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料理教室

僕は今キッチンに立っております。

隣にはブルーリーフ家の料理長モリスさんが立ち、僕の手元に注目している。モリスさんの目は真剣だ。そして何故かニーナさんとソニアもいる。ソニアの口元には既にヨダレがチラチラしてるし。


いつの頃からか僕がキッチンに立つと何故か何時もこんな感じだ。


そしてモリスさんが一言、


「師匠、宜しくお願いします」


.

..

それは僕が7歳の頃だった。

僕がたまたまキッチンに来たときにモリスさんが屑肉を捨てようとしていたので、貰ってハンバーグを作ったのだった。


モリスさんも最初は僕が屑肉を集めてどうするのか不思議がっていた。


「若様?屑肉なんか集めてどうするんですか?そんな半端な肉じゃ焼くと焦げるだけですが...」


「ん。ちょっとね、良いこと考えたんだ。モリスさん、ちょっとそのオニオを微塵切りにしてくれる?」


そう言って、モリスさんにオニオというタマネギみたいな野菜を微塵切りにして貰う。


「はぁ〜」


貴族の坊ちゃんが何をするのか分からず首を傾げている。僕はというと包丁を両手に持って、集めた屑肉を叩く、これでもかっ!というくらい叩く。

そして挽肉を作り、僕は生のタマネギの微塵切りを混ぜるハンバーグが好きなのでそのままオニオの微塵切りと調味料を混ぜて粘りが出るまで捏ねた。


そしてある程度の大きさで丸め、手と手を行ったり来たりさせ空気を抜きハンバーグの形に整えた。


そこまで見ていたモリスさんは


「えっ?あの屑肉が?こんなになるとは...」


さぁ、フライパンに油を入れ、ハンバーグを焼こう。


最初は強めの火で両面に焼き目をつけて、後は蓋をして蒸し焼きにする。


ある程度蒸し焼きにしたら、蓋を開けた。

その瞬間、キッチン中に美味しいそうな臭いが立ち込める。


「わ、若様!これは!」


「食べてみてよ、美味しいかな?」


「はい!頂きます!」


そう言って一口ハンバーグを口に入れたモリスさんは驚愕の表情をしたかと思うと二ヘラァとだらしない顔になった。


「若様!素晴らしいです!まさかあの屑肉がこんなに美味しくなるとは!」


そして、その日の夕食はハンバーグだった。でも、流石は料理長。僕が作った物よりも美味しくなっていた。


それから、ちょくちょくキッチンにお邪魔しては前世のレシピをモリスさんへ伝えていたらいつの間にかモリスさんから『師匠』と呼ばれるようになっていた。


..

.


「さぁ、今日は唐揚げにするね。

まずはお肉を一口大に切って、調味料で下味をつけまーす。暫く寝かせます。モリスさん、鍋に油を多目に入れて、ポテポテを薄くスライスしてくれる?」


「はい!師匠!」


ポテポテとはジャガイモみたいなものだ。

ついでにポテチも作ろっと。


暫く寝かせた肉に小麦粉をまぶして熱した油に投入していく。バチバチと音を立てて肉が揚げらるていき、暫くすると音が小さくなり浮いて来た。


「そろそろ揚がったかな?んじゃ、次はポテポテのスライスね。モリスさん、くっつかないようにしながらゆっくり揚げてくれる?揚がったら油はよくきってね」


「はい!」


そうして唐揚げとポテチが出来た。ポテチには薄く塩をまぶしておく。


「出来た!唐揚げとポテチだよ。皆んな味見してみて!」


わっ!と皆んなが群がった。あれっ?何故か父様と母様、ユリアまでいるよっ!

皆んながあっという間に完食した。


...あれっ?僕の分は...?


しょうがないので、モリスさんに肉を追加で渡し、夕食に作って貰った。やっぱり僕のより美味しくなってる?でも満足です。


父様が「これもレシピを商業ギルドに販売できるな」と言っていた。僕の今までの前世レシピはいつも商業ギルドに販売され、いつの間にかブルーリーフ領は食の都と呼ばれ、観光客が溢れるようになった。我が家も販売益と税収でウハウハらしい。良かったね。





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