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王都と冒険者ギルド

あの日以来魔物に遭わずに王都まで辿り着いた。王都の周りはぐるりと高い壁が囲んでいて、入る為の門は審査待ちの行列が出来ていた。


しばらくしてやっと順番が廻ってきたので、審査を受けようとしたらイリスが衛兵に感づかれVIP入場となりました。並ばなくても良かったのかな?


王都内はブルーリーフ領より人通りも多くて僕も初めてだからビックリしちゃった。


王都のメインストリートは両脇に色んな出店や屋台があり、すごく活気がある。

イリスを送り届けてから散策して満喫しよう♪実は母様から金貨一枚をお小遣いで貰っているし。すぐ帰ってくるから要らないよって言ったんだけど余ったら美味しいの買ってきてねっ♪って頼まれたんだ♪


そしてとうとう王城へ到着する。


城門の衛兵さんにイリスが到着した事を告げると、イリスは何処からか現れた多数のメイドさん達に連行されて行った。その後、せバスという執事のダンディーなおじ様に丁寧に御礼を言われ、後日王様との謁見がある旨を

伝えられた。一旦僕達はキャリーさん達の依頼達成を報告する為、冒険者ギルド経由で王都の家へ帰る予定だ。


ダルさんには王都のブルーリーフ家に先に帰って貰い到着した事を伝えて貰う事にした。

王都には爺様と婆様が住んでいる。

久しぶりの再会が楽しみだ。


「キャリーさん?冒険者ギルドってどんなとこなの?」


初めてギルドへ行く事になった僕は前世でのゲームやラノベをイメージしてワクワクしている。


「むさ苦しい所だよ。私みたいな綺麗どころはほとんどいないしね。ガラの悪い連中もいるから気をつけてね。」


キャリーさん自分で綺麗どころっていっちゃったよ。確かにキャリーさんは美人アスリートみたいだけど...。ただポーターさんは苦笑。


そんな話をしながら歩いていると冒険者ギルドに到着した。

そこは、前世の映画で見た様なアメリカ開拓時代のガンマンたちがたむろするバーにみたいだった。


早速、《風雷》の二人とギルドに入る。


「ソーマくん、こっちだよ。」


珍しさにキョロキョロしながら歩く僕にポーターさんが導く。


慌てて追いついて行こうとすると、テーブルで酒を煽っていた冒険者パーティーらしい集団に絡まれる。


「おぅ、これはこれは、お貴族様の坊ちゃん様じゃねぇーか。こんなむさ苦しい所へ何の用があるんだ。」


「へっ。坊ちゃん様はお気楽散策で迷子にでもなったのか?ひっひっ。」


「《風雷》の二人も迷子お世話ったー、ご苦労なこったな。ガハハっ。」


イラっとして睨み返すキャリーさん。


「おー、怖っ。」


僕は良くあるテンプレにワクワクしてる。そしてそこに予想通りのギルドマスター登場!


「お前ら!ギルド内でケンカは御法度だからな!ふざけるのはその辺りにしとけ!」


ポーターさんがホッとしながらギルドマスターに話しかける。


「マスター、依頼完了の報告に来たよ。こちらが依頼主のブルーリーフ卿代理のソーマ様だよ。」


すると、ザワついていたギルド内が一気に静かになる。


「そうか。その方が、あの《魔狂い魔導姫》と《血塗れ剣聖》の息子か。ふむ...。見た目は子供だがかなりヤバそうなやつだな...。」


いやいや。どこにでもいる普通の子供ですから...。変なフラグ立てないでよ...。

それよりも父様と母様の二つ名がなんか物騒なものに聞こえましたよ...。うちの両親もただの親バカですけど...。


「さぁ、ここじゃなんだ。部屋に来てくれ。」


ギルドマスターの執務室へと案内された。


「んじゃ、依頼の完了手続きと簡単な報告を聞こうか。」


ギルドマスターに促されてポーターさんが話始める。


「はい、3日前にブルーリーフ領を出立して先程、姫君を王城へ送り届けました。道中魔物の群れに遭遇しましたが討伐しました。

数は約50体程です。ワイバーンに襲われ逃げていたものと思われます。」


「なっ!ワイバーンだと、、良く無傷でやり過ごせたな?」


ギルドマスターはワイバーンと聞いて若干驚いたようだ。


「...。ただ、ワイバーンを討伐したのはソーマ様です...。」


「ん?ポーター、お前、いつの間に冗談をいえるようになったんだ?」


「ギルマス。うちの旦那は冗談は言っちゃいないよ。本気でいってんだよ。」


「はぁ?キャリーもかよ。お前らどうしたんだ?疲れてんのか?このちっ・・ソーマだったかが本気でワイバーンを殺ったっていうのかよ。確かにただの子供とは思えない雰囲気だかよ!まぁいいや、後でちょっくら付き合って貰うかよ。なぁ若様。」


