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祝福

そろからまた月日が経ち...。


僕は六歳になった。


この世界では、六歳の祝福の日に教会で、神様から祝福を受けるらしい。


「ソーマ、早く馬車に乗りなさい。今日は教会で祝福を受けに行くんだぞ。」


「ソーマちゃん、ハンカチ持ったの?お服ちゃんと着れた?おトイレ済ませておくのよ。」


そう言う母様こそ、メークアップが長すぎ...。


「父様、今いくよ。母様大丈夫だから早く行こうよ。」


馬車に父様、母様、僕が乗り込み席に着くと


「さあ!主発だ。」


父様の号令で御者が馬に合図を送るとゆっくりと走り始めた。

この時僕は、イリス会えるかも?と期待を胸に秘めていた。まさかあんな事になるとは...。


.

..

...


「さあ、着いたぞ。ソーマ、大丈夫か?」


「はい。父様。でもお尻がジンジンします。」


「ソーマちゃん、楽しみね♪どの神様から祝福を受けるのかしら?ソーマちゃんは可愛いから、もしかするとたくさんの神様から頂いちゃうんじゃない?」


ドキっ!


思い当たる事がある。

僕は転生前に多くの神様に会っている。しかも女神の婚約者だ。

何かしらのアプローチがあってもおかしくない。中々核心を突く母様だ。


「そうだな。ソーマは既に何かしらの神から祝福されていてもおかしくないな。」


あっ。この両親はただの親バカだった...。


祝福を受けに教会へと足を踏み入れる。


瞬間!眩い光が僕を包み込んだ。僕は眩しくて目を閉じた。


《ソー・・、ソーマよ。目を開けなさい。》


何処からか、僕を呼ぶ声がする。僕はゆっくりと目を開けた。するといつか見た真っ白な空間に僕は立っていて、目の前にあのダンディーな創造神様がいた。創造神様の周りには、また数柱の神様達も控えている。


「ソーマよ。今日は君を祝福するべく我らが集まっておる。さあソーマに祝福を与える神達よ、かの者に祝福を与えん。」


なんか御大層な喋り方をする創造神様に違和感を感じる。まるで初対面の様だ。しかも口調が、神様らしい。......そっか。僕は転生する時、全てを忘れている設定だったはずだ。だから、創造神様達は僕が記憶を失って神様達と初めて会ったと思っていると言う事か。

そう思いながら神様達の中にいるだろうイリスを探してみるが見当たらない。大方ポンコツなところのある彼女の事だから、僕に会ってしまうと余計な事をするだろうと此処に来る事を止められたのだろう。とても残念に思い思わず創造神様に聞いてしまった。


「創造神様。お久しぶりです。ところのでイリスの姿がない様ですが、彼女は今どちらですか?」


「えっ⁉︎今そなたは何と言った?」


僕の問いかけに口をパクパクさせ唖然とした創造神様。周りの神様達も真っ青な顔で辺りをキョロキョロしている。


「創造神様。何故か分かりませんが、転生したのに僕の記憶が残っていたのです。やっぱりイリスが何かポンコツを発揮したのでしょうか?」


聞いていた創造神様はさらに蒼白な表情になりつつも、さすがは創造神。徐々に冷静さを取り戻す。


「ほっ、本当に覚えているのかい?ソーマくん。いや、イリスはアレでも女神。きちんと仕事はしたはずだよ。しかし、何故君の記憶が残ったのか...。ちょっと確認していいかい?」


そう言って創造神様は僕の瞳を凝視する。


「そっ、そうか...。君、アース神に加護を貰ったね?多分そのせいで記憶が残ったんだろうね。」


嫌な汗を拭きふき創造神様が僕を見つめる。

多分、あの時の光の玉だ。あれがアース神の加護で、僕の記憶媒体になってくれたのだろう。


「はい...。アース神様にイリスの所へ連れて来て頂いた時に光の玉を僕の身体へ入れて帰られました...。やはり不味かったでしょうか?...。」


僕は、かなり焦りつつ正直にあの時の事を創造神様に伝える。頭の中では、こんな状況を予期しながらニヤニヤするイケメンお兄さんの顔が頭の隅に浮かび上がって消えていく。ちょっとムカついたけど、イリスの事を忘れずに済んで嬉しくなり、一応アース神には感謝しておく事にした。


「やはりそうか...。その光玉こそがアース神の加護だろうね。やってくれるよ、全く。でも珍しいんだよ、彼が加護を人に与えるなんて。よっぽど気に入られたんだね、君は。」


そう言って諦めの表情を見せる創造神。


「それじゃ仕切り直して。君への祝福なんだけど、君、神界で大人気なんだ。何せあの《おてんばポンコツ女神イリス》を女神らしくしてくれて、尻拭いしてきた神達からすれば君こそが《神》らしいよ。我が娘ながら困っていたところだったんだ。あの時も、【私は違う世界も見てみたい!】って言って突然彼方の世界に行っちゃた位だ。そりゃもう皆てんてこまいさ。」


えっ?イリスってそんな感じだったの?僕の前じゃ確かにポンコツな時もあるけど才女って言う感じだったけど...。

さては、被った猫に逆矯正されたと言うところか。僕は《女神矯正ギブス》らしい。


「それでね、そのお礼も兼ねて、君にほとんどの神が祝福を渡そうとしたんだ。でも、そんな事すると、収拾がつかないし、君も困るだろうから、とりあえず名目上、君は創造神の祝福を受けたとしておくが、裏設定では全ての神の祝福が得られている事とするよ。」


えっ?エーーーー⁉︎なんてこった。イリスさん、どんだけこの神様達を困らせたんですか...。


〝くしゅん!〟


誰かのクシャミが聞こえた気がする...。


「とっ!ところで、いっイリスは今何処に?」


テンパった僕は唐突に聞いてしまった。

きっ、聞いてしまったけど、よく考えたらこの場にイリスはいられないっしょ!


「(ドキッ)いっ、イリスかい?サッ、サーヨクワカラナイナー。キッ、キミヲイツマデモココニイサセルコトモデキナイカラモドルガヨイゾ。」


目を泳がせながら、遠くを見る創造神様と伏し目がちな神様達。するとまた眩い光が

僕を包み込んだ。

早速、初感想頂きました。ありがとうございます。期待に応えれるか不安...。

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