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第1話 「 知っている 」


俺は、 ジャンヌ を知っている。


有名人だからとか、誰かに教えてもらったとか、学校の授業で習ったとか、どこかで聞いた事があるとか、


そんなんじゃない。


どうしてそう否定出来るのかなんて知ったこっちゃない。

ただ、なんとなく だ。

初めから知っていた、そんな感覚。


”ジャンヌ・ダルク”その名を初めて聞いた時に思ったのは『あぁ、ジャンヌか』なんてもので、その名を聞く前から、知る前から、どんな人物だったのか教えてもらう前から、

知っていた。

だだ、それだけ。そう思うだけの事。


ジャンヌ、ジャンヌ。俺は、ジャンヌを知っている。


彼女は俺のために泣いてくれた人。

彼女は俺の代わりに怒ってくれた人。

彼女は俺にいつも歩み寄ってくれた人。

彼女は俺に常に手を差し出しいてくれた。

彼女は俺を「友人」だと言ってくれた。


よく見る夢に、突然頭に浮かぶ映像がある。

それはいくつかあって、必ずジャンヌが出てくるのだ。

どれも断片的で、漠然としていて。

”前世”だったり、なんてバカバカしいけれど、その光景はどれもこれも酷く現実的で。

本当にあった事だと錯覚するほどに。


全部ただの妄想、作り話、嘘だと、一蹴されればそれまで。

自分自身でも半信半疑なんだ。でも何故か、どこか、確信があった。


まぁこんな事口にしようものなら頭のおかしい人間か、妄想と現実の区別がつかない人間だと思われるだけ。

毎日のように頭に浮かぶ彼女を、ジャンヌを、ただの幻想だと言い聞かせて、家を出る1時間前、時刻は午後2時半。ようやっとベットから起き上がる。

そうしていつもの日常を送る。


彼の名は 仁地 ( にち) (あきら)、17才。

高校に進学せずにアルバイトだが働きだした彼は某大手コンビニエンスストアに務めている。

普通の日常を送る彼の”前世”はかのオルレアンの乙女と顔見知り、友人だった、なんて作り話みたいなもの。

どれもこれも彼の妄想ではない。


たしかに彼は、”ジャンヌを知っている”のだ


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