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初めましてお義父さん

.

..

...


そして、気がつけば、この真っ白な空間へいた。


「あっー!やっと見つけたよ!何処にもいないんだもん。蒼真くん。まさか此処とはね!いゃ〜、さすが、蒼真くんだよ。」


突然、後ろから声が聞こえた。


振り向くと、そこにはイケメンなお兄さんが立っていた。


「君、蒼真くんでしょ。葵 蒼真くん。」


「はい...。そうですが...。貴方は誰ですか?此処は何処でしょうか?僕はいったい...。」


「君、さっき、亡くなったんだよ!」


「えっ!亡くなったって?如何いう事?」


「ん。君、小さな子を助けようとして、車と戦って負けたんだよ。覚えてない?

ちょっと無理があるよ君。流石にあの世界じゃ、車に生身で勝てないさ。」


呆れた顔で、ちょっとニャっとするイケメンお兄さん。


「それじゃ、僕は、本当に...。」


「そういう事!そして私は、神さっ!

そして此処は転生の間だよ!」


目の前のイケメンお兄さんが、ビックリ発言を言い放った...。

そして僕は、途方に暮れた...。


呆けた様になった僕に、自称『神』は気にしない様子で話し始める。


僕が死んだ事。

神様も予測していなかった事である事。

結果として、輪廻の輪からはみ出した事。

だからこの世界じゃ転生出来なくなった事。

そもそも、僕はこの世界の人間ではなかった

ので、本来の僕の世界に送り帰す事。

.

..

...


そして...助けた小さな子は擦り傷だけで助かった事。


「あっ!あの子、無事だったんですね?

良かった〜。って!その前に、さっき

何て言いました⁈」


「この世界では転生できない?」


「そんな前じゃなくてっ!その後っ!」


「ん〜、君の世界じゃない?」


「そう!そこっ!僕の世界じゃなかった⁈」


「そうなんだよ。君、迷い人だからね。まぁたまにあるんだ。こういう事が。」


「迷い人?それじゃ、僕の世界って?...。いったいどこ?...。」


「ん!それじゃ、今から行こうか!」


突然、眩い光りに目が眩み、気がつけばまた真っ白な空間にいた。


「ほら、着いよ。此処が君本来の世界さ!」


注意深く、辺りを見回す。


「.........。さっきと変わってない様な...。」


「んんん?変わってるよ。ほら、今、

君体調が良くなってない?

まっ!今は死んでるんだけどね♪」


ニャっとしながら、神様が聞いてきた。


たっ!確かに、さっきより体調が良い。

そう!今まで足りなかった栄養が体を巡っているかの様な...。いつもの慢性疲労が無くなり、心が何故か和む...。まぁ死んでるんだけどね...。


和むと言えば...。


「あっ!イリス!」


今の僕の全て。最愛の女性。

唯一の心残り。

彼女が待っているのに...。


「大丈夫だよ。ほら!来たみたいだ。」


イケメンお兄さんが言うとともに、僕の背後に気配を感じた。

そして、振り向く...。


そこには、いつも見ていたサファイアブルーの瞳の彼女がいた...。


「蒼真...。」


「イリス⁉︎」


「んじゃ、私は戻るとするよ。後はよろしく頼んだよ。『女神』イリーシア」


「あっ!ハイっ。蒼真を送って頂き感謝します。アース創造神様。」


慌てて、お礼を言うイリス。

イケメンお兄さんは、地球の創造神でした...。


「ん。それじゃ。バイバイ♪

あっ!蒼真くん。私の世界の小さなレディを

助けてくれてありがとうね♪お礼に『これ』あげるね♪」


徐々に消えゆくイケメンお兄さんが蒼真に向かって光りの玉を放り投げた。

光りの玉が蒼真の胸に吸い込まれる。


「ん。またね♪」


そして神様は消えた...。


神様が消えた後...。


「イリス...。」「蒼真...。」


しっかりと抱きしめ合う二人。


イリスを抱きしめて安心したのか、

ハッと気付く。


「......イリスっ!そう言えばさっき神様が君の事、『女神イリス』って言っていたけど?どういう事?イリスが女神って⁉︎」


それから、蒼真はイリスに驚愕の事実を知らされる。


「ごめんなさい!蒼真。今まで黙っていて。

そう私は、この世界の神の子で『転生神イリス』なの。あっちの世界には本当に交換留学しに行っていたの...。『女神』のだけどね...。そんな時、貴方に出会った。私、少しホームシックだったみたいで、こちらの世界の匂いがする蒼真を見つけて、それで...。」


