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クエスト完了

次の日、午前中はニーナさんと魔法の稽古をするつもりだったけど、昨日の無酸素魔法を早く見たい!ってニーナさんが騒ぐので今日は朝から森へ二人でやって来た。魔法絡みになるとクールビューティなメイド長はキャラ崩壊で若干ポンコツになるらしい...。


「若様、昨日言っていた無酸素魔法はどういった魔法なのですか?」


キラキラした瞳を向けてニーナさんが聞いてきた。


「うん!あれは結界魔法と風魔法と錬金術を組み合わせているんだ」


「???」


ニーナさん、よくわかっていないよね...。


「ニーナさん、ちょっと深呼吸して見て。」


頭に?を浮かべながらニーナさんは深呼吸した。


「ニーナさんは今深呼吸したよね。次は息を止めて見て。」


また頭に?を浮かべてニーナさんが息を止める。

しばらく息を止めて、段々苦しくなってきたニーナさん。顔が真っ赤になってる。


「んー!若様・・・くっ・苦しい・・・」


「あはは!ニーナさん、もういいよ」


「ぷはぁー!くっ苦しかった...」


「どう?息をしないと苦しいでしょ。生き物は人も魔物も息をするでしょ!息が出来ないと死んじゃうよね」


「若様、それは当たり前の事です。」


「そう!当たり前。んじゃ、何故生き物は息をするのかな?」


「えっ?なっ何故って?言われましても...」


「生き物は空気の中の酸素と言う物を体内に入れる為に息をするんだよ。酸素は体内の栄養素と結びついてエネルギーに変えてるんだ。だから酸素を断つと体内でエネルギーが作られずに死んじゃうんだ」


「さっ酸素ですか...」


「うん!生き物は酸素を常に摂取してエネルギーを体内生産しないと生きていけないんだ。だからねこうして、魔物の周りを結界魔法で囲んで空気を魔物ごと密閉して、錬金術で空気の中の酸素を分離、風魔法で排出してやると...ほらこの通り!」


