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パワー・オブ・ザ・ワールド  作者: アカ ハル
道中
18/23

御屋敷にて

外にはツタがあちこちに絡みつき、ある部分は壁が崩れている。

リフォームしたら綺麗な赤色の屋根の屋敷なんだろうなぁ。と思いながら俺は屋敷を見上げる。

ふと、窓に何か映った気がしたが気のせいだろうか。

庭を見回すとそこら辺に花瓶や花壇が荒らされているのがわかり、ここからも異臭が漂っているのが分かる。

スタさんは思わず口を歪め、ルミゲルはもう失神しそうな勢いで白目を向いている......っていうか気絶してないんだよな? それ。大丈夫か?

そう思っていると、おじさんがその屋敷の両手びらきのドアを開ける。中に入るとこれまた薄汚く、汚れた床や壁、全体が青色に染まったロウソクの火などが俺たちを待っていた。

すぐ目の前に階段。そして右側に廊下、左側にドアが並び、階段の横にも扉があった。

「ほい。じゃあここから靴を脱いでくれ。」

そう言い靴を脱ぎ、そのまま右の方へと向かおうとするおじさん。

玄関なのであろう場所から、靴を脱いで少し高い段差に重心をかける。

ギシっ、と石のはずの床から音が鳴る。

どれほど長い時間手入れをされていないのだろうか、

途中の長い廊下では、枯れた花や草が異様な匂いを振りまき床は汚れ、窓ガラスにはヒビやカビがついていた。

「なぁ。 ここって普通にヤバくないか。」

流石に本人の目の前で言うのもアレなので 最後尾で俺はスタさんにそう耳打ちする。

「うむ。何かと変であるな。それに異臭が凄まじい。」

小声で言うスタさんの声はいつもと違い真剣になっている。

それもそうだ。俺が先ほどナビに分析してもらったところ、この屋敷にはいろんなギミックがあることが分かった。それも恐ろしく酷いものが.......




「ではお茶とか持ってくるから、待っといてくれ。」

そう言いおじさんは部屋から出た。

しかし謎の異臭や、気持ちの悪い空気はそのまま中を漂っていた。

「臭い!!こんなところにおったら儂の鼻がもげるわ!!!」

いきなりルミゲルがそう言い暴れ出した。

「まぁまぁ。ルミゲル殿。 あの人が何か飲み物でも出すそうなのでそれで我慢してください。」

「嫌じゃ!!どうせクソまずいとかめっちゃ臭い飲み物に決まっとるわい!!」

スタさんがなだめるがルミゲルは聞かずに暴れるのをやめない。

それにしても、臭すぎる。例えとかではなく本当に臭くて鼻がもげそうだ。

この屋敷にはなぜか落とし穴や迫る壁など様々なギミックがあったようだが、なんのためにあるのかは知らない。だがたまに残酷なものも混じっているので危険だ。

..........にしてもおじさんはなんでこんな危険な屋敷に住んでいるのだろうか。この村は何気に広いのだから他の住処はなかっなのか?

それだけ考えると、ふと思い出す。

「なぁ。スタさん。 ここからこの村の状況を見れるか?」

そう聞くとスタさんはニヤリと口を歪める。

「私のスキル、【千里眼】を舐めるんじゃないぞ少年。このスキルで私はここから最大でも亜の町の門まで余裕で見ることができるのだ!!さらに途中に存在する建物などの障害物は全て透けてみることができる!!」

え? マジで?

適当にスタさんに言ったことなのだが、どうやらスタさんはそれを実行する事が可能だったらしい。

.......しかし【千里眼】か......オリジナルスキルじゃないみたいだから早めに習得するのもありだな......


《.....分かりました。》



........ん? ナビ、なんか言った?


《....習得実行.....成功しました。マスターが習得を希望していたので私が代行し、スキル【千里眼】を習得しました。》


そ、そうなのか...........ん?


《なのでマスターもこれからはスキル【千里眼】を使う事が可能に》


いやちょっっっっと待って!? 整理させて!?


《......整理が出来ました。なのでマスターは》


いやいや!!そうじゃなくて!! え? 何? 俺の代わりにナビが【千里眼】を習得してくれたの?


《?......それが何か?》


いや!? その、俺が習得しなくていいの?


《私が代行したので大丈夫ですよ?》


あ、 そ、そうですか。 な、ならいいです。

なんか......ナビさんがいつの間にやら恐ろしい者になっている気がする..........っというか完全にチートじゃね?


《............何か?》


あ、いえ!!なんでもないです!!


「ではスキル発動....【千里眼】」

そう呟きスタさんが村のほうへと向く。

ついでに俺も一緒に見る。と

「ふむふむ.............む!!」

そうボソボソとぼやく隣で俺もその村の異変に気付く。

普通は村にはこんなことはあり得ない。 あったとしても、その時はとっくに(ここ)はなくなっている。

そしてスタさんは腕を組み、頬に手を当てて唸る。

俺はそれを見て理解する。

「..........成る程。 ピースが埋まった。」

そう言いスタさんは俺たちのほうへと振り向いた。そして

「ここに、」

そう呟き皆は耳をすます。

「この村に、」






「人は住んでいない。」

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