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人生・日常 PART2

「碧いおもちゃ箱」シリーズでご覧下さい。

「泣いている月」


それは昔、月の綺麗な夜の事

独りぶらりと口唇(くちびる)には流行歌(はやりうた)

てくてくてくてく歩いていた

何が哀しかったわけではない

歩く度についてくる三日月を

見上げながらふと立ち止まり

私は声を殺さず泣きたかった

何故だかなぞわからないけど

心の底からなきたかったんだ








「空には月が」


悲しいことがあった夜には

空を見上げる

涙が流れる時もあるけれど

気持ちは上を向く

負けるもんかと

ひとり自分を励ましながら

明日からも日々を乗り越える

空に月と星がある限り








「ボヘミアン」


世間とやらの風が怖くて

野良猫みたいに怯えてる

人混みを避け悲しき街角

携帯(ベル)も持たずに一人きり

哀しきメロディ口ずさむ

明日は何処へ行こうか

今夜は何処で眠ろうか








「旅路にて」


旅からの帰西の折

ふと

想うのは

明日よりはまた凡々たる日常へと

帰らねばならない溜め息

されど翻れば

またいつか行く新しい旅への

始まりの一日という希望








奏鳴曲(ソナタ)


散歩の帰り道の午後五時頃

通るその家からはきまって

ピアノの音が流れ聞こえる

つたないけれど優しいそれは

モーツァルトのピアノソナタ

夕餉のにおいに混じり

風の中へと消えてゆく

つたないけれど温かいそれは

幼かった頃くりかえし奏でた

モーツァルトのピアノソナタ








「真夏の午後の情景」


雑踏の中、不意に立ち止まり

もう歩けない耐えられない

これ以上前には進めないと

目を閉じ耳を塞いでうずくま

その刹那も太陽はぎらつき

人々の波はよどむことなく

ただ私の中の狂気だけが

街の時間に取り残される

オイテイカナイデ

ワタシヲスクッテ

声にならない内なる叫びを

誰が聴き取ってくれるのか

たとえ人を殺めるに充分な

真夏の街の午後三時……








「泣かない訳」


悲しい哀しいと泣いてばかりいた

あの頃

あの人に出逢った

その人は何も言わずに

ただ髪を撫でてくれた

私はもっと泣きたくなったけれど

泣いてはいけないような気がした

そして

その日から私は

泣かなくなった








「子犬のワルツ」


子犬が尾に噛みついて

くるくるくる廻ってる

それは楽しそうに一人ステップを踏む

まだあどけない少女のワルツにも似て








「ジューン・ブライド」


六月に降る雨はどこか暖かくて

そして花嫁の涙も隠してしまう

それはこれよりの人生を占う

至福の恵みかもしれず








「負けるもんか」


なにかがどこかで怖い気がして

哀しい淋しい辛い苦しい……


でも負けたくはない生きること








「誕生日」


なんだろうこの匂い

そうだ金木犀のこの香り

この季節になれば思い出す

それはとても懐かしい

遥か昔の誕生日の記憶








「悲しき街角」


我は唯、哀しからずや

街角の人の群にも

染まず彷徨う







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