俯き加減で、慌てたように言い訳をするイリスを蒼真はスッと抱きしめた。


「イリス...。良いんだ。僕はイリスが好きなんだ。女神様だろうと少し間の抜けたポンコツな女の子だろうと関係ない。僕の事を好きだと、必要だと思ってくれたイリスが大好きなんだ。」


「蒼真...。愛してるわ。これまでも、これからも。」


お互いの瞳を見つめつつ唇を重ね合う二人...。


ふと気がつけば辺りに無数の気配を感じた。


「イリスちゃん、そろそろ皆んなを紹介して欲しいんだけどなー」


イリスも気がついたのか慌てて辺りを見回す。そして、イリスの顔が真っ赤に染まる。


「アっ、アリーシア姉様、それに皆様まで、何時からこちらにいらしたのですっ?」


上擦った声で、頬を染め慌てふためくイリス。


......僕も汗が止まりません...。


「こんにちは、蒼真くん。私は女神アリーシア。魔導神よ。イリスの未来の旦那様を一目見ようと来て見れば、早速見せつけてくれるわね♪さすがよ。さあ皆様方、こちらがイリスの旦那様よ。皆様ご挨拶しましょ♪」


グラマラスなボディで妖艶な色気をふりまきながら、魔導の女神アリーシアが周りを煽る。


次に現れたのは、


「我は、武神マルク。イリスを頼むぞ。」


如何にも武骨な武士といった感じだ。

イリスを泣かせたら無言で斬られそう...。


「おぅ!てやんでぇ〜。辛気臭せ〜挨拶すんじねぇよ!マルクよぉ〜。お前さんがイリスの旦那かい?オレァ鍛治神のイトスでぃ。お前さんは、酒はイケる口かい?今度一杯飲も〜じゃね〜か。な〜おぃっ。」


若干酒の匂いがして、ゆらゆら常に揺れている。見てるとなんだか酔ってくる気がする...。飲んだくれの職人?


「あんさん、もうそろそろ代わってんかー。

揺れてるあんさん見て、蒼真はん顔色悪ぅーなってるやん。わいは商業神のエビスや。何か入用な時は何時でも言ってんかー。安ぅしまっせ。」


太鼓腹の営業スマイルが眩しいおじさんが、

汗を拭き拭き言ってきた。


「あらあら、蒼真さん。口がさっきから開きっぱなしですわよ。わたくしは地母神グランディアと申します。よろしくお願いしますわ。」


と、抱き寄せられ豊満な双丘に顔が埋まる。

ふんわりしているが、息が出来ず苦しい。


横目で見たイリスは目尻が上がって、顔が真っ赤になっていく。


「グっグランディア様、私の蒼真になっ何をしてくれるんですか!」


イリスに引っ張られ剥がされる。


「蒼真!ニヤニヤしない!」


「あらあら、イリスさんったら焼餅を焼いちゃたのかしら?可愛らしいですわね。んふふ。」


この、ふんわり美人は地母神様らしい。

地母神らしく全てを包み込む包容力だ。


そしてまた一柱の神?が、眼鏡の奥からジト目でこちらを睨む。


「ん。貴方が蒼真?人族?イリス姉を誑かす者?要注意人物?私、時空神セラ。よろしく。」


眼鏡をくいっと持ち上げながら、まだ僕を睨んでいる。


「ん?貴方、過去見えない。何者?」


「セラちゃん、私の蒼真をジロジロみ・な・いの!」


イリスが腰に手を当てながら注意する。

プィッとそっぽを向きながら、ぼそっと「容姿はまあまあ。」と呟く。

まぁ誰にも聞こえなかったらしい...。


そしてまた、何処からともなくダンディなおじ様が現れた。

神達が片膝をつき、頭を垂れる。

ただ一神イリスを除いて...。


「あっ!父様、来てくれたのねっ!」


ん?あのダンディなおじ様が、イリスのお父さん?やばっ!ヤバすぎる!まだ心の準備が出来ていないんですけど!あっあっ何て呼んだら?何て説明すれば?目が泳ぎ、顔から血の気が引いて、嫌な汗をかき始めてる...。


え、えーい!ままよ!意を決して話かける。


「おっお義父さ「君が、蒼真くんか?いつもイリスがお世話になっているようだね。」」


被らせてきました。お義父さん...。

人懐こい笑顔、両手で握手される僕...。


「蒼真くん〜!ありがとう〜!ウチのポン...娘を見初めてくれて!いや〜本当!助かったよ。アレは、何というか...本当に嫁に行けるのかと...。心配してたっ((ゴン!!!))。痛っっったーーー!!!」


どっかからか出したフライパンを握り締め、

顔を真っ赤にした鬼の形相のイリスが立っていた。


「おっ!お父様!何をおっしゃってるのっ?

