好きなアイツは超クール ホワイトデー編
ホワイトデーはまだあるかっ!
遅くなりまして申し訳ありません。
ホワイトデー突発短編、仕上がりました。
バレンタインを書いたら、ホワイトデーを書くしかないじゃない!
そう思ったのが昼過ぎって、本当に度し難い。
相変わらずの大急ぎなので粗は山ほどあるかと思いますが、寛大な心でお読み頂けましたら幸いです。
今日は三月十四日。ホワイトデー。
バレンタインのお返しに菓子などを贈る日。
そんな日曜の朝。
「よ」
「おはよ。どしたの? こんな日曜の朝から」
振井明人は、お隣同士で生まれた日まで同じという、筋金入りの幼馴染、真梨澪の家を訪ねていた。
「これ澪に」
「何?」
明人に差し出された紙袋を、澪は怪訝そうな顔で見つめる。
「バレンタインのお返し」
「あぁ、わざわざありがとう。別に良かったのに」
「そういう訳にもいかないだろ。美味かったしな」
「そりゃどうも」
遠慮する様子もなく紙袋を受け取る澪。
「開けてもいい?」
「あぁ」
袋を開いて取り出すと、そこには宝石のような煌びやかな輝き。
「わ、阿甘亭の宝石どろっぷじゃない」
「それなら手作りと何とか釣り合うだろ」
「何か気ぃ遣わせちゃって悪かったね」
「別に、土産物とかで遣ったり取ったりなんて今更だろ」
「それもそっか」
澪は頷くと、どろっぷの袋を開けて一つ口に放り込む。
「うん、この上品な甘み、好きだわ」
「そっか」
機嫌良くどろっぷを転がす澪の目に、少し意地悪い色が浮かぶ。
「ねぇ、ホワイトデーのお返しの意味、知ってる?」
「は? バレンタインのお返しだろ?」
明人の返しに、澪は軽く肩をすくめる。
「渡すお菓子に色々意味があるのよ。マシュマロは『実は嫌い』、クッキーは『友達でいよう』、チョコレートは『君の気持ちには応えられない』、そしてキャンディは……」
「キャンディは、何だよ?」
しばし沈黙が二人の間に流れる。
「……何だっけ」
「忘れてんのかよ」
「ごめんごめん。ど忘れした」
「自信満々に言っておいて、何だそりゃ」
「お詫びとして一つ分けてあげよう」
呆れる明人に、澪はどろっぷを一つ渡す。
「サンキュー。……ん、やっぱりこれ美味いわ」
「ありがとね。大事に食べるわ」
「おう。じゃあな」
踵を返してドアノブに手をかける明人。
「また明日。学校でね」
「あぁ。また明日」
背中越しの会話を最後に、二人のホワイトデーは終わりを告げた。
読了ありがとうございます。
続けて振井明人のターン。
平然と渡しているようですが果たして……?