臨死体験で湘南海岸へ
一度、短編で投稿していたのですが、長くなるそうなのと、指のリハビリも兼ねての投稿なので、連載版にしました。(手違いで消してしまったとも言う)
私もまさか自分が脳血栓で倒れるとは思わなかった。
コレはつい一か月前の事です。
昔と言えば百年前と言われるけど、あれはその半分だったから半世紀前だろうか
まだ私がピュアな子供時代の頃。
祖父母と同年代の老人たちに言われていたことをふと思い出す。
〜美琴ちゃん。 あなたは慌てん坊さんだから、ばあばは心配だわ。でもね人間は死ぬ直前ほど冷静なんだよ〜。
普通三、四歳の子供にそんなこと言うか?
冷静だからこそ、普段は行かないような高い山や深そうな海の上に降り立つことができるようになるって。
最初聞いた時は、それって人辞めてね?
やっぱ仙人は人間じゃなかったんだとその時は思ったけど。
正に今がその状況。
目の前に広がるのは懐かしい海の景色。
アメリカにはない日本ならではの港街に自然と顔が綻ぶ。
ふと足元を見れば、私ってばとんでもないとこに立ってるよ。
岩の上に立っている私の視界の向こうには、ひだりには富士山が大きく見える。右の方には霞と言うか、スモッグがかかってるのか、微かに見えるのは江ノ島。此処ってもしかして…
海岸の方には五月蝿いくらいに人がうじゃうじゃいる。ゴミかGが頭に付く主婦の敵みたいじゃん。5月のこの時期って言ったら確か、海岸清掃週間だったわ…。
棒老舗ロックバンドの出身地だよね…
日本に帰って来たんだという想いでブワァあと心に広がる。
次に降り立ったのは、さっきまで岩の上から見えていた、江ノ島の展望台の上。
頭上を見上げれば光の雲が見える。此処って竜神を祀ってるんだったよね。
耳をすませば、誰かの声が聞こえるようだ。
殿上の天使の歌声ってこう言うのなんだ。心が洗われる〜とうっとりしてたら、『!!』
いきなりの雷に撃たれたみたいな衝撃で、私は暗い海の中へと落ちて行った。
どうやら、自分の身体に帰って来たらしい。
「大丈夫ですよ〜。」
(眩しい‼︎ 眼鏡ないし、全然見えないよ。)
突然頭に響く女声の声。「バイタルチェック」
「意識レベル低下!もう一度お願いします!」
(何をお願いするっての?)
嫌な予感しかしない。
いきなり身体中を走る強大な静電気。空気が肺に入り込んできてからはもっと苦しくなった。薄らと目を開けると「意識確認」バイタルチェック呼吸心拍戻ってきましたと言う声が頭上と足下から聴こえる。
さっきから意識ありありだっつーの!
え?此処って何処よー!! 歯医者?
「ろ…ろ。」
「
掠れた声で聞けば「此処は病院です」と言う声が返ってきた。
やっぱり病院?
視界が大きくぐにゃりと曲がり、気をやった。
痛みも苦しみもなかったさっきまでとは大違いだ。
次に目を開けると顔を硬らせた息子の「母さん気がついたんだね」の言葉にホッとした。
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