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第1話このまま人生を終わりにしたくない

プロローグ(リサが転生することになった経緯について)です。本編は次回からはじまります。よろしくお願いします。

「そんなに大事な記憶なら思い出すよね?」

目を細めて私を見たその目には期待の色が浮かんでいた。


◇◇◇


私は仕事帰りに弟の……と約束をしていた。オフィスを出ようとしたときに限って急ぎの連絡が入ったため待ち合わせの時間に少し遅れてしまった。レストランの前に立つ……を見かけて手を振りながら名前を呼んだ。」

「……!」

……はいつもの笑顔で振り返ったがすぐに驚きの表情に変わる。

「ごめん!またせちゃて……。」


ドン


鈍い衝撃を背中に感じてそのまま前にのめりこんだ。アスファルトに体が打ち付けられた衝撃でうめき声がでたことにも気が付かなかった。視界の端に赤いシミが広がっていくのがみえた。


「……ぐっ……。」


背中に何か重みを感じた。息をするのもつらい。


「姉さん!」


……が私を呼ぶ声が遠くに聞こえた。


◇◇◇


「いらっしゃい。」


声をした方を見るとほっそりとした白色に近いシルバーブロンドの男性が立っていた。あたりは真っ白な光に包まれている。

「目が覚めたばかりかな。覚えてる?」

彼がパチンと指を鳴らすとそこは"約束のレストランの前"だった。

「これが君が見た最期の景色だよ。」

ぼんやりと映画を見ているような感覚だった。

「私は殺されたの?」

「そうだね。」

「誰に?」

「君は知らない。」


パチン


彼がもう一度指を鳴らすと映像は消えて元の真っ白な世界に変わった。

「君は亡くなった。君は悪くない、不運だった。だからすぐに転生できる。次の生ももう既に決まっているよ。」

「私はなんで……?」

「それを教えることはできない。」

「なんで?」

「今みた通りさ。君は何も知らないで亡くなる。」

「自分のことなのに?」

「だからだよ。」


ほほを何かが伝う感覚があった。


「大丈夫、何も怖いことはない。次の世界は異世界だ。違う世界を楽しむといい。」

「私はまだやりたいことがあるの。だから、お願いだから戻してほしい。」

「既に君の命は尽きている。そして、もうすでに君の次の生は決まってしまっている。動いているものを止めることはできない。」

「せめて……。……にもう一度会いたい。」


「それなら僕を楽しませてくれる?僕、変わらない毎日に飽きていたんだ。」


彼は私のほほを手でつつみこぼれた涙に唇を寄せた。


「君たちの世界には乙女ゲームっていうのがあるじゃないか。それ、現実世界で見てみたいんだ。君が次に行く世界は魔法も使える貴族社会だよ。"異世界転生"っていうんだよね?そこで年頃の君は素敵な男性と出会う。もちろんハッピーエンドもバットエンドもあるよ。そこでハッピーエンドを迎えたら…。リサ。君が亡くなった時に送ってあげる。事件をなかったことにはできないけど、君がどう行動するかでもしかすると未来が変わるかもしれない。」


どうする?と彼は私の目をじっと見つめた。乙女ゲームの世界を現実でということは、誰かと恋をして結ばれればよいということなら…。


「そう簡単でしょ?」

「本当に戻れるの?」

「君がハッピーエンドを迎えたらね。ハッピーエンドは1つではないよ。」

「えぇやるわ。」

「そう。じゃあ……参加料に君の記憶をもらうよ。」

「えっ?」

「ほら。もう時間がない。」


彼が私に口づけをすると眩い光に吸い込まれていった。


「いってらっしゃい。次は幸せをつかみ取るんだよ。」

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