第21話 ムカつくあいつにゲロを吐きかけてやる
カガクの国への道中二日目にまたしても馬車が襲撃を受ける、しかし万全の状態ではない屑は対策に苦労する。
俺は東条屑。金の無い俺達はカガクの国に向かうためカガクの国行きの馬車の護衛任務を受けていたが、レベッカの装飾品を狙って盗賊ワシの襲撃を受けた。レベッカのフラッシュにより盗賊ワシの撃退に成功したがフラッシュの影響で馬車を引く馬が暴れたため馬車が倒れた。
昼間の草野原に十台の馬車が倒れている。
「兄ちゃんたち壊した馬車と荷物の代金は払ってもらうよ。」
御者のおじさんは顔を真っ赤にして怒った。
「はい、すいません。」
俺は頭を下げた。
やばい、運転手のおじさんガチギレしてる……。馬車ってどのくらいするのだろうか?もう借金は嫌だ……。
そこから俺達は倒れた馬車を起こし再びカガクの国に向かって進み始めた。そこからは何事もなく日が暮れあたりは真っ暗な夜になった。俺達は野営の準備をし、宴会を始めた。
「さぁ!今日はじゃんじゃん飲むわよ!」
詩織は昼間とは別の一升瓶を天高く掲げた。
こいつ昼間何があったか知らないのか?俺とレベッカはお通夜状態なのに……、もしかしてフラッシュをくらって倒れた後寝てたのか?
「何暗い顔してんのよ~、ほら飲みなさいよ。」
詩織は、俺の首に腕を回し無理やり口の中に酒を流し込んできた。酒豪じゃない俺は逃れようとジタバタした。
こいつ力強すぎだろ、微塵も逃れられそうに無い。息がしづらい。
「はい~、一本よく飲めらした~。続きまして第二本れ~。」
俺の口に一升瓶を流し込み終わり、次々とお酒を飲ましてきた。
うえぇぇ‼気持ち悪い‼俺は今何本お酒を飲んだんだ?
「ん?ここはどこだ?」
俺が馬車に乗せるため、眠らせておいたクガが目を覚ました。
「ここはカガクの国の道中です。」
レベッカが説明した。
「ハッ!思い出した。我は屑に深き眠りに堕とされたのだ。」
「おえぇぇ!」
俺は嘔吐した。詩織は俺の逆流するゲロを無視してさらに俺の口に酒を流し込む。
うえぇぇ!やばい意識が薄れていく、こんな死に方は嫌だ。
「詩織さんクガさんもお酒を飲んでいませんよ。」
「え?」
クガは困惑している。
「仕方らいわね、あんたもあたしが飲ませてあげるわよ。」
と、俺を解放し、今度はクガの首に腕を回し口に無理やり酒を流し込んだ。クガもジタバタと暴れている。
「ハァー、ハァー」
永遠のように感じた十数秒がやっと終わった、自由に息ができる。というかズキズキと頭が痛いあのクソ女絶対に復讐してやる。
「屑さん大丈夫ですか?」
心配したレベッカはこちらに駆け寄ってきた。
そういうことか……、俺がヤバかったから死なないクガを身代わりにしてくれたのか……。
俺は薄れゆく意識の中最後に詩織に酒を無理やり飲まされてジタバタしているクガを見た。
夜が更け太陽が昇った。俺は朝日に照らされて目が覚めた。
屑さんおはようございます。」
「おは……よう。」
目が覚めるとそこにはドアップのレベッカの顔があった。きっと大量の酒を飲まされて寝た俺のことを心配していたのだろう。
「兄ちゃんたちやっと起きたの?そろそろ出発だから急いで用意しな」
俺は眠い目をこすりながら起き上がった。
あれ?泥酔して寝てたのか……。
「そうだ、あのクソ女はどこだ?いた!」
俺は顔が真っ青なクガの口に酒瓶を突っ込んだまま眠っている詩織を発見した。
クガ一晩中酒を飲まされていたのか普通は死ぬのに死んでないな、流石はユニークスキルノットダイ(死ねない)だ。とはいえ死ねないが故に苦しみが続くのか、チートスキルだけどチートスキルしてないな。
「あああああ!」
俺は倒れた。
二日酔いだ、頭がガンガンして視界はぐにゃぐにゃ。
レベッカは元気だな、詩織に何もされなかったのか。
「屑さん大丈夫ですか?」
「いや……、大丈夫じゃない。馬車出発するらしいから寝ているそこの二人と俺を馬車に乗せてくれ。」
クガと詩織を指差し、レベッカに指示した。
「分かりました。」
レベッカは俺達を馬車に乗せ馬車が出発した。
三時間ほどして詩織が目を覚ました。
「ふわぁーあ……、イタッ!二日酔いだわ。」
詩織は起き上がってすぐ額を抑えた。
バカめ、あれだけのお酒を考えもなしに飲むからだ。ざまあみろ、マヌケ!俺と同じ苦しみを味わいやがれ!