僕は近くに潜んでいたホーンラビットを無酸素魔法で狩って見せた。


「...。わっ若様、これはなんと言いますか、極悪ですね。獲物に気づかれず、無傷で狩るとは...。若様、これは禁呪レベルの魔法です。私の他に教えてましたか?」


「うんん。まだニーナさんだけだよ」


「良かったですわ。若様、この魔法はグリーンリーフ家の者以外には秘匿なさって下さい。勿論王家にも御内密に」


かなり真剣に言われてちょっと引くわー。


「はい!わっ、分かりました」


「はい、よく出来ました」


ニーナさんは満足気にニコッとして、頭を撫でてくれた。


「さぁ若様!次行きますわよ!」


ニーナさんがまたキラキラモードに切り替わり張り切って森を進む。


それからしばらくの間、ニーナさんが獲物を見つけては僕が無酸素魔法で狩って行くという事を繰り返してかなりの獲物を狩り倒した。


「わっ、若様...。私、楽しすぎて調子に乗りすぎました...」


「そうだね...。かなり獲物を狩っちゃったね...。しばらくこの森に獲物が溢れる事はないんじゃない?」


「はぁー...私とした事が...それではかえりましょうか...」


そして僕達は冒険者ギルドにやってきた。


「アリアさん、こんにちは。今日は昨日受注したクレージーボアの討伐依頼の完了手続きと買取のお願いに来ました」


「こんにちはソーマくん。それでこちらは?」


アリアさんがニーナさんを見上げた。


「こちらはニーナさんで、家のメイド長だよ」


途端にアリアさんの顔色が青ざめていく。


「えっ?えっ?グリーンリーフ家のメイド長⁉︎と、という事はあの伝説の【雪花の大賢女】様ですか⁉︎」


あっ!また我が家で素敵な二つ名持ちが判明しました...。


「アリアさん、お静かにお願いしますね。今の私はグリーンリーフ家のただのメイド長ですので」


ニーナさんは微笑みながら若干の冷気を乗せた視線をアリアさんへ向けていた。

ほら、アリアさんが白目をむきかけているよ...。


「アリアさん!それはそうとクエストの達成報告!」


「はっ!そっ、そうでした。クレージーボアの討伐ですね。それでは買取カウンターへどうぞ」


アリアさんに連れられ、買取カウンターに行く。


「ガッツさーん!討伐の買取査定お願いしまーす」


アリアさんが大きな声でガッツさんを呼んだ。


「おぅ!若様か。ここじゃ無理だろ?こっちに来いよ。」


ガッツさんに解体場へ連れて行かれた。


「ガッツさん、直接解体場に案内しましたけど、獲物は外にあると思いますよ?」


獲物を持っていない僕達を見て、アリアさんがガッツさんに言った。


「アリアは知らんのか?んじゃ今からの事は他言無用だぞ。いいな!」


「えっ?はっ、はい。」


頭に?を浮かべながらもアリアさんは約束してくれた。


「んじゃ、若様、お願いする」


「はい。それじゃ」


僕は異次元倉庫から昨日と今日で討伐した獲物を取り出し並べていく。


「えーーー⁉︎」


アリアさんの絶叫が響きわたるが聞かなかった事にした。


取り出した獲物は

クレージーボア 9体

ホーンラビット 7体

ゴブリン 20体

イビルリザード 15体

ダークウルフ 26体

フレイムバード 2体


といった具合だ。


気がついたらアリアさんは気絶してベンチに寝かされていた。


「わっ、若様⁉︎こりゃアリアじゃねーが気を失いそうだぜ。量もそうだが、なんだこの獲物は?寝てんのか!どこにも傷が見当たんねーぞ⁉︎こりゃどうなってんだ?」


ガッツさんはまるで狐につままれたかの様な顔をしている。


「いやー。ちょっとした秘密です。あっ!毒とかじゃないのでご心配なく」


僕自身、多少怪しいかな?と思ったが無酸素魔法の事は伏せて置いた。


「まっ、まぁなんだ、冒険者にネタバレを強要するのは御法度だしな。納得出来なくても納得するしかないか...んじゃ、気を取り直して査定すっか」


キリッと真剣になるガッツさん。流石は職人だな。


「おっ!このクレージーボアは最上級だな!こっちのホーンラビットも新鮮だ。あっ!フレイムバードが2体も!こいつは狩りが難しいはずだが...」


ぶつぶつ言いながらガッツさんが獲物を査定して行った。


「若様!こりゃ見事なもんだ!どれもこれも最上級の状態だぜ!どうやったかは分からんがこんな良い獲物だ、高値で買取するぜ」


そういってガッツさんが倒れて休んでいたアリアさんの所へ行くと、耳元で何やら呟く。

するとアリアさんがガバッと起きて復活した。


「ソーマくん、すみませんでした。余りの事にきを失っていた様です。ガッツさんの査定が終わった様なのでクエストの完了と買取の処理をしましょう」


そういってアリアさんが受付カウンターへ戻っていった。


さっきガッツさんがアリアさんに言った事が気になって聞いてみたけど"若様のネタと同じだ"と言って教えてくれなかった。すんごく気になる〜!


受付カウンターに戻った僕達にアリアがクエストの完了と買取の結果を説明してくれた。


「ソーマくんは常設クエスト対象のクレージーボア、ゴブリン、ホーンラビット等々の他に特殊クエスト対象のフレイムバードを2体討伐されました。ギルドカードにクエストポイントを入れさせていただきました。あと買取価格ですが、もろもら合わせて小白金貨4枚と大金貨1枚、金貨3枚、小金貨3枚、大銀貨1枚どなります。ただし副ギルドマスターのガッツから最上級品なので更に上乗せするように言われた為、端数切り上げ、全てで小白金貨5枚とさせていただきたいと思いますが如何でしょうか?」


さすがギルドの受付嬢なだけある。説明をしているアリアさんは仕事が出来るキャリアウーマンみたいだった。


「そっ、そんなにですか?金額に不満は無いです。そっ、それで結構です。お願いします」


結構な買取価格に少し引いてしまった...。


「それではギルドカードに入金をさせていただきます。ありがとうございました」


そういってアリアさんが受付を完了させた。


「ソーマくん、また宜しくね。出来れば今度も私の受付でお願いね」


ニコッと微笑んでしっかり営業アピールしてくる辺りはさすがだね。


「はい。これからもよろしくお願いします」


そうして僕達はギルドを後にした。

さぁ次は魔道具屋に行ってみますか。

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