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フラグメント・ハーツ  作者: AKI
祝福の儀
1/7

プロローグ

お試し投稿です

僕は思う…僕は何のために生まれてきたのだろうと。その答えはまだ見つからない。もしかしたら永遠に見つからないのかもしれない。それとも、その答えは存在しないのかもしれない。


 だけど、いつか見つかるといいなぁ‥


 そう願わずにはいられない。





人は10歳を迎える頃この世界を見守る神や精霊と呼ばれる存在に祝福を加護を与えられる。加護は人々の生活を支え、神による祝福は人に害なす魔物に対抗するためになくてはならい。そして、祝福を与えた神により、精霊から与えられた加護により多くの人の将来は決まって行く。


 だけど‥10を迎えても神から祝福を受けられなかったら。精霊から加護を与えられない者がいたら。どれだけ努力をしても、誰にも及ばない。そんな人間は何のために生まれてきたのだろうか‥。


 

「おはよう、レイ。よく寝られたかな?」

容姿端麗で金髪、碧眼のおっとりした女性、リーア・アレスティア。僕の自慢の母である。母親と違って僕の髪と目は黒くお母さんほどではないが容姿は整っていると思っている。だが母親に似ていないといわれることが多いからきっと父親似なのだろう。悲しいことに僕はお父さんのことを知らない。僕が生まれてすぐにこの村に引っ越してきたらしい。お母さんが言うには不慮の事故で亡くなったらしい。


「うん、なんたって今日は祝福の日だからね!楽しみだなぁ〜♪」

僕、レイ・アレスティアは今日をもって10歳を迎える。神から祝福を与えらる特別な日だ。このアズールの村では、村から北へ少し離れた神山アーバレスと呼ばれる山に登り、山頂付近にある湖のほとりある祠に祈祷を捧げることが祝福を受ける条件らしい。村の掟として、祝福の日は該当する人のみで登らなければいけない。この日、この小さな村で10歳を迎えるのは僕しかない。


「さあ、朝食を食べて、すぐに行きなさいな。暗い中で山を登るのは危険だからね」

「うん。暗くなる前には山の頂上へ行くよ」

山はかなり高く、大人が登っても半日はかかる。だから、祝福の日では早朝に村から出発し、暗くなる前に山頂へ行き、祈祷する。それが、主流となっている。祈祷をすませたら、山頂に建てられている小屋で睡眠をとり、早朝に下山する。この日10を迎えるのは僕だけだから、一人で登ることになる。


「ねえー、お母さん。僕はどの神様に祝福されるんだろうね〜?匠の神様かな?それとも武の神様かな?」


祝福された神様により、将来が大方決定ずけられる。受けた祝福により、剣や魔法が得意になりやすかったり、鍛冶が上手くなりやすかったりする。祝福は人の才能を決める。この黒髪、黒目の少年は自分の運命が決まる今日この日を楽しみで仕方がないという様子であった。


「そうね〜。きっとあなたに相応しい神様が祝福してくれるに違いないわ」

今にもはしゃいで飛び出して行きそうな僕を見て、リーアは微笑む。


「お兄ちゃん。頑張ってね‥」

眠たそうに目を擦りながら話に混ざってきたのは3つ違いの妹リエナである。母に似てとても可愛らしく守ってやりたい。そんな妹だ。


「うん、いい結果が出るように頑張って登るよ」

家を守れるのは僕しかいないんだ…。お父さんは僕たちを残して何処かへ行ってしまったらしいし、妹やお母さんを守りたい‥。家族を守ることができる‥そんな神様から祝福されるといいな。


可愛い妹の頭を撫でまわした後、朝食を済ませると自室へと向かった。僕の部屋は本棚とベッド、机しかなく、かなり殺風景である。準備したバッグの中身を確認する。ナイフ、途中で食べるための食料、2m(メルド)ぐらいあるロープ、杭4本、傷薬。そして、お守り。ちゃんとあることを確認し、バックを腰に巻き準備は完了だ。


「お母さん、リエナ行ってきます」

「行ってらっしゃい。気をつけるのよ」

「頑張ってね〜」


挨拶を済ませ外へと向かった。この時の僕は、この先に待ち受ける運命を知るすべはなかった。



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