「コンディションリカバリー、ふう……、これで楽になったわ。」
詩織はスキルで二日酔いを覚ました。
そうだった、こいつ回復スキル使えないけど状態異常を治すスキルは使えたんだった。俺も助けてもらおう。
「詩織、俺の二日酔いも頼む。」
「嫌よ!自分のキャパも考えずにバカみたいにお酒飲んだだけでしょ自業自得よ!」
「ふざけ……、おえぇぇぇl!」
俺は馬車の揺れで気持ち悪くなり馬車の外に嘔吐した。
ふざけんなよ、クソ女が!お前に無理やり酒を飲まされたからなのに俺が自分で飲んだことにしやがって必ず後悔させてやる‼
「詩織さん違いますよ。」
「レベッカちゃんこんなやつ庇わなくていいのよ。護衛任務という仕事の最中に二日酔いになるくらいお酒を飲むバカなんて見捨てなさい。」
こいつっ‼いつかの復讐をもう待てないな……、今ここで復讐してやる!
「そうか……、そっちがその気ならくらえ!おえぇぇぇぇ‼」
と、俺は馬車の床に嘔吐した。
「あんたなにやってんのよ⁉ちゃんと外に向かってゲロ吐きなさいよ!」
フハハハ!ざまあみろ、この俺に喧嘩を売るからだ、このバカがよぉ‼さらにもう一発くらえ!
「おえぇぇl!」
俺はさらに嘔吐した。馬車の床はゲロまみれで足場が無くなった。詩織は寝ているクガの上に乗った。
「レベッカちゃんこっちよ!」
と、レベッカに手を伸ばした。
「えっ、でも……。」
レベッカはクガの上に乗ることを躊躇している。
詩織のやつうまいこと逃げやがって、どうすればあいつにゲロを吐きかけられるんだ?考えろ、考えろ。
「レベッカちゃんこっち来ないとゲロの上に立ち続けることになるわ、早くこっちに来て。」
「うう~、分かりました。」
レベッカも寝ているクガの上に乗った。
「あの詩織さん……、屑さんが二日酔いになっているのは昨晩抵抗する屑さんに詩織さんが無理やりお酒を口に流し込んだからですよ。」
「え?……あっ!……すいませんでした。」
「バカが謝っても遅いんだよ。俺が二日酔いから復活したら必ずお前に復讐してやる、それまで指をちゅぱちゅぱ加えて震えてろ。」
別に今のゲロ攻撃がダメでも二日酔いさえ覚めればスキルが使える、グフフフ、フハハハ!もう待ちきれないなぁ!
ドカーン‼突如として大きな音と地響きがした。
「なっ、なんだ⁉」
「うあああ!まっ、魔王軍だ!」
と、馬車の運転手はあたふたしている。
「魔王軍⁉どういうことだ、魔王は討伐されたって言ってたよな?」
もしかして魔王は実は生きていたパターンか?
「はい、魔王は討伐されています。しかし王を失ってなお魔王軍として人間を攻めてきているのです。」
「そういうことかよ!」
「そんなことより屑どうするのよ、音がした方からバカみたいにでかいスライムがこっちに向かって来てるんだけど。」
「は?どうも出来ねえよ。お前のせいで未だに自由に動けないんだからな、早く治せよ。」
「屑なしでどうにかしないといけないなんて……。」
「何でだよ!治せばいいだろ。」
「でも治したら私に復讐するでしょ、だから治さないわ。」
は?何を言っているんだ、このバカは。このままだと皆仲良く魔王軍のバカでかいスライムに殺されるかもしれないってときに。
「今はそんなことしてる場合じゃないだろ約束する。」
「言ったからね、ちゃんと約束守りなさいよ。コンディションリカバリー」
詩織はスキルで俺の二日酔いを覚ました。
「ふー、やっと二日酔いから解放された。後悔しろ、詩織ぃ‼」
と、俺は勢いよく起き上がった。
「キャッ!」
と、腕で守りの姿勢に入った。
「フハハハ、引っかかったな。」
と、詩織を指差し笑った。
「こんな時に何してくれてんのよ。」
「二人とも落ち着いてください。今は目の前の敵に集中してください。」
と、俺と詩織の間に割って入った。
「そうね」
「そうだな、あれってスライムだよな?」
「はいその通りです。」
やはり……、そしてこういう時は主人公が弱いと思っていたら実は強かったパターンだな、つまり逆に強いだろって感じで言えば弱いってなるな。
「スライムって強……。」
「でもスライムって雑魚でしょ?」
と、詩織は俺の発言を遮った。
このバカー!何でおれの作戦の邪魔するんだよ!
