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「そういえば騎士団の奴らはどうしたんだ?」
俺が言うとスタさんは唸る。
実際、騎士団という者達はメトロドと手を組んでいることになっている。
もしここの親玉が急に消えると、騎士団の者達は親玉.....つまりはスタさんが裏切った。と切り替え、スタさんを殺しにかるだろう。そうすればなんでも屋さんという物もできなくなってしまう。........というか俺について来るのになんでも屋さんはどうするんだ?
「それなら心配ない。」
突如かけられた声に反応しその声の方へ向くと、
ここに着く前に会った騎士の男がいた。
「俺がいるから気にすることはない。」
そう言いそのまま部屋に入って来る騎士。すると
「おや? この町の騎士全ての上、つまり騎士長率直の幹部。ラグス殿ではないですか? ここに向かっておられたので?」
「「え!?」」
その言葉に思わず声が出る俺とスーリア。ルミゲルに関してはずっと唸ってばっかりで少しうるさい。
「よぉ。君たち、幹部さん仲間に引き入れたんだね。」
その柔らかい声で俺たちに手を振る。
.......あれ? あんたって上の位だったの?
《はい。マスターは分からなかったようですが、マナが微妙に体から漏れ出ていました。普通、生き物からマナはスキル以外では放出されません。しかし力の大きさやマナが通常の個体より大量に吸収できる者はあたりにマナが漏れたりすることがあります。なので私は彼が強者であるのも理解できました。 勿論ルミゲルさんも。》
「!?も、も、も、勿論じゃわい!!」
............嘘だな。
汗をかき口笛を吹くルミゲルを放置し、俺はラグスへと向く。
「だが、心配ないってのはどういうことだ?」
「それだけどね。自分って結構情報操作とかって上手いんだ。だから、この町のメトロドがやられた。っていう情報をこの町で留めて握りつぶしたんだよね。」
........普通に怖いんだが? 情報操作って結構大変なんじゃないの?なのにこんな時間の間に情報消し去るとか。
《..........それぐらい私にもできます。》
おや。ナビが対抗心を燃やすとは珍しい。
それほど感情が豊かになったってことなんだろうけど。
そのうちお前とも一緒に歩けたりすることが出来れば良いけどな。
《....................》
「流石ラグス殿。 素晴らしい判断スピードと行動力。」
スタさんがそう言いながらパチパチと拍手する。
「まぁな。 たまには友の頼みでも聞いてやろうと思ってな。」
「ほぅ。友とな? 興味深いな。」
「おっと、俺の中を覗くなよ?」
そんなことを言い、笑い合い幹部2人。
元メトロドと騎士との間の見えない絆を俺はみたような気がした。
あれから数日後。
俺たちは出発の準備をしていた。
「まぁ 後は俺に任せろ。」
ラグスがそう言っていたので俺たちは町をラグスに任せ、他の5個の都市に行くことにした。
理由としては、今のところはラグスの得意分野でメトロドの本部にバレていないようだが、そのうちバレるだろうことから、
他の都市のメトロドのアジトを殲滅させてメトロドを混乱させるためだ。
ちなみにこの町は他の5個の都市の真ん中に位置しているため、行って戻っての繰り返しのを俺たちは予定している。
ルミゲルとスタさんは俺に同行。そしてスーリアは一時は悩んでいたが、何かが吹っ切れたのかついて来ることになった。
「お嬢様。お気をつけて。」
「うん。ありがとう爺。 お土産話たくさん聞かせてあげるね。」
そんなやり取りを聞くと俺はスーリアに声を掛けて町の門へと向かう。
向かう途中では、メトロドを倒したことが知れ渡った町の住民たちから熱い応援を貰った。
ある者からは花を貰い、ある者からは告白されたりと、困ったり嬉しかったりという感情が少しは渦巻いた。
ルミゲルはちゃっかり、みんなから食べ物を貰い。
スタさんに関しては何故かおばさんやおじさんたちから声援を受け高笑いしていた。
後で聞いたが、スタさんは結構なんでも屋さんで低い値段で沢山の活動を行なっていたそうだ。
.........ってか出られなかったのにどうやって行動したのかが一番気になるのだが.........
スーリアに関しては老若男女問わず大勢の人達からいろいろと声援なり応援なりされていた。
みんなに声をかけてはかけられてと大変そうだったが、当の本人はとても嬉しかったようで 町を出る際も何回も振り向いては手を振っていた。
それほど大切な町だったんだな。と自分を考えさせた。
そして俺たちは次の都市。 アルトルードニを目指す。