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私は冷凍マグロじゃないんだよ!

人間ていうものはなんと言うか、自分がやばい状態の時、無意識のうちに最悪の状況以外の選択をしてしまうらしい。

今 正に私の状態がそう。

頭の片隅にもしかすると脳血栓かも…と言う言葉がよぎったが、絶対に脱水症状による意識混濁だと自己分析していた。


後で息子に聞いても私と同じ事を思ってたらしい。

確かに脳血栓や脳率直の場合は時間との勝負と言われてるけど、どう後で考えても、最初の症状から既に2時間以上経ってる。

その後も自分で車を運転していて、2度ほど左腕が強くガクンと引き落とされる症状も出てた。

そう考えると、病院に行くまでの間にすでに3回目の小さな脳血栓か、脳率直を起こしていたのかもしれない。


医師が来て言うには、今は血栓の所をスムーズにさせるために血の流れをサラサラさせる薬を投薬中。

少し様子見するらしい。


じゃあこの症状の原因は?と聞くとまだ不明との事。


チャリーン


あ、また何処かで100$単位のお金が病院という名の底なし沼に収められてく。


指先に嵌められてるバイタル(心電計)が赤く灯っている。

チャリーン


これ迄いくら請求されるんだろう…?


アメリカの病院は日本の病院と違って、保険会社によって受入拒否される事もある。

日本じゃ考えられない。

ERの病棟はちょっと豪華な野戦病院という感じ。

腕にはいつの間にか点滴打たれてるけど…

その針の周りに何ヵ所も赤くなってるんだけど…


これって絶対に失敗したんだな。

実は私の血管は細くて少し硬いらしく、普通アメリカで使われてる点滴用の針では血管が破れてしまう。

看護士の説明によると、新生児用のbutterfly needleを使用してようやく点滴針が血管に入ったらしい。


チャリーン


これもお高いんでしょうねきっと…

アメリカに何年も住んではいるが、私自身そんなに英語は上手くない!

助詞の失敗ありまくりでも会話というものは、なんとか通じるのだ。


医師や看護士との会話は息子が通訳してくれました。

ありがとう息子よ。


このチョイリッチな野戦病院じゃない、ERの中は冷蔵庫並みに寒い。


私の場合は点滴も打ってるので、更に体の芯から寒い。

毛布を貰たが、

 チャリーン

ここでも病院貯金箱か、底なし沼にお金が吸い込まれる。


さっきからトイレに行きたくてたまらない!

たまるのはお金にしてくれ!!

この一時間で四回以上ナースコールを押して、トイレへと歩いて行った。

もちろん最初は一人で看護士に支えられ歩いたがな。

何故か真っ直ぐ歩けない。

左に寄ってしまう。

ウォーカーを使っても同じだった。


自分の体が自分のものじゃないみたいに、不可思議。

あ、ナースコールのたびに、瞳孔チェック、脚を片方ずつ上げて、空中で五秒静止、痛覚チェックもされる。



痛い‼︎


と言うと手を上げて反応してくれと言われる。

痛さは分かるんじゃ!

さっきからナースコールの度にこう言う事をやられてるから、脛は青痣が出来てる。


ただでさえ、字ができやすいのに。

医師の巡回が来て、症状は脳血栓と言われ、CTスキャンとX線画像を見せてもらった。

医師の説明では右脳のところに白い点がワタのように滲んでるのが脳血栓の場所だと。

このくらいの状態だと薬での処置になる。


   チャリーン


ここに来るのが明日の朝だった場合は、この白い部位が拡大し、開頭手術になります。


   チャリーン チャリーン チャリーン チャリーン


無限に続く病院という名の底なし沼への献金額。

左へと体が傾くのも、顔の左側の筋肉が下がってるのもそのせいだと言われた。


水をうまく飲み込めないのもそのせいなんだと理解した。

普通なら直ぐに病棟へと運ばれるが、下火にはなっていても、未だにコロナ被害はある。

その為、ERでベッド待ちだそうだ。


    チャリーン チャリーン チャリーン


原因きゅうめいのtsめw、血管に数ミリの単位で造影剤を入れ、CTスキャンで発生場所を判明させる手段を使うという。

バブルテストと言うが大丈夫なのかと聞けば、安全らしい。

マジかよ…。

チャリーン  チャリーン  チャリーン  チャリーン


点滴を止め、 注射器でほんの数ミリにも満たないくらいの空気を入れるだけよと言って入れ始めた医師。


いきなり頭が重くなった。呼吸をする度、ヒューヒューと変な音がする。

医師が足を上げて空中で止めてと言っても、、パタンと脚は落ちる。


バイタルも乱れていたらしく、さっきまで余裕綽々だった医師の表情が青くなってる。


最悪じゃん


「 CTスキャン室へ」


チャリーン チャリーンチャリーン

チャリチャリーン


急いで! の掛け声と共に、二人の看護士さんがやってきた。

「症状は?」

「脳血栓 発症から一二分経過。

ベッドの両脇のガードがあげられて、キャスター止めが外さた。



お? おお??

これって医療ドラマみたいじゃね?

アトラクションに乗った気分になる。

ちょっと気分は夢の国のなんとかマウンテン。


「あ!ダメよ!!そのエレベーター使っちゃダメ!」

「なんでよ!五分しかないのよ!」

私の頭上で交わされてる会話が面白くて、ププと笑ってしまう。


「だって私、そのエレベーターに呪われてるのよ!」


「(なにそれ!?)」私の心の声ともう一人の看護士の声が重なった。


エレベーターに呪われてる看護士が言うには、自分が使うときになってエレベーターが機動停止したり造影室がある地下階へ行くのに使う時は必ず屋上へと行ってしまうらしい。

「(んなアホな)」


まあ結局この呪われたエレベーターを使うことになった。



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