再会
目を開けるとそこはまだ教会の前。
これから入るところだった。父様達は何事も無かった様にいつも通りな感じで、僕だけ夢を見ていたかの様だった。...実にリアルだったな...。
教会に入り着席して祝福の順番を待っていると、足音が近づき、僕の背後で止まる。
「はじめまして、ソーマ・フィア・ブルーリーフくん。」
いつか聞いたことのある、小鳥のさえずる様な声。振り向くと、そこにはサラサラした金髪で透き通ったサファイアブルーの瞳をした少女が立っていた。
「どうして僕の名前を?」
「ブルーリーフ伯爵家に、可愛らしい天才がいるって聞いていたからかな♪」
ウインクしながら、茶目っけをみせる少女。
イリスだ!本来の姿と違うが間違いなく彼女だ!何故此処にいるかなんて考える間も無く僕は彼女を抱きしめようと席から立ち上がろうとする。すると、隣に座っていた両親が、スッと立ち上がり儀礼に則り礼をする。慌てて僕も両親に倣う。
「こっ、これは、イリーシア姫。この様な辺境の教会にいらっしゃるなど、どうした事でしょうか?姫様も大事な祝福の日のはず。王都の教会へといらしたのでは?」
狐につままれた様な顔をして父様が姫様へ問いかける。
「お久しぶりですね、ブルーリーフ様。ブルーリーフ様は《剣聖》、ソフィア様は《魔導姫》そして、その嫡男のソーマ様は天才と聞き及んでおりました。ソーマ様を祝福なさる神様がどなた様かとても気になりまして、お父様に無理を言って私もこちらにて祝福を賜る事に致しました。」
神界にイリスがいなかった理由はこれか!
また、無茶を押し通して神様達を困らせたらしい。しかもイリスは僕の記憶が残っているとは気が付いていないらしいし。どうしたものか。
「ソーマ、こちらにいらっしゃるのは、
我がイリノイヤ公国の第二姫たるイリーシア・フォー・イリノイヤ様である。お前もご挨拶申し上げなさい。」
一歩前に進み、挨拶をする。
「はじめまして姫様。僕はソーマ・フィア・ブルーリーフと申します。以後、御見知りおきください。」
「改めてまして、私、イリノイヤ公国 第二姫 イリーシア・フォー・イリノイヤよ。イリスと呼んでね♪」
イリスは笑みを浮かべつつも、薄っすらと涙を目に蓄える。
「ソーマ様。本日の祝福ではどちらの神様から祝福を賜りたいのですか?お父様のように武神様でしょうか?それとも、お母様のように魔導神様?」
僕は頭の中で考える...。そして。
「僕は、アース神様の祝福を受けれればと思っております。」
そう答えてジッとサファイアブルーの瞳を見つめる。
「えっ!えっ⁉︎、どっ、どうして⁉︎」
困惑した表情を見せたイリスだか、次第に
イリスの目から涙が溢れ、満面の笑みで僕の胸へと飛び込んだ。
「...待ちきれずにきちゃった...」
僕の耳元で囁かれる。
「...久しぶり...イリス。」
イリスの耳元で囁く。
周りはと言うと、両親は口をパクパク、イリスのお付きは右往左往の慌て様でパニクってた。そりゃ一国の姫君が、家臣の息子にいきなり抱きついたら、ビックリだよね...。
お騒がせしてゴメンなさい。
兎にも角にも、その後二人共無事、祝福を賜りました。
でも、二人共超激レア!創造神様の祝福だと言う事で、さらに大騒ぎになりました。
またまた、お騒がせしてスミマセン...。