目論み 二項目
「彼の両親、倉崎和也と倉崎真凜はタナトス計画の業鬼を使う以前の研究、心を力に変えると言う計画の被験者だった。
心の光と影を具現化させ自らの武器とする実験、シャドウレイのな。
この実験には全部で13人の被験者が居たが、その中で確実に成功した例は4人のみだった。
まず彼の両親で2人、そして残りの2人の名前は少しこれも君には衝撃的かもしれんが、月島雁継と月島美玲、つまりは君の両親だ」
「っ!!」
あまりにもそれは唐突過ぎた。
私の忘れていた、と言うよりも記憶から消えていた2つの名前。
それが今、見知らぬ男の口から発せられた。
なぜ、両親の名前を忘れていた?
そのような疑問が頭の中を駆け巡る。
無いはずの心臓が脈を早くする、無いはずの脳が頭痛を引き起こしてゆく。
脈が早くなるにつれ呼吸も荒くなってゆく。
消えていた記憶が頭に流れ込んで行く。
「ぁ、あぁ。」
あぁ、そうだ、全部思い出した。
なんで私が体を失ったか。
なんで両親が死んでいるのか。
なんで拓也の心が無いのか。
全ての、吹き飛んだ前提が戻って行く。
「なんだ、やはり両親の記憶も失っていたか。なるほど、つまり彼らは豪鬼にやられたか、自害したかのそのどちらかと言うことになるな」
男は興味深そうにそう言いながら、コーヒーを啜った。
「まぁ、それは取り敢えず置いておいて、話を戻すぞ?
この実験の成功例であった4人は、その実験の通りに、心の光と影を具現化させる事に成功した、だがその発現の仕方が予想とは違っていた。男の場合、敵への攻撃に特化した武器と能力が2つづつ、女の場合は支援や後衛的な能力が2つづつ具現化した。
この4人の能力は男と女で共通した能力があった、男の場合は心の具現化、女の場合は他者への干渉、他は彼らの個性と言って良いような能力だったようだ。
そして、彼らは国の監視下に置かれ、様々な戦場へと向かわされていたようだな。
そして引退後、君たち2人が誕生した。
これが、シャドウレイ計画の表向きの話だ」
そこまで言うと、部屋の明るかった照明が一気に暗くなり、大きなサイレンと共に赤い照明へと変化する。
「あぁ、やっと来たか。これで面倒な話を終わらせられる」
そういうと男は立ち上がり、手に持ったコーヒーを一気に飲み干し、私の方へと歩いてきた。
「さて、君に新しい肉体をあげよう、一緒に来たまえ。まぁ、拒否権はないのだがね」
男が言い終わると同時に、私は意識を失った…




