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心無き少年は悲劇を謳う  作者: 西村暗夜
序章 始まりの歌
3/29

少年は罪を切り裂く

雫から連絡があったのはほんの2分前だった。

俺は屋根の上を走っている。

体のない彼女が離れている俺に連絡ができるのは、俺と雫が繋がっているからである。

雫が心の役割を、俺が体の役割を担う事によって生きている状態なのである。つまりは一心同体ということだ。

だから彼女が思ったこと、感じた事が俺に流れてくる時もあったりする。

それを利用して俺たちは連絡をしている。

「あそこか」

俺は屋根の上で佇む雫を見つけて、声をかけた。

「待たせたな、雫」

俺が雫に話しかけると、彼女は振り返り、少し呆れたような顔をしながら、

「大丈夫だよ、むしろ早すぎるくらい」

と言った。

俺は特に伝えるべきこともないので、雫に、「そうか、なら大丈夫だな?」と、行けるかどうかの確認をした。

その質問に雫は沈黙で返す。

これは大丈夫ということで間違いはないだろう。

「なら行こう、あれはもうすぐ爆発する」

「了解」

俺たちは顔を見合わせたあと、屋根を飛び降り、男の前に立った。

「ん?なんだお前、邪魔だぞ?退けよ」

男は不機嫌そうに俺を俺を睨みながら言った。

「すまないが、少し時間いいか?」

俺が男に確認すると男は、「…ああ、いいぞ」と言った。

「浦里聡太郎で、間違いないか?」

男は俺の質問に、「ああ、間違いない」と答える。

「よし、だったら話は早い」

俺はそう言いながら、パーカーの中からナイフを二本取り出して、右手のナイフを男へと向けた。

「な、なんだよそれ?偽物だろ?」

少し怯えた顔をしながら男は俺に聞く。それを無視して俺は言葉を続けた。

「いまからお前を始末させてもらう」

そういい放ち、俺は男の喉笛を切りつけた。俺が切りつける直前、男が何かを言おうとしていたが、言葉が途中で途切れたため意味は分からなかった。

男の首から大量の血が吹き出し、男はそのまま倒れた。

数秒後、男はまるで何かに引っ張られるように起き上がり、俺を睨み付けた。

「マダ、マダタリネェ!カネダ、カネヲヨコセェ!」

壊れたように男は叫ぶ。すると男の体は黒い影に包まれ始めた。

体を包んだ影はすぐに形を変え、人の形を留めながらも、完全に人ではない形へと姿を変えた。

体は闇に包まれ、目は赤く染まり、腕は巨大になり、これもまた巨大な爪を生やしていた。

「あーあ、やっぱり欲の化身になっちゃったか…」

雫が少し残念そうに言う。

「最初からなると分かっていたんだ、そう悔しがる事はないだろ」

そう言いながら、俺は男を睨み付ける。

男だったものが動き始めたからだ。

男だったものは俺の方へと走り、大きな爪で切り裂こうとしてくる。

それを俺は横に避け、腕を切る。

「グギャ!?」

短い悲鳴のようなものを発したあと、男だったものは後ろへと飛び退く。

男だったものが動きを止める、そこに俺は2本のナイフを投げる。

ナイフは2本とも、相手の胸元に穴を空けた。

俺はすぐに相手に近づき、間合いへと入る。

「ぶっ飛べ」

俺は相手の腹を殴り、体を吹き飛ばした。

後ろへと吹き飛び、壁に衝突した相手に向かって、隠していた6本のナイフを全て投げる。

すべてのナイフが刺さり、男は完全に動かなった。

男を纏っていた影が徐々に歪んで行く。

「アア、クソッ、マダタリナカッタノニナ…」

男はそんなことを言ったあと、溶けるように消えていった。

「帰るぞ、雫」

俺が終わったという合図代わりにそう言うと、雫は俺の横に来て、

「うん、お疲れ様」

と、そう言って俺に微笑みかけてきた。

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