解放
アラメス「着いたぞ。“生け贄の間”だ。」
雛乃は両手を左右の柱に魔術の鎖で繋がれている。
アラメス「今宵は悪魔の宴。生け贄を捧げないとならない、折り返しの新月の夜。」
京夏「今日が?」
アラメス「あぁ。あと一時間半で深夜だ。」
京夏「深夜に何かあるのか?」
アラメス「生け贄を捧げる儀式だ。」
京夏「早く雛乃を解放してくれ。」
アラメス「そうだな。“解!!”」
雛乃の両手を拘束していた鎖が消え、雛乃が横倒れた。
京夏「大丈夫か?雛乃。」
雛乃はゆっくりと目を開け、
雛乃「……ん…。ここは?」
京夏「ノーゼアクト王国という国の城の最上階だよ。」
雛乃「どうして私はここにいるの?」
京夏「…色々あってな。」
京夏は雛乃に生け贄にされていたことなど、全て話した。
雛乃「そんなことがあったのね?他のみんなは?」
京夏「そうだ!」
と思い出したように言って、
京夏「アラメス、城内の兵を利用して俺の仲間に伝言を頼めるか?」
アラメス「その前に来たようだ。」
京夏「え?」
階段から上がってくる二人の人影が…
雛乃「唯、御門さん。」
唯「雛!無事で良かった~」
悠希「京夏、雛乃はどこにいたんだ?地下の牢を探したのにいなかったから、心配したよ。」
京夏「ここにいた。」
悠希「ここに?」
京夏「ここは“生け贄の間”と呼ばれるところらしい。」
悠希「そっか。もう準備段階だったわけか…」
京夏「あと菊葉だけだが…」
雛乃「菊葉…さん?」
唯「雛を助けるために手を貸してくれた冒険者の人なんだよ。」
雛乃「みんなありがとう。」
アラメス「礼を言うのはまだ早い。事は全て解決していない。」
京夏「そうだな。」




