2/16
第2話 異世界転移
謎の穴に落ちて数秒後。
気が付くと俺の目の前には、
「どこだ、ここ・・・?」
さっきまであった壁は無く、眼前に広がるのは広大な自然だった。
堂々と咲き誇る花々。
幸せそうに飛んでいる蝶。
意気揚々と飛び跳ねる鹿たち。
それを追いかける体長5メートルのウサギ。
とても奇麗な景色だ。
・・・
・・・
・・・
「・・・ん? ウサギ?」
俺が疑問に思ったときには、もう遅かった。
<グガァァァァァァ!!!!!!>
「っえぇぇぇぇえええ!!!!????」
鹿をも喰らうドデカいウサギに追いかけられ、俺はようやく理解し始めた。
きっとそうなのだろう・・・。
ここは、俺の世界とはまた違う世界。
どうやら俺は――
「異世界転移したのかぁぁぁあああああああああああ!!!!?????」
こうして俺は異世界に転移したのだ。
そして、この6年後――
俺は、
”最悪の英雄”と呼ばれることになるのだが
「誰か助けてくれぇぇぇぇぇええええええ!!!!」
この時はまだ、誰も知らない。