「何を言っているんですか、スライムはとても強いですよ。スライムは斬ったり、スキルで攻撃をするなどして小さくし最終的にこのハムちゃんと同じくらいのサイズにすると討伐完了です。」
「は⁉今ビルくらいでかいのに無理だろ。」
「びる?……、それがどういったものかは知りませんが、魔王軍幹部のギガントスライムのイートに出会ったら逃げろと言われています。」
「魔王軍幹部⁉勝てる訳無い、屑私たちをテレポートして」
「無理だ、ゲロ吐きまくったからお前らとテレポートできる魔力残ってない。」
「いつも私のことを無能呼ばわりする癖にあんただって無能じゃない!」
「ふざけんじゃねえ!お前のせいでげろ吐いたんだろ。もういい俺だけテレポートで逃げるぞ?」
「嘘です、無能は私です。ごめんなさい、だから置いて行かないで下さい」
素直に謝るなんてこいつらしくないな……、余程魔王軍幹部が怖いらしいな。
「分かればよろしい。」
「そんなことしてる場合じゃないですよ、もう目の前に来てますよ。」
「本当だわ、屑どうする?」
「とりあえずクガを起こせ。」
「分かったわ、コンディションリカバリー」
「ハッ⁉我は今まで何を⁉」
クガは目を覚ました。
「えー!何故イートがここに?これも運命の悪戯、我の伝説の始まりの一ページ。」
こいつ今ちょっと素が出てたな。
「クガ俺に作戦があるイートの方を見てくれ。」
俺はクガを荷台の端に案内した。
「フッ!なんだ?あんなやつこの我が一撃で葬り去ってくれよう。」
「作戦は……、これだよ!」
と、クガの背中を蹴り荷台から蹴り落とした。
「うわっ!イテテ……。グヘッ!グホッ!ゴフッ!」
と、起き上がったが後続の馬と馬車に轢かれ再び倒れた。すぐにクガは血だらけになった。
「あちゃー……、クガは自分から最前線に来てくれたのにすまない。」
「そうね、今思い返すとクガは本当に良いやつだったわ?」
「いいやつだったわって……、あの屑さん作戦って一体何なのですか?」
「不死身のあいつなら様子見で使っても問題ないしできれば時間稼いでもらってその隙にカガクの国に逃げる。」
「え?でもそうしたらクガさんが死んでしまい……はしないのですが大変なことに……もならないのですが可哀そうなことになります。」
不死身の奴のことを話すときって表現に困るんだな、あいつさなくても面倒くさいのか。
「だけどカガクの国の人たちに助けを求めれば大丈夫だろ、だって最強の闇スキルの使い手集団なんだろ。」
「それはそうですが……、スライムの毒性で骨も残らず溶けた場合って不死身でも回復魔法が使えないので実質死なのでは?」
「あっ!確かに……。」
うわぁ、最悪だよ。俺が殺したみたいになるじゃん、後味悪いな。
「え?え?考えていなかったのですか?」
「うん、完全にミス。ま、まあでもイートが血だらけのクガを攻撃しない可能性もあるから。」
目の前に来ていたイートはクガを取り込んだ。
はい、攻撃しましたー。クガは不死身でありながら実質的な死に至りましたー。
「ど、ど、どうするのですか?」
「どうするもなにも何とかしてクガをイートから切り離さないと。」
俺とレベッカは詩織の方を見る。
「私⁉私は無理よ、そもそもレベッカちゃんの剣折れてるんだから。」
そうだった、金集めのためにあの喋るハムスターとの一騎打ちをさせて折れたんだった。あれ?あいつはどこだ?
「あのハムスターはどこだ?」
「え?ハムちゃんなら屑さんのポケットで寝ていますよ。」
「え?」
俺はポケットに手を突っ込み確認した。
あっ、本当にいた。こっちがピンチな時にずっと寝やがって……、あとで罰が必要だな。というかいつの間に入ってたんだよ。
「俺は暴食イート。魔王軍幹部ギガントスライムのイートだ。この俺に出会ったことが運の尽きだァ!貴様らも食ってやる!」
と、イートは体の一部を拳の形にして馬車に振りかぶった。
「やばい、避けろ!」
俺達は馬車から飛び降りすんでのところでイートの攻撃を回避した。イートは馬車を粉々に粉砕した、そして攻撃の風圧が吹き荒れた。
な、なんて破壊力だ……。こんなのもう逃げられないな、あと少しでカガクの国に到着できたのに。クソスライムが!いつかローレンみたいな強いやつらを引き連れて殺してやる、そのために俺だけは逃げないといけないのでテレポートで逃げよ。
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