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三次元ゲーム  作者: 九ノ尾 イズナ
アマゾンラリー
5/7

鳥獣ハンター(仮)

「がんばるったって、どう探すんだよ…」


襟から強制的に手を離させると、俺は自分の意思で進み始めた。


さっきから鳥が羽ばたいたり猿が見えたりするが、アンドロイドのようなものは見えない。


きっとアンドロイドも本物そっくりに作ってあるのだろう。


だとしたらこれ、無理ゲーじゃね?


「うーん、きっと本物そっくりだとしたらプレイヤーに不利だよね…」


「じゃあなんだ?ゲームの主催者はただの殺人鬼か?」


「あはは~面白いこと言うね~」


けらけらと笑う晃。


殴りたい笑顔とはこの事に違いない。


あの穴に落ちた子達のことを、シアンは脱落者と言っていた。


つまり、ゲームをクリア出来なかった。


“ゲームオーバー=落”ということだろう。


「落ちたらどうなるんだろうな」


「死ぬんじゃない?」


そんな軽く言うなよ阿呆。


でも、その考えが一番有力だろう。


「はぁ…なんでこんなことにうぶぇっ」


真横から硬い物が頭を直撃する。


隣にいる奴は無傷。


晃テメェ避けただろおおおお!


「そ、宗太郎君⁈」


「っつぅ…!」


硬い物が思いっきり当たった所をさする。


血は…出てない。


良かった。


よく出血してなかったな。


『グエェェ』


なにか、聞き覚えのある呻き声が聞こえてきた。


いや、でも人間の声じゃない。


「なんだ…ってこいつかぁぁぁぁッッ‼」


声の方を向いてそこにいた生物を高々とつかみ上げる。


そいつの首に力を込め、憎しみをこめてブンブンとふってやる。


黄色いくちばしにギョロギョロした目、鳥だ。


こいつが俺の頭に突っ込んできたのは明白であり、俺がこいつを好きになれないのも明白だった。


「こんにゃろおおおおおお!!!」


「待って宗太郎君‼虐待は良く無いよ‼」


「野生でこんな脳の無い鳥に虐待もなにもあるかああああ!!今晩のおかずにしてやるううううう!!!」


矛盾、というか間違っているような言葉を吐く。


既に頭の中ではチキン南蛮や焼鳥やサムゲタンが浮かんでは消えを繰り返している。


くそう腹減った!


『グエッ…エエ…ピーッ』


「は⁈」


鳥が電子音紛いの声を出す。


それに驚いて手を離してしまい、その瞬間に鳥が手から羽ばたいてしまう。


「うわ!逃げやがった!」


ばさばさと羽音を立てながら上空に上がって行く鳥を睨みながらその後を追う。


俺の晩飯候補!逃がしてたまるか!


「どりゃあぁぁぁ!!」


体育3の足で助走をつけ、思いっきりジャンプをする。


しかし飛んだのはせいぜい15cm。


とても届く高さでは無い。


その間に鳥は俺の後ろへ飛んで行く。


「俺の晩飯いいいいいい!!」


鳥に向かって叫んだ瞬間、バキッと何かの折れる音が耳に届いた。


バキッ?


その方、鳥が飛んでいった真反対に目を向けるより先に、そちらから見せに来る。


目の前に落ちてきた巨木の枝。


そしてその上には木登りをした状態の晃。


地上から軽く10mは離れている。


「おま、なんつーとこにいるんだよ!」


「え?いやいや、意味もなしにいるわけじゃないから…っと、来たきた」


遠くを見るように手を額にかざして辺りを見ていた晃が嬉しそうに声をあげる。


晃が静かに指をさした方向には、鳥の大群がいた。


種類からしてさっきの奴と同じ。


そうか、群があったから向こうに行ったんだ。


何十何百の大群がこちらへ迫ってくる。


「お、おい、流石にやばい状況じゃないか?」


小声で呟き、迫りくる大群に冷や汗をかく。


その羽ばたいてくる鳥を見て、晃は笑った。


最初こいつはなに余裕かましてんだと言おうとしたが、大群はもう晃の目の前に迫っていた。


「あぶな…!」


バサバサと慌ただしく鳥が去って行く。


しかしまたもあいつは無傷。


しかもその手には鳥が掴まれている。


「はい、晩御飯!」


「お、おお…焼鳥食べてえ」


「あー焼鳥美味しいよねー!」


と、木の上と地上で話を交わす。


途端脳裏に『一狩行こうぜ!』の フレーズで知られるゲームを思い出し、その主人公と晃の姿が重なる。


ゲーム好きな妹に帰ったら言ってやろう。


リアルハンターを見つけたぞ、って。


眠い

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