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心無き少年は悲劇を謳う  作者: 西村暗夜
1章 凱旋の二重奏
14/29

異変の始まり

美那里の家(?)から出てすぐに、俺達は外の異変に気づいた。

ここに着いたのが朝の11時程度、その後ここに居た時間は1時間30程度のものだった。つまり今の時刻は12時半くらいと言う訳だ。

それなのに、辺りは夜のように暗く、月が出ていた。

「なんだ、これ…」

俺が空を見上げ、夜空に赤く輝く星達を見つめながら呟いたその時、地面から黒い影が浮き上がり、様々な形を成し始めた。

それは、剣の様なものや斧の様なもの、その他にも様々な近接用の武器の形を成していた。

「なっ!?」

気づいた時にはもう遅い、俺達は瞬く間に影の集団に囲まれた。

「なんなの、こいつら…?」

雫が不安そうな声で言うのを聞き、俺は雫に近づいて安心するように言う。

直後、俺達の正面に居た影達が道を作るように退いて行き、その中から一人の男が出てきた。

「クク、なんだ、まだ人間が生きていたのか」

その男はそう言うと、白髪の前髪をかき上げ、腰に着けたいかにも機械で出来ていそうな棒を右手で取り、俺達の方へと向けた。

「目標 人間、人数 ()()

男がそう言うと、機械の棒は機械音を鳴らし始めた。

すると、辺りに居た無数の影達は俺達へと襲いかかってきた。

(こいつ、雫が見えてるのか?)

そんなことを考えている隙に、影達は目前まで迫ってきており、対策を練る暇はなくなっていた。

俺は咄嗟に雫の方を向き、叫んだ。

「雫、伏せろ!」

俺が叫ぶと同時に雫が地面に伏せる。

それを確認した俺は腰のホルダーに付いている一つの玉状の物を手にとって上へと投げた。

「光れ!!」

俺がそう言うと、投げた玉から大きな光が溢れだし、影達を飲み込んだ。

「…?ああ、なるほど、対業鬼用閃光弾か…」

白髪の男が忌々しそうに言う。

対業鬼用閃光弾、軍事兵器の発明を担当していた頃の美那里が作り上げた対業鬼用の閃光弾であり、美那里の最初の開発品だ。

効果としては、投げると光が玉から溢れ出して相手を怯ませる物であり、発動すると数分間光りながら空中に停滞する。

元々は軍事用に開発される筈だったが、業鬼の発生時に使ってみたところ効果があった為に業鬼との遭遇時に使われるようになった物である。

因みに美那里の発明品は他にもあり、ほとんどが俺の戦闘に使われている。

「全く、なぜこんなものを作り出したんだ…」

白髪の男が顔を押さえながら唸るように言う。

俺は影で埋もれていた男が姿を現した瞬間が出来た事に気付き、咄嗟に男目掛けてナイフを投げる。

しかしそのナイフは男の目の前で影が変化した盾に弾かれ、何処かへと飛んでいってしまった。

「…ふん、そのような玩具では私に傷を付けることはできぬよ」

俺を睨み、男は機械の棒を振りかざす。

それに反応して、影達が俺の方目掛けて二度目の攻撃を仕掛けてくる。

「雫…!」

閃光弾の効果は既に切れ、残弾もなし。

俺が雫の居た所へ振り向くと、既に退避を済ませたらしく、雫は姿を消していた。

俺はこのピンチを切り抜ける為に、一つの切り札を切ることにした。

「吠えろ、黙示録の竜よ!!」

俺がそう叫ぶと、辺り一帯に響いた叫び声が()()()()()()()()()影達を消し去った。

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