第五話 がさつでゲッスいCちゃん 中編
わたしは、Aちゃんが間に合うようにって祈って待ってたの。時計を見ると8時24分、だったかなあ。
するとね、Cちゃんがすんごい悪人面してこう言ったの。
「あたしゃ、Aちゃんが間に合わないにグミ一袋賭けるわぁ。」
それからは色々酷かったの。
「じゃあ、わたしもいいかしら? 間に合わないにクッキー一袋で。」
「あたしもあたしも。逆に間に合うに、昼ごはんの弁当全賭けで。」
という感じで、Cちゃんがいつもみたいに調子よく賭け始めて、周りのみんなも悪乗りしてきたの。
「あー、もう……。Aちゃんピンチなのに……。」
思わず独り言が声に出ちゃって、聞かれたかびくびくしたけど、わたし声小さいから大丈夫だったみたい。
でね、Cちゃんが聞いてきたの。
「Bちゃん、あんたどうすんのぉ?」
だから、私は迷わず言ったの。
「わたしは、Aちゃんが間に合う、に、お昼のデザートの手作りショートケーキ賭ける! Aちゃん、きっと間に合うはず。そうじゃないと、Aちゃん数学の単位危ないし……。」
ごめん、Aちゃん。Aちゃんがチコクし過ぎで留年の危機ってこと、最後に口滑らせちゃったの……。
「おいいいいいっ!」
まだBちゃんの話の途中だったが、私は思わず突っ込んだ。二重の意味で。しれっとAちゃん、賭けに乗ったこと。それも、賭けたものからして、ノリノリ。
Bちゃんは、お菓子作りすんごいうまい。その辺の店屋とかよりもおいしいくらいに。それ賭けるって、ノってないとできないよね。材料費けっこう掛かってること、私は知ってるし。
それに、何洩らしてんの、Bちゃん……。それ絶対の秘密ねって、約束したじゃん……。まあ、いいけどさ……。バレてもただ恥ずかしいだけだし。
それに留年確定したわけじゃないし……。そうだと思いたい。
不安が大きくなってきたので、私はBちゃんに尋ねた。
「私、今日の学校、出席、病欠、公欠、欠席、遅刻。どれになるの……。後ろ二つだとすんごいやばいんだけど……。」
やばい、汗がとまらない。いくらなんでも、こんな情けない最後はごめんだ。でも自分ではもはや運命は決められない。先生たちのジャッジ次第。きっとこの子はそのジャッジ知ってそうだし。
「それは大丈夫よ。心配しなくても。後で言おうと思ってたの。不安がらせちゃったみたいでごめんね……。」
そんな泣きそうな顔しなくても……。さっきも言ったけど、勝手にやらかしただけだから、私が。あれ、言ったっけ? 一応言っとこ。
「私が勝手にやらかしただけ。Bちゃんは何も悪くない。それに、たぶん、Bちゃん口添えしてくれたんでしょ。私が今日の扱い欠席や遅刻にならないように。」
「うん。でも、わたしが何も言わなくても病欠確定だったみたい。病院に運ばれること確定だったから。」
ちょっとBちゃんに元気が戻った。よかったよ。
「話の途中だったのに、思わず突っ込んじゃってごめんね。でも突っ込まずにはいられなかったから。続きお願い、Bちゃん。」