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何を踏んで私は転んだ? バナナの皮じゃあないけれど。  作者: 鯣 肴


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第四話 がさつでゲッスいCちゃん 前編

「Aちゃんまたチコクかなあ?」


 誰かがそう言ったの。


「Aちゃんチコク魔だかんね。きっと今日もギリギリ間に合うか間に合わないかだよ。だって、今日は三連休明けの初日だし。」


 そしたらCちゃんがそう答えて。


 げらげら笑っているクラスのCちゃんは放置しといて、わたしは、不安そうに外を見たの。すると、校門を潜って校舎へと入っていくAちゃんの姿が見えて、ちょっと安心した。


「ふぅ、よかった。Aちゃんこれ以上チコクしたら数学の単位、出席足りなくて私の後輩になっちゃうところだったんだから。」


 っていう長~い独り言を言ったんだけど、Cちゃんきっちり聞いてたみたいで。


「え、そんなにやばかったの、Aちゃん! 確かによくチコクしてたけどまさかこれまでとはねぇ。」


 それでCちゃんげらげら笑ってた。下品に。






 私はなんかもやもやした気分になった。Cちゃんも結構チコクするんだよね。私ほどじゃあないけど……。


 Cちゃんは、私ことAと、Bちゃんのクラスメイト。浅黒い肌で、ベトナム人の父親と日本人の母親を持つ、ハーフ。


 スタイルよくて、ボンキュッボンで、背高くて175cm越えてるけど、別にモデルとか芸能人とはやってない。


 顔つきは、美人とかわいいの中間くらい。お姉さまっていうより、お姉ちゃん、っていう感じ。左右に分け、若干前にも残した、ほんの少しだけウェイブした顔のちょい下あたりまでの長さの髪の毛。


 笑顔の破壊力が、いろいろおかしい。思わず私、初めてみたとき、ぽってなりかけた気がしたし。それに、褐色のキメ細やかな肌もそそる……、うわあ、いけないいけない。


 私はたま~に休みの日に一緒に買い物行ったりするけど、そしたら、この子ばっかりナンパとか、スカウトされまくるんだよね~。


 それだけ美形ってこと。まあ、中身は、わりと下品で、いい意味でゲッスいんだけどね。一緒に居て楽しいし。おもしろいし。


 たま~に、いや、けっこういらいらさせられることもあるけど、笑顔でわりといっつもごまかされちゃう。


 人気は、私一押しのBちゃんとどっこいどっこい。つまり、この学校の頂点なんだよなあ、人気度。


 あれ、なんで私そんな凄いやつらと一緒にいるんだろう……。自分がしょぼくてなんかイヤになってきたぞ……。


 はぁ、イヤになった。だから、きれいさっぱり私はその感情を葬った。






「あ、Aちゃん戻ってきた?」


「もう大丈夫よ、私は。」


 私は普段からわりとトリップしてしまうのだが、Bちゃんはいっつもそれが終わるのを優しく待ってくれているのだ。ほんと、ありがたい。


「ねえ、Aちゃん。怒らずに聞いてね。こっから先は、ちょっとAちゃん聞いたらいらいらするかもしれないけど、みんな悪気はないから、ねっ。」


 Bちゃんがなんか前もって謝ってから喋るとき。それは大概、私の逆鱗に触れることだったりする。今回もどうやらそうなりそうな気がする。


「ねえ、Bちゃん。私は怒ったりしないよ。気絶した私を運んでくれたBちゃんに誓って。」


 そう私が言うと、Aちゃんは安心したようだった。大きめの安心の溜息をする。その様子はなんかエロかったけれど、気のせいだと思おう。


 私に百合の素養はない……はず、と思いたい。


 あ、Bちゃんが続きを話し始めた。

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