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王都からの使者

ん?ん?んーー。ふぁ〜良く寝た。

さあ、今日も一日頑張りますか。


ドタ!ドタ!バタン!


突然部屋のドアか勢いよく開けられた。


「おはよう!ソーマ!起きてる?早く起きなさい!」


開けられたドアに仁王立ちするお姫様。


そう。あれからお姫様は《剣聖》と《魔導姫》から学びたいとかなんとか理由をつけて、伯爵家へと居候を決め込んだのだ。

そして、一週間が経過しての今である。


驚きだったのは、父様は《剣聖》、母様は《魔導姫》と呼ばれている事だ。僕からみると、普通の親(親バカ。)なんだけど...。


最初、姫のお付きの家臣さん達は王都に早馬を送れとか有力貴族の反発がどうだとか慌てまくりで見ていてすごく気の毒だった。

でも、最終的には《剣聖》と《魔導姫》のネームバリューとイリスのゴリ押しで王様も観念したらしい。


ただやっぱりイリスと一緒にいられるのはとても幸せだった。


お互いの転生から今までの話をしたり、父様や母様から二人で学んだり(剣術ごっこや魔法を使っての家事手伝いである。)して充実した日々を過ごしていた。


イリスの話では僕の転生が決まった当初から自身も転生する事を計画していたらしい。なんでも記憶の無い僕を見守る(見張る?)つもりだったらしく...。

でも、そこはポンコツ女神?らしく自身の転生に失敗、神としての能力を置いてきちゃった♪テヘッ♪だって...。だから今はちょっと魔素の器の大きい普通の女の子らしい...。


僕の記憶が消えて無い事に気がついた時はかなり焦ったらしいけど、すぐに復活して「ラッキー♪」って思ったって。


...イリスが滞在して、一カ月が経過した...。


朝早くに王都から使者が訪ねて来て、父様へ書簡を渡し帰って行った。


「ソーマ、イリーシア様と共に書斎に来てくれるかい。」


「うん。わかった。イリーシア様を呼んでくるね。」


急いでイリスを探し、父様の書斎へ二人で入る。


「それでどうしたの?父様。」


渋い顔をしながら父様が口を開いた。


「先程、王都より公王の使者が訪ねて来たのは知っているな。書簡によるとそろそろ姫様の滞在に難色を示す貴族達の抑えが効かなくなって来たらしい。姫様、そう言う事ですのでそろそろお帰りになられた方が宜しいかと...。」


イリスさん?今、あからさまに嫌そうな顔しましたよね?


「...そうですわね...。いつまでもブルーリーフ様にご迷惑をお掛けする訳にもいけませんし。一度王都へ帰りますわ...。」


寂しいけどしょうがない...。今、イリスはこの国の姫君なのだし、ずっと家にいる訳にはいかないか...。


「それでソーマ。お前もイリーシア様と共に王都へ来いとの仰せだ。公王がお前に会いたいそうだ。」


えっ?なんで公王様が僕に⁉︎ふと隣を見るとイリスが素敵な笑顔で僕を見ていた...。

何か企んでいるようだ...。


「ソーマ様、道中の護衛を宜しく頼みますわ。」


「ソーマ...。余り無茶をせぬようにな...。出立は明後日になるだろう。準備しなさい。まぁ、ソーマは大丈夫だろうがな。」


あ、明後日ですか。

大丈夫って、まだ僕は六歳だよ。はじめてのお使いが姫君の旅の共なんてハードル高くないですか...。

でも、若干の不安はありつつも、まだ見ぬ領外へのワクワクで興奮する。


「はい、父様。少し心配ですが、イリーシア様をお守りして来ます。」


領外には魔物がいるらしいけど、王都まで馬車で三日位だし、ブルーリーフ領から王都までは道も整備されているので、比較的安全らしいしなんとかなるさ。


「それから、一応念の為に冒険者ギルドに護衛の依頼を出してみたんだが、運良く今領内にBランクの冒険者パーティーがいるらしいから護衛の依頼をしておいた。彼等と共にイリーシア様の事、頼んだぞ。それから武具庫に行って、装備を探しておいで。比較的安全だと言っても領外では何があるか分からないからね。」


そう言って武具庫の鍵を渡してくれた。

それじゃ早速覗いてみますか!

イリスも誘ってみたが武具には興味がないらしく、母様と魔法(家事)の勉強をするってさ。


ガチャっ。今まで、危ないからと入れなかった武具庫に入ってみる。さすが《剣聖》と《魔導姫》と言われる両親の武具庫だ。ところ狭しと色んな武具が揃っていた。

目につく武具を手にしてみるが、大人サイズの物ばかりでなかなか良いものがない。随分と奥まで来た時、二振りの刀を見つけた。

大刀はまだ僕には大き過ぎるが脇差は丁度良いサイズだ。鞘から抜いて見るとかなりの業物らしかった。僕は脇差を持って部屋を出た。


「父様、僕、これにしました。」


そう言って父様へさっき見つけた脇差を見せる。


「それか?それは大小を併せて装備する【カタナ】という物らしいが、普通の剣より刀身が細くて反り返っているから使いづらそうでしまっていたんだ。本当にそれで良いのか?」


そうか、この世界の剣は中世ヨーロッパのバスタードソードが基本だった。だから叩きつけて切断する使い方は日本刀には無理だ。


日本刀の本当の使い方は出来るだけ刀身を合わせずに躱しながら切る事と突く事だ。本来の使い方を知らなければ刀身が細くて薄い刀は心許無いのだろう。

でも僕は知っている。刀の使い方と素晴らしさを。


「はい。これが良いです。だって他の剣はみんな大き過ぎるんだもん。」


本当なら大刀も欲しいけど、大きくなるまで我慢しよう...。


「ゴメン、ゴメン。武具庫は父さんと母さんの物だからソーマには合わなかったね。それじゃ、お小遣いをあげるから武具屋で買って来なさい。町外れの鍛冶屋のドルーフは知っているね。彼の所へ行けばなんとかなるさ。」


そう言って小白金貨をくれた。

「えっ?白金貨⁉︎」

この世界の貨幣価値は


鉄貨   ¥10

銅貨   ¥100

小銀貨  ¥500

銀貨   ¥1,000

大銀貨  ¥5,000

小金貨  ¥10,000

金貨   ¥100,000

大金貨  ¥500,000

小白金貨 ¥1,000,000

白金貨  ¥5,000,000

大白金貨 ¥10,000,000


となる。

小白金貨は、日本円で百万円だ。


いくら家が伯爵家だって言ったって僕まだ六歳だからね...。六歳児に百万の大金を渡すかね...。

お金を受け取り、ビックリしていると。


「ソーマ。装備は決して妥協してはダメだ。多少無理してでも良い物を買いなさい。この世界は厳しい世界だ。少しの油断であっという間に手から命がこぼれてしまう。だからこそ、その金額なのだ。ソーマは私達の大事な宝物なのだよ。ソーマはお金に換えられないのだからな。」


「うん!ありがとう!父様!」


父様の思いが詰まったお金だ。良い装備を手に入れてこようと思った。

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