プロローグのようです
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絢爛豪華な装飾美術品で飾られた大広間。そこではちょうどパーティーが開かれている最中のようで多くの人がグラスを片手に談笑を楽しんでいた。そんな大広間のほぼ中心である二人の少女がまるで対峙するかのように見つめあっていた。一人はこの大広間の豪華さに負けず劣らずの豪華な服装を身にまとった金髪の少女。もう一人は金髪の少女の服装と同じまではいかなくとも、十分この場に相応しいと思える服装を身にまとっている銀髪の少女。しかし金髪の女性が身にまとっている豪華なドレスは決して小さくない赤いシミによって汚れてしまっており、銀髪の少女は遠目で見てもわかってしまうほど顔色が青くなっていた。その異様な光景に周囲で談笑を楽しんでいた人々も徐々に気付き始め、ついには誰一人として口を開くことなく二人の少女の様子を窺った。
「も、申し訳ございませんでした」
暫しの間場は静粛に包まれたが、ついにこの空気に耐えられなくなったのか銀髪の少女が恐る恐るといった様子で謝罪の言葉を口にする。少女をキッと睨みつける金髪の少女の視線は険しい。
「…私にこのような仕打ちをしておいて許してもらえるとでも。私を三大公爵家のひとつ、ベルフォート公爵家の長女クローディア・ベルフォートと知っての行いかしら」
「ほ、ほんとうに…ごめん……なさい」
「私、上辺だけの謝罪になんて興味ありませんの。あなたには後ほどたっぷりと行動で示してもらいますので楽しみにしていてくださいませ」
「……ッ」
彼女が口にした『三大公爵家』というのは遥か昔、建国の際、建国者である初代の王族に力を貸した功績を認められて与えられた爵位でこの国においては王族の次に強い権力を持つ。その『三大公爵家』のひとつであるベルフォート家のクローディアの言葉は銀髪の少女からしてみれば死刑宣告とほとんど変わりがないだろう。銀髪の少女の顔色は青を通り越して白色になる。
「それでは御機嫌よう」
「…っ、待ってください!」
「……え、きゃっ!」
どうにか考え直してもらうために慌ててクローディアを呼び止めようとしたのが良くなかったのだろう。それまで許しを請うために膝をついていた銀髪の少女は立ち上がる際にドレスの裾を踏んでしまい、そのままバランスを崩してクローディアの方へと思い切り転んでしまう。その結果、勢いよくクローディアの背中を突き飛ばしてしまう形となってしまった。そんな予想外のハプニングに良い意味でも悪い意味でも貴族の令嬢であるクローディアが反応することなどできず、突き飛ばされるがまま頭から地面へと強打、そのまま気を失ってしまった。これには成り行きをただ見守るだけだった周囲の貴族達も驚愕し、会場は瞬く間に騒然とした。
また当事者の一人である銀髪の少女も、自分よりも遥かに上の立場である令嬢に粗相を働くだけでなくあまつさえ、怪我までさせてしまったとこの時生きた心地はしなかっただろう。しかし結果としてこの行動のお蔭で彼女は助かったのかもしれない。