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グレイさん、ニーナさんと言う師匠をゲットして日々剣と魔法の稽古をしながら過ごして一週間が経った頃、王城より使者がやってきた。


「ブルーリーフ伯爵が嫡男ソーマ殿、イリノイヤ公国公王様からの勅命である。謹んでお受け願いたい。来る明後日王城へ登城されたし。以上である」


「はっ。勅命、謹んでお受け致します」


僕の返事を確認して勅使は帰って行った。


「若様、明後日の登城、十分お気をつけ下さい。我がブルーリーフ家は冒険者上がりの新興貴族。古参の貴族の中には余り良く思わない方々が多くおります。隙を見せれば揚げ足を取ってくるやも知れません」


心配してグレイさんが忠告をしてくれた。


「そうで御座います。貴族の中には他家を引き摺り下ろそうと常に陰謀術策が渦巻いているとの事です」


ニーナさんも心配してくれた。


「ん。分かったよ。十分気をつけるね」


「若様であれば大丈夫でしょうが念の為で御座います。ただ、余りの事があれば我がブルーリーフ家臣一同敵には容赦致しません。また、我が家にはその力が御座いますので」


あのいつも冷静なグレイさんが、何やら物騒な事言っていますが...。


「それと若様は悪目立ち致しますので、今はまだ出来る限りお力をお隠し下さい。」


「分かりました。出来る限り目立たない様にするね」


でも王都に来てイリスと会えていないから会えたら嬉しいな。


.

..

...


登城の当日、僕は御者のダルさんが引く馬車に乗り、王城へ向かった。


王城の正門に到着すると御者のダルさんが門番へとブルーリーフ伯爵家が登城した旨を伝えた。

するとすぐに門が開かれ中へと誘導される。


王城の大扉の前まで進むと近衛騎士らしい人物がやってきて、"ブルーリーフ伯爵家嫡男のソーマ殿はこちらに、御者は馬車場へ"と僕だけを城内へ招き入れる。


城内へ入った僕はキョロキョロと辺りを見回しながら騎士の後を追いかける。お行儀が悪いかも知れないけどしょうがない。だって、これぞ正しく宮殿!な作りなんだもん。


そうして歩く事数分。謁見の間迄やってきた。歩いている最中に案内の騎士から謁見の作法を教えて貰った。呼ばれたら謁見の間へ入り、中央まで進み、片膝をつき頭を垂れる。その後、王が顔をあげる許しをした後に、頭を上げれば良いらしかった。


んじゃ、今世のお義父様に会いに行きますか。


「ブルーリーフ伯爵家嫡男ソーマ殿、御到着」


僕は、謁見の間へ入り、中央まで進み片膝をつき頭を垂れる。


「ブルーリーフ伯爵家嫡男ソーマで御座います。公王様の命に従い罷り越しました」


「うむ。ソーマ、面をあげよ」


重厚な声色の威厳のある響き。僕は顔をあげて公王様を見上げた。


「我がこの国の公王ダンディーノだ。ソーマよ、よく来た。ブルーリーフ家の寵児と聞き及び、顔を見て見たくなったので此れへ呼んだ。我が娘イリーシアよりも其方の話を聞いておる」


「はっ!公王様におかれましてはご機嫌麗しく、また、この様な非才を寵児等と過分なお言葉、いたみります」


「うむ。6歳にしてその受け答え、誠に見事。褒美に我が娘イリーシアを其方の婚約者と致す。良いな」


「はっ!ありがた・・・き???えーーー⁉︎」


僕はビックリして頭が真っ白になった...。


「なに?我が娘では不服と申すか」


「いっ、いえ、そう言う訳では...。余りに突然の事に」


僕は今、エサを貰う鯉の様に口をパクパクしてるんだろうなと、少し抜けた魂から自分を見ているかの様な感覚になっていた。


長い長い一瞬が過ぎ、若干自分を取り戻すと王様の後ろで見えなかったイリスが顔を真っ赤にしながら身悶えていた。


目が合った。


悪戯に成功した子供の様に微笑んでいる。

またやりやがった。前世でもイリスは何かと悪戯を仕込み、僕を揶揄う事が多々あった。またしてもやられたらしい...。


そして僕は覚悟を決めた。


「私、ブルーリーフ伯爵家嫡男ソーマはイリーシア姫君との婚約の儀、謹んでお受け致します」


「あいわかった。ソーマよ、イリーシアの事宜しく頼む。大儀であった。」 


「はっ!」


こうして僕は謁見の間を退室した。

すぐさま王城のメイドさんがやってきて、王様が非公式で会いたい旨打診があり、王族のプライベートリビングへと通された。

ソファーへ座る様に案内をされ、メイドさんが紅茶を入れてくれた。喉が渇いたから嬉しい...。


暫くしてリビングの扉が開き王族ファミリーが入って来た。僕は慌てて立ち上がり、片膝をつこうとすると


「よい。今は非公式だ。それにもう其方はイリスの婚約者。我の息子だ」


「は、はい!」


「家族として、少し話をしたくてな」


「はっ!」


「ソーマちゃん。そんなにかしこまらなくてもいいわ。そうでしょ貴方」


「そうだぞソーマ。妃の言う通りだ」


「あらやだ私ったらまだご挨拶してなかったわ。

私がイリスの母のナターシアよ、宜しくね。」


「私はイリスの姉のスージアですわ」


「俺はイリスの兄のゼクトだ。宜しくな。義弟よ。」


「あっ!ぼっ僕はブルーリーフ伯爵家嫡男のソーマと申します。宜しくお願い致します」


「皆、自己紹介が済んだ様だな。さてソーマくん。

この度はイリスを婚約者として貰ってくれて本当に本当にありがとう。なんて言ったってイリスだからなぁ、断られるんじゃ無いかって内心ビクビクだったんだよ〜」


「そうよ。私もソーマちゃんのいいお返事が聞けてホッとしたのよ」


「ソーマくん、こんな妹でも見限らないでくださいね。」


「ソーマ!お前、マジ勇者。俺にはそんな勇気はない」


あらあら皆様余り言いたいこと言ってるとイ、イリスが...。


"ガン!ガン!"


「「痛ったー!」」


王様と皇太子の頭にタンコブできてます。


「皆、私の事をなんだと思ってるの⁉︎」


「「「「だってイリスだから(もの)」」」」


あっ...。この状況見た事ある...。

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