ダンジョン脱出
まあいい。鑑定を手に入れられたのはかなり大きい。とりあえず、黄金のグラスを鑑定してみた。
ウルズの泉水•希釈
効果:この泉水を地面に垂らした時、区画一個分の土地の悪魔を強制的に浄化し永続的に結界を張る。
このポーションが入ってると思っていたグラスはウルズの泉水と言うらしい。
希釈と書いてあることから、薄められているようだがかなりの代物だ。源水ともなればもっと凄い効果になりそう。
悪魔を強制的に浄化し永続的に結界を張るってだけでも凄い効果なのに、源水は更に上を行くだろう。だから銀の宝箱なのね。
ウルズの泉水って神話で聞いたことがあるような気がするし、なんだっけな、確かユグドラシルの話に出てきた気がするんだよな。つまりはこのデザインはユグドラシルの根になるということだ。分からんわそんなん。
そしてこれが神の言う救済とやらだろうから、国に売ればかなり儲けれるぞ。
直接国に売るんじゃなくて、オークションとかに出せばさ。どの国も滅びたくないだろうし、大金叩いて落札するだろうな。もしかしたら、落札者を途中で暗殺するような事にもなるかもしれない。
そんな事を考えついたけど、これはこの土地で使おう。オークション会場とか遠くて行けないし、そもそも未成年で出品できるかわからんし、出品できても確実に本物なのか疑われるだろう。
だが一番の理由は、この土地が爺ちゃんから引き継いだ土地だからだ。
恩返しもあまり出来てなかったし、これがせめてもの恩返しとして許して欲しい。優しかった爺ちゃんは怒ってなんか無いだろうけど。
お母さんと父さんの分は、2個目の時かな。
そうだ、ついでに木の短剣も鑑定しとくか。
木の短剣 1/10
能力
攻撃力1
おおっ、まじか。性能はゴミなのだが注目したいのは右上の数値。
1/10となっているこれは、おそらくレベル。ボス戦で使ってはいたけど当てられなかったし、耐久力は減ってないはず。なら考えられるのがレベルだけなのた。
これは武器にもレベルがあって、そしてレベルアップもするという事だ。
木の短剣は低ランクの武器だからか、レベル上限があるようだけど。
まあこの事に気付いたからといってアドバンテージになる訳では無いが。初期に鑑定を持ってただけで、いずれ分かってただろうしね。
さて、やる事やったし今度こそダンジョンから脱出しよう。こっちはボス部屋だった訳だから、左に、いやこっちからは右か。右に行けば外に出れるだろ。
普通、ダンジョンは転移魔法陣とかがあって外に出れたりするんだけどな。流石にそこまで親切ではなかったようで、この部屋には無かった。
来た道を戻っていくがスライムに出くわした。ボスを倒したからといって、ダンジョンに敵が出なくなる訳では無いようだ。まあスライムが居ようが問題無いが。
しばらくして分かれ道まで戻ったのだが、よく見ればうっすらと光が見えていた。俺が死ぬかもしれないって怯えてたのがバカみたいだ。
そこを進んでいくと外の景色が見えてきた。
これは山の裏側にある湖だな。見慣れた光景なのだが、妙に達成感がある。約3時間もダンジョンに居たからだろうか。
それに、そこまで暗くはなってないようで安心した。今日は教師達が会議で、2時半に学校が終わって家に帰ってから3時半くらいまで筋トレをし、そこからダンジョンに落ちたので暗くなってたらどうしようかと思ってたのだ。
まだ6月なのが幸いしたようだ。
とりあえず、喉を潤したいので湖の水を飲もう。もしかしたら腹を壊すかもしれないが、爺ちゃんが平気だったので大丈夫だろう。
手で水を掬い口に持っていくが、それまでにこぼれて飲めたのは少量だ。何回か繰り返すうちにもどかしくなってきて、顔を突っ込んでごきゅごきゅと豪快に飲んでいく。
「くぅっ、うんまっ!」
途中休憩を挟んだが疲れは蓄積していて、その疲れた体には冷えた水がよく染み渡った。ここまで水が美味しく感じたのは、井戸の水を飲んだ時以来だ。
ついでに顔も洗いさっぱりした所で顔を上げる。そろそろ移動しないとね。
ここから一直線に山を突っ切るのが1番早いので、そうする。しっかりと伐採していたたため見渡しが良いので、もし魔物がいても直ぐに見つけられる。相手からも見つけやすいが。
流石に暗くなると危ないので、レベルアップして上がった素早さを活かして駆け抜けていく。それは前の俺と比べて確実に早いが、疑問に思うことがあった。
こうして素早さの上昇は実感できるのだが、攻撃力や防御力が上がったことによる成長が実感できないのだ。
普通、力がみなぎってくるようなものだと思うのだが、それがない。他には身体能力の限界が引き伸ばされるだけっていう考えがあるんだけど、そんなすぐにはわからん。だから疑問に思っていた。スライムは弱すぎて確かめられんからね。
まあ、今考えてても無駄か。転ばないように集中しよう。