やったぜステータス
今日は休みだからちょっとだけ更新速度早いけど、いつもは遅いからね!
ヤバイって思ったその瞬間、頭から井戸の中に真っ逆さま。今ならまだ、アニメみたいに両手両足を壁に引っ付ければどうにかなるかもしれない。なんて考えたけど無理だった。反応が遅かったせいで5mくらい落ちてから手足を伸ばしたけど、体が硬い俺は180°も足開かないし、手だけで落ちる体を支えるなんて力は俺には無かった。ていうか大概の人は無理だろ。
ここから生き残るにはどうすれば良いか、必死で考えていると今までの記憶が高速で頭の中を駆け巡った。これが走馬灯ってやつかな。だめだ、一つも思いつかん。死ぬしかない。
しかも、井戸の底でぐしゃりって即死じゃなくて、水の中に落ちて溺死か、立ち泳ぎを続けてそのまま餓死か。いや、結局は力尽きて溺死になるのか。俺には 苦しい死に方しか無いのだ。
だけど、もしかしたら警察がちょうど来て、井戸の中に落ちた俺を助けてくれるかもしれないという、天文学的な確立しかないであろう希望にかけ、すぐには溺死しないよう肺を膨らませ、目を閉じ着水するのを待った。あと10mくらいだったからすぐだ。
そして何かに触れたと思った時。一瞬で水だと思ったのだが、なぜかバッシャァンと水しぶきの音はせず、変わりに聞こえたのは。
ブチュブチュブチュブチュ
と、なんとも気の抜ける音が聞こえてきた。やばい、ちょうど水が干からびてて地面に落ち、内蔵がグロテスクな事になった音なのかもと想像してしまい、軽く薄目を開けて確認してみた。
がしかし、俺の体には何の異常もなく、少しほっとしたが、じゃあなんなんだと思って下を見た時。
今度は無機質な声が頭に響いた。
『ヒュージスライムを倒しました。』
『レベルが上がりました。』
『称号:先駆者を獲得しました。』
その声を聞いて少しだけ混乱した。まず第一にヒュージスライム。お前ファンタジーの生き物だろってツッコミを入れてあげたい。ていうか命の恩人を倒したって事だよね...
そして第二にレベルアップ。俺ってもしかしてそういう力あったのか、って一瞬歓喜しそうになったが、理解した。そうだよ、ガブリエルが言ってたじゃんか。力を授けるって。ということはなんか倒せたヒュージスライムは、解き放たれた悪魔、ってことになる。
ただ、スライムが悪魔ってのはちょっとどころかかなり違和感があるので、モンスターをお堅い言葉で表しただけなんだろうか。そう考えると悪魔の巣窟って、ダンジョンってことが確定した?やばいな、嬉しさがさっきの比じゃないぞ。
って、そうだよ!モンスターもダンジョンも出現するようになったってことは、授けられた力って絶対ステータスだろ!
「ステータス!!」
上がってるテンションをそのままに、俺は高らかに叫んだ。そして俺の期待に応えるかのように半透明の板が出現した。
名前:鈴木実
職業:村人 Lv:3
体力:9/9 魔力:4/4
能力
攻撃力:5 防御力:4
素早さ:8 魔法力:3
職業スキル
ダッシュ:Lv1
スキル
称号
先駆者
うおおお!!キターーーー!!けどよええ!!なんだよ職業村人って!いや村人ですけども!!体力9!貧弱!攻撃力5!貧弱!防御力4!ひn
お、落ち着け俺。冷静になるんだ。あまりの嬉しさに我を忘れてしまった。まず注目したいのが"職業"。これが村人っていうのは当たり前だけど、俺が確認したいのは転職できるのかということだ。
今の能力値を見るに、おそらく上昇値は1か2。防御力の値と魔法力を見るに、能力値ごとに上昇値は違う。上昇値が一律2だった場合は防御力が0で、魔法力は-1だったことになるからね。このまま行くと上昇値が低いので、レベルがあがっても弱いと思う。数値だけを見れば倍に強くなるんだけどね。だから、転職ができるのかどうか、それで強くなるのかを確認したいのだ。
ゲームのような世界になったからには、俺は最強になりたい。強くなるためには能力値を上げる。ただそれだけ。それだけで最強になれるんだ。前は1つの競技で1番になるためには、何年ものトレーニングを積み重ね、かつ才能も無ければ1番になるなんてできない。男として、1番になりたいけどなれないってわかってる人は多いはずだ。それが今は、最強になれる可能性がある。才能が無くてもだ。RPGでは勝てなかった敵もレベルを上げれば勝てる。それと同じ。
今はおそらく、俺が1番レベルが高い。先駆者という称号があるのだから、俺はスタートダッシュを切れたのだ。このまま皆を置き去りにしてあげたい。ぶっちゃけ最強になってモテたい。
というわけで、初期職であろう村人から転職し能力値を上げなければならない。転職したら今までのLv分が無駄になる可能性があるので、早めに転職しときたい。こんなに長々と語ったが確認方法は単純。多分、タップするだけだ。ほいっ。
...けれども、なんも出てこなかった。いや、なんでだよ。小説とかだったら転職可能な職業が出てきたりしただろ。どうしてそこは不親切なんだ。せめて職業の説明くらいしとけよ。
まあいいや。そこから見れるやつ全部タップしたけど、説明が出てきたのは職業スキル、称号のみだった。上から順に説明してくと、
ダッシュ:Lv1
効果:このスキルを使用した際に素早さを15%上昇させる。
1分間で魔力1消費。
職業スキルなんだが、うん。しょぼいネ。当たり前か、村人だもんな。でも、単純計算で行けばLv10で150%上昇だ。2.5倍で結構すごいけど、他の職業スキルにもあるかもしれないので分からん。
称号:先駆者
地球の未来を切り開いていく者。
効果:経験値量緩和、熟練度上昇、成長値上昇
うん、結構すごかった。まず地球の未来を切り開いていく者なんて、もしこの称号を貰った人がニートとかだったら無駄になってたと思う。宝の持ち腐れ。そして効果が経験値量緩和、熟練度上昇、成長値上昇の3つ。簡単に言えば成長チートなんだけど、どれだけの効果があるかはまだ分からないのでなんとも言えない。それに称号は最後に聞こえたので、おそらくLv3分の成長値は一般的だと思う。もったいない。
これで確認できるものは全部確認できたので、どうやって上に戻るかを考えていたらいきなりヒュージスライムが光の粒子となって消えた。するとどうなるかと言うと、
落ちる。あぐらで座ってた俺は尻から落ちた。痛い。そして俺は気付いた。目の前に2mくらいの穴があることに。