好きなアイツは超クール 真梨澪のホワイトデー
さて、今度は真梨澪の視点から。
受け手としてはどんな感想を抱いたのか。
私の作品を幾つか読まれてる方なら、もうオチは読めてると思いますが。
書き慣れた落語を聴くような、穏やかな気持ちでお楽しみください。
明人が来た! ホワイトデーの朝に来た!
明人の性格からお返しはしてくれると思ってた!
寝癖なし! 化粧は不自然だからなし! 一番可愛い部屋着を着て、いざ!
「よ」
「おはよ。どしたの? こんな日曜の朝から」
あぁもう格好良い! お返し渡すだけだからラフなんだろうけど、それがまた良い!
「これ澪に」
「何?」
お返しだ! やった! 何だろう! 何でも良いや! 明人のくれるものなら何でも嬉しい! 大事にする!
「バレンタインのお返し」
「あぁ、わざわざありがとう。別に良かったのに」
「そういう訳にもいかないだろ。美味かったしな」
「そりゃどうも」
美味かったって言った! やった! 渡した時にも言われたけど、何度言われても嬉しさが止まらない!
「開けてもいい?」
「あぁ」
すぐにお礼が言いたくて、というかもう見たくて、袋を開けた。……え、うそ、何で!?
「わ、阿甘亭の宝石どろっぷじゃない」
「それなら手作りと何とか釣り合うだろ」
「何か気ぃ遣わせちゃって悪かったね」
「別に、土産物とかで遣ったり取ったりなんて今更だろ」
「それもそっか」
これ確か一個250円だったよね!? それの詰め合わせ!? 一体いくらかけてくれたのよ……。手作りなんてお金的にはめっちゃ安いのに……。
「うん、この上品な甘み、好きだわ」
「そっか」
美味しさと嬉しさで顔がにやけそう! ダメだ! 話題を変えないと! あ! そうだ!
「ねぇ、ホワイトデーのお返しの意味、知ってる?」
「は? バレンタインのお返しだろ?」
明人は知らないのかな? キャンディをお返しにする意味、教えたらどんなリアクションするんだろ?
「渡すお菓子に色々意味があるのよ。マシュマロは『実は嫌い』、クッキーは『友達でいよう』、チョコレートは『君の気持ちには応えられない』、そしてキャンディは……」
「キャンディは、何だよ?」
……言えない! 恥ずかしい! すごい自意識過剰っぽい!
「……何だっけ」
「忘れてんのかよ」
「ごめんごめん。ど忘れした」
「自信満々に言っておいて、何だそりゃ」
「お詫びとして一つ分けてあげよう」
良かった、知らないでいてくれて。知っててキャンディ選んでくれたとしたら、私、もう……。
「サンキュー。……ん、やっぱりこれ美味いわ」
「ありがとね。大事に食べるわ」
「おう。じゃあな」
あ、帰っちゃう! 明人が帰っちゃう! せめて何か一言!
「また明日。学校でね」
「あぁ。また明日」
これで明日からも幼馴染。残念な気もするし、これで良かった気もするし、何が良かったのか分からない。
ただ、今明人と同じ味を味わっている事、それが幸せな事だけは間違いないよ。
読了ありがとうございます。
はい、そんな感じでまた駄目だったよ……。
噛み合うようで噛み合わない、かなり噛み合っている幼馴染、お楽しみ頂けたでしょうか?
間に合って良かった……!
次はもう少し余裕を持って書きたいものですが、次のイベントって何だろう。クラス替え、とか?
何か「このシチュエーションで二人がどうするのか見てみたい!」的なリクエストありましたらお寄せください。
採用された方には作品の投稿を以って変えさせて頂きます。
……後輩ちゃんを早く何とかしろ? ごもっともです。頑張ります。