発明?
今日は朝から鍛冶屋のドルーフ爺の所に来た。
「おはよう!ドルーフ爺いる?」
受付にいるベルーナ婆ちゃんに話しかける。
「おっ?若様かい。爺さんはいるが今日はどうしたんだい?」
「うん!昨日、深淵の森で大とかげを2匹狩ったから唐揚げにしたんだ。沢山作ったからお裾分けに来たのと、なんかね、その内の一匹は"ダークデスドラゴン"って言うんだって。それでね、そいつの牙とか爪とかの素材を持って来たんだぁ。」
ベルーナ婆ちゃんは"ダークデスドラゴン"と聞いて少し眉尻をピクリとさせたけど直ぐに何時も通りの婆ちゃんに戻った。
「はぁー...。相変わらず若様は規格外だねぇ。まぁいいさ、唐揚げは後で美味しい頂くよ。おーい!爺さん!若様がいらっしゃってるよ!」
ベルーナ婆ちゃんが奥にいるドルーフ爺さんを呼んだ。
「おう!今行くよ!」
奥からドルーフ爺さんが出て来た。
「おう、若様。旨そうな匂いがしてるな?」
「あっ、ドルーフ爺、おはよう。昨日狩った大とかげの唐揚げを持って来たから後で婆ちゃんと食べて」
「おう!何時もありがとうよ!若様の作る食いもんは何でもうめぇからな。助かるぜ!」
「それとね、面白そうな素材も手に入れたからさ、またドルーフ爺と何か作れないかと思ってさ!」
僕はドルーフ爺にダークデスドラゴンの素材を見せた。
「おっ!若様!こりゃ、ダークデスドラゴンかっ!こんなもんどうしたんだ?滅多に見ない最高級品だぞ?」
「うん。昨日グランディスドラゴンを狩った時に黒い大とかげが居たから、ついでだよ」
ドルーフ爺は大きな口を開けて唖然としている。
ベルーナ婆ちゃんを見ると明後日を向いていた。
「おっ、お前さんは、これはついでなんかで仕留めるもんじゃねーし、そもそもダークデスのついでがグランディスだろ!逆だろ!逆!」
「だってグランディスの討伐依頼のついでだったんだもん」
「だっ、だからよっ!それがおかしいんだつぅーの!はぁ〜、若様だからな、しょうがねーか。んで何作るかアイデアはあんのか?」
僕は思案顔で切り出した。
「う〜ん。魔法を打ち出す感じの魔道具はどうかな?ペンと紙ある?」
僕はペンと紙を受け取ると前世の記憶からリボルバーを思い出しながらイメージ図と簡単な構造を描いた。
「ん?何だこりゃ?えーっと、この筒が魔法の発射口で、ここが魔法を詰めた物を充填する所だろ?んで、あっ成る程な!この部分を引くと、この部分が魔法を詰めたもんの尻を叩くか!それで発動すると・・・」
流石はドルーフ爺だ!あのイメージ図でここまで構造と動作を理解するんだ!
「若様...。こりゃすげーもんを考えたな。頭の中はどうなってんだ、全くよ〜。んでも、これは楽しそうだな。いっちょやるか!」
ドルーフ爺の目の奥に鍛冶屋としての火が灯る。既に細かい機構を考え始めてるらしい。僕のは前世のカンニングだけどね...。
「ん!やろうよ!」
「おう!やるぞ!」
ベルーナ婆ちゃんは僕たちを生暖かく見ていた。
そうして僕とドルーフ爺はその日からリボルバー拳銃の作成をし始めた。
「おう、ここはこんな感じでどうだ?」
「うん。いい感じだね。でもこの部分は耐久性が必要だし、魔法の属性で耐久の方向性が変わるけど、どうするの?」
「そこか?そこはな、魔鋼にダークデスの牙を合成して魔法耐久性を上げるか」
「いいね!んじゃ、そこはそれで。こっちは?」
「あぁーそこはな・・・」
そう言い合いながらドルーフ爺と物を作るのは楽しい。
「あんた達、そろそろ今日は終わりにしな!日が暮れるよ」
「えっ⁉︎もうそんな時間なの?そっか...。んじゃ、この続きは又明日ね、ドルーフ爺」
「おう!儂も考えをまとめてみるぞ、唐揚げ食いながらな!ガハハ」
「それじゃ又明日!」
そうして僕は家へと帰った。
ソニアに"遅いにゃ!"と言って怒られた。
でもまた明日も遅くなる気がする...。しょうがないよね、楽しいんだもん。