蒼真!今のところは忘れて!ね!ねっ!!」


蛇に睨まれたカエルの様に、身動き出来ず、

「ハイ!!」と返事するしかない。

今後イリスは怒らせない様にしようと決めた瞬間でした...。


「いゃ〜参ったね。我が娘ながら全く容赦がない。おっと!自己紹介がまだだったな。私はイリスの父神で、この世界の創造神であるパパディだ。宜しく頼むよ。蒼真くん。」


タンコブを撫でながら、爽やかに挨拶された。周りの神達は、蒼白な顔を下に向けて冷や汗をダラダラかいている...。


「はっ!はい!お嬢さんをください!お義父さん!」


ん!ん?んー⁉︎僕っ今何て言ったっけっ⁉︎

あっーー!余りの緊張に、変な事を言っちゃったーー。

隣でイリスが真っ赤な顔して、モジモジ、体をくねらせている。

はっ!恥ずかしい〜!


「どうぞどうぞ、おまけもつけて差し上げるよ蒼真くん。」


予期せず初めての挨拶も終わっちゃったよ...。


「さて、蒼真くん。話は、イリスと地球の創造神のアースに聞いているよ。イリスはともかく、アース神からはなるだけ便宜をはかる様に頼まれてるからね。彼も君の事はかなり気に入ったみたいだね。」


そうだ、アース神から貰った光の玉。今は身体の中にある。何だったんだろう。


「まず始めに説明せねばなるまい。この世界の事を。」


そして、創造神パパディは説明しはじめた。


・僕は元々この世界の者であったが、何かの理由で、地球に迷い込んでいた事。

理由は、創造神ですら不明でかなり稀な事らしい...。


・この世界は地球で言う所謂、剣と魔法のファンタジーワールドである事。


・この世界には魔素と呼ばれる物が溢れていて、この世界の住人には、酸素と同じ位生きる上で大事な物である事。

魔素が少ないと体調に異変が出るらしい。


僕は、これを聞いて納得した。

地球では魔素がかなり少ないらしいから

僕の身体は魔素不足で調子が悪くなっていたみたいだ。


・この世界には、魔物がいる事。

魔物とは、魔素が生き物の体内で変質硬化し、魔石と言われる物質が生まれ変化したものらしく、通常の生き物より強力らしい。

地球の伝説上の怪物や妖怪は、こちらかの迷い魔らしい。


魔物を倒すと、魔物の魔素が倒した者に吸収されていくらしい。

吸収された魔素は溜まっていって、魂の器を満たすと、更に大きな器が造られる様だ。


これも僕には心辺りがある話だ。

幼い頃からの襲撃者『ナニカ』。これは迷い魔だったみたいだ。

倒した後、体調が良くなったのは、魔物の魔素を吸収したからか。


・イリスの婿として認められたが、人が神として成長する為、一度転生しなきゃいけない事。しかも、赤ん坊からのReスタートで、修行中は、これまでの事や女神イリスが僕の婚約者である事は忘れるらしく、この世界の神に相応しい成長を見せた時、全てをイリスの事を思い出すんだってさ。


転生した後、しばらくの間イリスを忘れると言う事に戸惑いを感じたが、この転生は仕方のない事なのだと自分を納得させる。


気になってイリスを見たが余り気にしてない様だった。

女神だけに人の一生なんかはあっという前と言う事だろうか。


・僕はイリスの婚約者となり、且つこの世界の神達にも好まれた為、転生に際して、何かしらの恩恵を受けるだろう事。

決して神々が『イリスが怖い』からではない...だろう。


「蒼真くん。それではそろそろ転生する時だ。今ここにいる神達以外にも君に会いたがっていた者達もいたが、所用があったり、何かしらの理由があったりと会えん者達もいた。かの者達も君には期待しているよ。今後君の手助けをする者もいるだろう。君の成長に期待しているぞ。そして、イリスを絶対に!必ず!お願いだから!引き取ってくれ...。(ジロっ!)さっ、さあ、始めよう!転生の儀式を!」


そうして、両手を僕にかざす。

眩い光の渦が立ち昇る中、うっすらとイリスの声が聞こえた。「待っ・・、必ず行・か・・」そして僕は意識を失った...。

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