今日はこのくらいにしてやるまたでかくなったら来い!」


「チクショォォ‼覚えてろ‼」

 イートは捨て台詞を吐いて逃げて行った。


 あの人相変わらず強すぎだろ、相手は魔王軍幹部だったのに……。


「屑君大丈夫か?」


「お陰様で僕は無傷です。」


「それにしても詩織は全然成長してないな。俺がいなくなってから訓練してなかったな。」

 と、嘆息を吐いた。


「あのあなたは……。」


「俺?俺は勇者の南哲也。南詩織の父親だ。よろしく!」


 勇者?酒場のジジイ言ってなかったな、あいつ面倒くさいからって説明何個か省いてやがったな。


「勇者⁉お父様⁉」


「そう、これが私の親父。」

 詩織はため息交じりに起き上がった。


「おじさん勇者って何ですか?」


「魔法使いや戦士みたいな冒険者職業の一つだよ」


「そうですけどそれだけではありません、勇者は最強の職業の一つで世界に五人しかいません。魔王を討伐したのも勇者の中の誰かだと言われています」


 やはり詩織同様哲也さんも化け物だな。でも誰が魔王を討伐したのだろうか?


「その魔王討伐したのは俺だよ」


「えええええ‼」

 と、俺達三人は驚いた。


 哲也さんは確かに滅茶苦茶強いけど魔王討伐してってやばすぎないか……。


 俺達は驚きのあまり声が出なかった、ただ口をパクパクとしている。


「ということはあなたが魔王の寝込みを襲って倒した勇者様なのですね」


 そういえばそうだった、魔王は寝込みを襲われて討伐されたんだった。さっきの驚きを返して欲しい。


「あれは嘘だ」


 なんだ、この人は魔王討伐してないのか。本当に驚きを返して欲しい。


「真っ向勝負でボコボコにしたってなったら誰も俺と戦ってくれなくなるから嘘ついたんだ。」


 いや真っ向勝負で倒したのかよ!やはりこの化け物だ。嘘つく理由が戦ってくれる人がいなくなるからってどれだけ戦闘狂なんだよ。


「哲也さんは何で魔王討伐したのにこの世界に残っているんですか?」


 魔王を討伐したら天国に行けるはずそれでも天国に行ってないのは何故だ?女神はやはり嘘つきで魔王討伐してもしなくても天国には行けないのか?


「魔王を討伐したあの日世界中の転生者に天国に行くかこの世界に残るか聞かれたんだが俺は魔王を討伐したから何でも一つだけ願いが叶う状態だったから別に今すぐいかなくても良かったから残っただけだ。」


 え?というてことはもう天国に行く手段は生きている間に徳をたくさん積むしかないってことか……、面倒くさいな。


「それより屑君、詩織二人とも成人したんだろう?酒を飲みに行こう!」


「ちょっと待ってくれ兄ちゃん達壊れた馬車代きっちり払ってもらうよ!五十万ギラね!」

 瓦礫の下から御者のおじさんが這い上がり言った。


 ご……五十万⁉馬車だからそれぐらいするのかはぁーまた借金だよ……。


「それならこれをどうぞ。」

 哲也さんは代わりに五十万ギラを支払ってくれた。流石に今すぐ支払われると思っていなかった御者のおじさんは戸惑っていた。そこから俺達は哲也さんに言われるがままカガクの国の酒場に向かった。俺達は酒場のカウンターに座った。


「マスター酒をあるだけ全部くれ!屑君、詩織と君は?」


 は?酒をあるだけ全部くれ?やはり詩織の父親だ哲也さんも極度のアル中なのだ。


「私はレベッカです。」


「レベッカ君よろしく、後ろの君は?」


 後ろ?もう全員そろっているはずだが誰のことを言っているんだ?


 俺は後ろ見るとそこにはクガがいた。


「屑よくもやってくれたぁ……、この我も流石に憤怒しているぞ」

 クガはガチギレしている。


 そういえばイートに襲われてすぐクガを囮に馬車から蹴り落としたんだった。詩織がイートに飲み込まれた衝撃と哲也さんが魔王を討伐したって話の衝撃が強すぎて完全に忘れてた。


「悪いクガ許してくれ」


「ダメだ!今の俺はボルケーノドラゴンよりも熱く煮えたぎっている、永劫の業火で灰とウプッ!ンンンン‼」

 クガは哲也さんの手によって口の中に無理やり酒を流し込まれた。


「まあまあそう怒りなさんな。酒を飲めば全部忘れるさ」


 やばい、ここに残ったら昨夜の二の舞だ、気を失うまで酒を飲まされ続けてしまう。逃げなければ……。


「屑、あんた一体どこにりこうってのろ?」


「お手洗いに……。」


 こいつもう完全に出来上がっていやがる。呂律も微塵も回っていし早く逃げなければ。


「何りってんのろ~?酒飲めば忘れるらろ~。」

 詩織は俺の首に腕を回し逃げられないようにして口の中に無理やり酒を流し込んできた。


 またかよぉ!気持ち悪い!こいつ昨夜のこともまだ復讐出来てないのに追加攻撃してきやがって、助けようとしてくれた命の恩人(仮)に向かってよくも~。


 それからどれほどの時がたったのだろうか気が付けば日は沈み再び日が頭上に上っていた。その中で覚えているのは閉店だからと退転しようとしたマスターにも酒を無理やり飲ませていた光景とゲロに映る自分の顔だけだ。


「うぅ……、おええええ!」


 朝、鳥のさえずりと俺の嘔吐音がドゥエットした。


 うぅ気持ち悪い……、本当にこの親子は似すぎだ良いところも悪いところも。


「おえええ!」


 どうやら俺と鳥のドゥエットの音でクガも目を覚ました。今度は俺のものとクガのものがブレンドされた。


「クガ……大丈夫か?」


「大丈夫な訳ないだろ……おええええ!」


 やはり不死身とは言えお酒には勝てないらしい。


「すいません二人とも私何もできませんでした。」

 レベッカが申し訳なさそうに言った。


 タオルに水か俺達のことを看病していてくれたのか……。


「別にいいよ……何で泣いてるの?」


「でもお二人が辛い思いをしている間ただ突っ立って見ていることしか出来なかったことが悔しくて、悔しくて。」


 まるでボス戦後のヒロインみたいなこと言いやがって俺達死んだのか?


「あれで何かできる人はいないよ、マスターだってゲロ吐いてるし。」


「あれくじゅ何してるの?うぅ頭が痛いわーコンディションリカバリー!」


 詩織は寝起き早々自分の二日酔いだけを醒ました。


「ふわーぁ……よく寝た。あれ、屑君?何故ここに?」


 何でこの人はあれだけの酒を浴びるように飲んだのに微塵も酔いが残ってないんだ?臓器まで化け物なのか?


「全く私という優秀な僧侶がいなかったら二日酔いが永遠に続いていたのよ。まあ私は優しいから治してあげるわ。コンディションリカバリー」


 詩織のスキルのお陰で俺とクガの二日酔いも醒めた。


 この野郎……今はゲロと一緒に魔力が流れ出てしまったから無理だがこの恨みはいつか必ず晴らしてやる‼


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