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パワー・オブ・ザ・ワールド  作者: アカ ハル
亜の地の町
12/23

計画実行......からの?

それは綺麗な満月が浮かんだ真夜中だった。

ガチャリガチャリと装備した武器が音をたて、俺は町を練り歩く。....いやパトロールといったところか。

それが俺達、騎士団の仕事だったことだ。

住民に危険が迫れば命を落としてでも助ける。この世の悪を許さない。

それが騎士団の仕事。5年前までは.......

そして俺は町の中心に目を向ける。

月の逆光で鈍く輝くメトロドの本拠地.......メトロドタワーを.......


いつ見ても忌々しいと感じずにはいられない。

5年前、メトロドが現れてから騎士団は変わった。

悪を許さない筈の騎士団はメトロドに加担。

そしてそれに反逆した勇敢ある騎士は全て、騎士団を作り、騎士達にこの原則(ルール)を与えた騎士長とその部下に皆殺しにされた。

今では騎士はメトロドに反逆を企てる者への逮捕、死刑を主に行っている。

更に騎士団の者はメトロドの活動するあのメトロドタワーに近付くことを禁止している。何故かは自分にも分からないが.......何か怪しいことでもしているのだろうか.....


........正直俺は騎士でありながらメトロドを憎んでいる。

俺が騎士に入った理由は皆を守ること、そして昔助けてくれた騎士の方に恩返しをしたかったこと。だが、

騎士団は変わってしまった。

俺はそんな悪意を日々溜めながらいつものようにパトロールをする。 だがしかし メドロドに対しての反逆者がいたとしても俺は手を出さない。もしかするとその者達があの憎いメトロドの存在を消してくれるかもしれないから.....そう思い続け、今夜を迎えた俺はふと音がすることに気付く。

タッ、タッ、タッ。

音からして3人だろうか、音は近づいて来る。俺はその方向に目を向ける。すると

町の家々の屋根を走り飛び回り、大きなフードのついた布で体を隠した者が3人。屋根を伝って走っていた。俺は勿論何も言わずにただただ見つめる。その中で一番小さいであろう者に。するとその者が唐突に足を止める。