何故か楽しそうに笑ってるよ、この人...。


「ちょっと待なよ、ギルマス。あんた元A級だろ。子供相手にジャレ付くんじゃないよ。本当にバトルジャンキーだね。」


「そう言うな。ギルドマスターとして新人の実力は把握しないとな。だろ?」


「何言ってんだよ。若様は冒険者じゃないよ。」


「ん〜。そしたら試験と言うことでだな。

俺に一太刀でも当てたらC級にしてやるよ。これでいいだろ?」


マジか。この人何がなんでも僕とやるつもりだ...。ギルドマスターと言うくらいなんだから、とんでも無く強いんだろうな...。怪我しないといいな...。と思いながらジャレられるのを諦めた...。


「...良いですよ...。お手柔らかに...。」


「え!若様本当に良いのかい?その人、加減を知らない空気も読めないダメな人だよ?」


そうなんだ...。そんな人がギルドマスターって良いのかな?疑問だ。


「よっしゃ!決まりだな。んじゃ、早速地下の修練場に行くか!」


首根っこを掴まれ、肩へとのせられて修練場に拉致られた。


「若様、その辺にある武器を使っていいぜ。何なら自前の武器でもいいがな。」


ギルドマスターはそう言って近くにあった木剣を拾ってこっちをみている。


「それじゃ僕も木剣を借りますね。」


そう言って近くにあった木剣を拾い構えた。


ん?あの坊主、なんて構えだよ。自然体なのに隙がねぇな。こりゃまずったか...。


ギルドマスターはソーマの構えに内心焦って

いて冷や汗をかきながら動くに動けずにいた。


「ギルドマスターさんが待ってくれてるみたいなのでこちらから行きますね。」


そう言って、何時も父様と遊んでいる様に斬り込んで行く。


「ビュッ!」


袈裟斬りに剣を振り下ろすとギルドマスターは紙一重で躱した。


「さすがはギルドマスターですね。父様みたいに紙一重で躱すなんて余裕を見せられちゃった。んじゃこれなどうですか?」


そう言って、再度踏み込み、袈裟斬りから切返しての斬り上げ、そして突きの連撃からなぎ払いを繰り出した。


「ちょっ、ちょっと、ま、まて、待てってばよ!」


ギルドマスターは、やはり全てを躱し切った。


「全て躱されちゃた!すっ凄い!んじゃもうちょっと早く行きますね♪」


楽しくなって来たソーマが、更に鋭く踏み込もうとすると、


「ま、まっ、待てって言ってんだろが!!」


ギルドマスターは慌てて両手を上げ、模擬刀を手放した。

その様を見て僕も構えを解いて納刀する。


ギルドマスターは僕が納刀したのを見て両手を下ろした。


「ふぅー。規格外め...。確かにワイバーン如きは瞬殺だろうよ。あー、お前、今日からCランクだからな!ちゃんと登録しておけ!受付には話を通しておく。」


「え?良いんですか?だってギルドマスターさんは手を抜いてくたんでしょ?僕に怪我をさせない様に、気を使ってくれたんだよね?」


「えっ?あっ!そっ、そうだぞ!かっ、かなり、いっぱいだ!さっ、さすがに子供に本気は出せないだろ!」


「ですよねー。僕が大きくなったら、また手合わせしてくださいね。」


「おっ、おうっ!そうだな!大きくなったらな!

そんじゃ、俺は、いっ忙しいからいくぜ」


慌ててギルドマスターは修練場から出て行った。


「...あんな化け物に手を出しちまうなんて...。

もう新人弄りはもうやめよう...」


この時からギルドマスター恒例の新人弄りはなくなったらしい。




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