第三話 幼なじみ兼親友Bちゃん 後編
「あっ! ってことは、Bちゃんもしかして、私が転ぶ瞬間見てた?」
なんか、恥ずかしかった。そういうつもりで言ったつもりはないんだけれど……。
「え、い、いやっ……。いや、それは見てないよ。なんかすごい音が教室の外でしたから見にきたらAちゃんが頭から血流して気失ってるんだから。とっても慌てたんだよ。」
おい、Bちゃん! 一体今何考えやがった!!! この子若干エロ頭してるのよね。きっと、こけたときにパンツ見えた、とか聞かれたのかなって思ったんだろうなあ、きっと……。
みんなは知らない。これは私だけが知ってるBちゃんの側面。
……。まあ、でも意図ちゃんと伝わってるみたいだし、まあいいや。それに、私そんなに血だらだらだったのかしら? 道理で、右手に点滴くっついてるわけだ。
あれ? 私本当に大丈夫なの? さっき調べた感じ、血出てるとしたら頭。それも後頭部だよね。あれ、私やばくね……。
点滴無くなったら、これ引っこ抜いて外出ようと思ったけど、やめとこ。とりあえず、安静にしとこ。なんかあると怖いし……。
頭の怪我って結構怖いらしいからなあ。まあ、大丈夫か。はははっ。
「あらあ。そっかあ。私さ、なんかバナナの皮でも踏んだ感じにすってん転りんしたみたいなんだけどさ。でも、踏んだ感じ、それバナナの皮じゃなかったんだよね。」
「うん? どういうことなの?」
ちょっと回りくどかったかぁ。
「いや、ね。何踏んで私は転んだのかなって。さっきからずっと考えてるんだけど全く分かんないの。Bちゃん見てない? 私が転ぶとこ。」
本当に訳がわからない。私は頭を上に向けたわけでも、視線を上へ移したわけでもない。ただ、何かを、踏んだ。バナナの皮ならぬ音を出して後ろ向きに滑っていって、すってん転りん頭打ち、となったわけだ。
そして、踏んだ物の正体を確かめずに、気絶して今病院に居る、と。
「ごめん、Aちゃん……。見てないの……。わたし、そのときは教室でみんなと、……喋ってて……。」
あれ? 最後なんで言い淀んだの、Bちゃん……。まあ今はそんなのどうでもいっか。それより、こんな反応されたら、私がBちゃんになんか悪いことでも言ってる気分になっちゃう。
「いや、いいんだって。私が勝手に転んだだけ。Bちゃん何も悪いことしてないんだから。ねっ。」
「本当に、ごめんね……。あんまり関係ないかも知れないけれど、私が倒れたAちゃん見つけたときのこと話すね。」
え、なんでそんなに溜めるの? そんなことを思いながら私は頷いた。
Bちゃんの言うとおり、全く役に立ちそうになかったが、何も思いつくわけでもないので、静かに聞くことにした。何かヒントあるかもしれないしね!
Bちゃんは私が転ぶ前後、何をしていたか話し始めた。




