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第六話 がさつでゲッスいCちゃん 後編

「本気だねぇ、Bちゃん。お~い、みんなぁ! お菓子作りプロ級なBちゃんが、Aちゃんが今日時間までに教室に来るのに手作りスイートポテト賭けたよぉぉっ! ほら、みんな、今回の賭けはおいしいよっ!」


 すると、さらに多くの子が集ってきて、結構大規模な賭けになったの。わたし負けたら、足りない分のスイートポテト今度焼いてくるってことになっちゃってたの……。


 そう。わたし乗せられちゃったの……、Cちゃんに。だから、さっきよりも強く祈ったの。お願い、Aちゃん。なんでもいいから、とにかく間に合って、って。


 それに勝てばお菓子ざっくざっくだったし。


 賭けが急に始まって、成立するまでものの5分程度だったの。びっくりしたよ、色んな意味で。


 そのとき、廊下からいつも聞き覚えのあるドタバダ音が聞こえたの。


 やったわ。Aちゃんだ。そうに決まってる。Aちゃん今日もギリギリなんだなあ、ってわたしは思ったの。


 ドタバタ音がどんどん大きくなっていく中、時計の針が、残り1分を切ったことを示してたの。


 きわどい、とってもきわどい。わたしはそう思いながらドキドキしてたの。お願い、間に合って、って。熱くもないのに汗が出てきたし……。


 まわりのクラスメイトたちはいつもどおりだったけどね。のん気に教室の中で、結果を待ってたの。1分で終わる賭けだったし、誰もそれ以上煽ったり盛り上げたりすることはなかったの。


いつもなら煽れるだけ煽って、掛け金の釣り上げや、参加する人をとことん増やすCちゃんですら、にやにやしてその場でおとなしくしてたから。


 わたしだけかなり必死だったの。だって、負けたら、お小遣いだけじゃあ材料費足りないよぉ……、っていうことになってたから。


 するとね、音が響いたの。


 バタバタバタバタ、っていう音が急に途切れて、それで、キュリッ、ドォン! って。続いてた音が、そのちょっとおかしい音の後、完全に途切れたの。


 わたし、胸騒ぎがして、急いで外に出たの。そしたら、Aちゃんが、Aちゃんが、頭から血流して気失ってるんだもの……。


「Aちゃん、Aちゃん、ねえ……、返事してよ……。っ、……。」


 呼びかけても返事ないし、悲しくなっちゃって、わたし泣き出しちゃって。そうしたら、なかなか戻ってこないわたしの様子を見に来た他のクラスメイトが保健の先生呼んできてくれたの。


 それで、Aちゃんをわたしが保健室まで運んだの。だって、私がこんな賭け事したから、バチが当たったんだって、そう思ったから……。


 で、頭打ってるから病院まで連れていくことなったんだけど、Aちゃんのお母さんもお父さんもすぐには来れないらしかったから、わたしが付き添いで今までここにいた感じ。






 Bちゃんの話を聞き終わって、最初に私の口から出た言葉はこれだった。


「なんかいろいろ酷くない?」


 私は色んな意味で呆れた。Cちゃんには当然。そして、Bちゃんにも。


「ごめんなさい……。」


 しおらしくしてもだめだって。だって、Bちゃん賭けちゃってるじゃないの。まあ、私が間に合う方に賭けただけまだマシか……。


 私がこれだけ留年にびくびくしてるのには理由がある。理由あるなら、これに懲りてチコクしないようにしたらいいんだけれど、そんなことできるなら、そもそもこういうことにはならないよね。


 ここにきて姉の二の足を踏みたくはない。姉に続いて、二代に渡り、超レアな高校留年やらかすなんて、そんなの絶対勘弁だ!


 それが、私がやたら留年に怯える理由。


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