残りの2人も俺に気付き足を止め、俺に視線を向ける。

「?」

混乱する俺に小さい者は屋根から飛び降り、地に足をつけると俺に近寄って来た。

「........報告しねぇの?あんた騎士団って奴の1人なんだろ?」

高い声音にフードから飛び出るほどの髪の長さから女だとは理解できた。が口調が少し変だった。

まるで男のようだ。

それを気にしないかのようにその者は聞いたことも見たこともない蒼色の瞳で俺を見据える。

俺はその目に驚かないと思わせないように口を開く。

「報告をしてもしなくても、俺の自由だろ?」

その者は他の2人に指示を出すと走り出す2人とは別にその場にとどまった。

「.......いかねえのか?」

今度は俺が問う。

「いや。行くが、その前にお前に聞きたいことがある。」

そう言い布の中からその者は一枚の小さな紙を取り出し俺に差し出して来た。

「これはあのメトロドの本拠地の断面図だ。あんたは何か聞いてた騎士団の奴とは違う感じがする。 また会えるかもな。」

その小さい子供のような手が俺に伸びる。

受け取った紙を眺めた俺に

そう言ったその者............青髪のロングの少女は ニィ と歯を見せるとフードを深く被り2人と同じ方向に跳躍していった。

自分はあんまりに唐突な出来事だったのに対して特に驚く感じはなかった。ただ、

メトロドの本拠地へと歩む足は着実に早くなっていた。




「やはり見張りはいるなぁ。」

俺は本拠地の入り口に目を向けて呟く。

「まぁ メトロド達のアジトな訳ですから仕方ないですよ。」

スーリアが少し疲れた感じでそう言い、

ルミゲルはさっきからソワソワとしている。

俺はその入り口近くにある木の上から見張りの様子を見る。

その2人は隙一つ見せずに仁王立ちし、右手には武器を持っていた。

そもそも俺たちがここで立ち悩む理由は一つ。

めんどくさいからである。

俺たちはこの町を支配しているメドロドのボスを倒す為に計画を立てた。

基地の様子は理解しているので関係ないが、俺たちが注目したのはメトロド達の数。

奴らはこの町、そして他の5個の都市を拠点として活動している。なのでこの町もその他の町もメトロドの者達が多く居座っている。つまり 単純に人の数が多いのだ。

なのでもしメトロド達の拠点に侵入し見つかればどうなるか。

勿論仲間を呼ばれてボスを倒すどころの話ではなくなってしまう。

なのでこうして見張りの隙を見て侵入しようと考えていたが......

これがなかなか隙を作らない。

困ったものだ。元の世界の漫画の主人公とかはそれを気にせず自分の力でいろんな敵を撒き散らして無双していたのに.........

ふと思い俺は自分のオリジナルスキルを思い出す。

(パワー)自由()()()れる(キング)......このスキルはぶっちゃけ強すぎる。

今回の計画のためにルミゲルにスキルの訓練に付き合ってもらったのだが.........


「行くぞルミゲル。」

「おう。任せろ!!」

そう言い格好つけるルミゲルに俺は腕に力を込めてルミゲルに拳を叩き込む。

ポスッ

そんな音を立てて拳はルミゲルの体に当たると止まった。

「お主非力じゃのう.......」

「う、うるせぇ!!!」

哀れんで来るルミゲルを払い、俺は今度はスキルを使って拳をルミゲルに叩き込む。

だが直後。

ツルッ。

「へ?」

俺の足が泥で滑り非力なパンチになってしまった。思わず目をつぶった俺はある言葉が浮かぶ。

今度こそルミゲルに笑われてしまう!!

そう考えしっかりとルミゲルに拳が当たっているように祈り俺は目を開ける。すると

「!.........ってあれ?」

ルミゲルの姿がなかった。

あるのはルミゲルが着ていた服の一部と髪の毛が数本。

「?」

俺がそう思っていると、


《マスター。後ろに一歩下がって右に一歩ずれてください。》


「え?....あぁいいけど....なんでまt」

ナビのそんな声が聞こえ俺はナビの通りに下がる。すると

「痛いじゃろうがボケェ!!!!!」

俺の真横をルミゲルの破壊光線が通過した。

謎の爆発音を立て、光線を受けた大木が消滅し 煙が辺りを漂った。

..........え?

「痛いじゃろうが!!ユウト!!スキルの使い方がなっとらん!!!」

そう言い俺に怒鳴り散らすルミゲルに俺は答える。

「いや、ルミゲル。俺。少ししか力入ってないぞ?」

「は?」

「いや。は? じゃなくて.......」

俺はそのことを説明する。

「なるほどのう。つまり本当に力は少ししか入れれなかったと......なのに儂はあんなに飛ばされたんか.....」

「そうだよ!!ってか俺のスキルの強すぎでしょ!!それにお前なんだよさっきの破壊光線みたいなの!! 俺死ぬとこだったんだぞ!!!!」

「......」

「おい。目を逸らすな。絶対殺す気だったろ!!」

「ま、まぁスキルの使い方が分かってよかったのぉ。」

「話を変えんな!!」



という事があり、この力は強すぎて逆に使いづらいのだ。

きっと人に使うと風圧だけで死んでしまうだろう。

勿論あんな破壊光線をぶっ放すルミゲルもここに来て欲しくなかったのだが........

「嫌じゃ嫌じゃ!!儂も一緒に行きたいわい!!」

と駄々をこねてうるさかったので仕方なく連れて来た。

さて......どうしたもんか。

そう悩んだ時だった。

「ユウト。スーリア。もういいじゃろう?」

「「え?何が.......」」

と見事にハモった俺とスーリアを置いてルミゲルが木から降りた。

「「「「!?」」」」

驚愕する俺とスーリア、そして突然現れたルミゲルに驚愕する2人の門番。

そしてルミゲルは.........

「ボスを呼べ!!!!」





そう言い放ち、門番は仲間を呼ぶ笛を鳴らした。

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