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三次元ゲーム  作者: 九ノ尾 イズナ
アマゾンラリー
4/7

第一ステージ


幽霊?お化け?


なんにせよあれは人間じゃない。


足が無いのに立ってられる人間なんていたら、この世はどうなってるんだよ。


「は、話しかけてみなよ、宗太郎君、あ、ああいうのに強いでしょ?」


「いつそんなこと言った⁉どちらかといえば苦手なぐらいなのに‼」


妹と日本一のお化け屋敷と噂される建物に入って開始10秒で入り口から帰ってきた伝説を持つぐらいだ。


こんな状況じゃなけりゃ全力で逃げてる。


話すか話さないかの2択をぐるぐる迷っていると、あの幽霊女が音もなくこちらを向いた。


どこを向いているのかわからない真っ青な目がこちらを見つめる。


ガタガタと震える晃は使い物にならない。なるはずがない。


[高村 宗太郎サン、島田 晃サン、第一ステージへの参加は認められまシタ。ステージおよびゲームの説明をいたしマス。こちらヘ]


幽霊女が口を開けてあの声を出す。


あの声の主はこいつだったか。


「お、お前、なんなんだ?」


[質問にもお答えしマス。こちらヘ]


なにがなんでもそっちへ行かなきゃいけないみたいだ。


晃のガタガタは続いているが、そんなのどうでも良くなってきた。


ガタガタ晃を引きずりながら幽霊女の元へ歩み寄る。


こいつ背高いだけに重いなこんちくしょう。


2分足らずで幽霊女の前に辿り着く。


ぜぇぜぇと軽く息切れしていると、幽霊女は心配一つせずに話し始めた。


[まず私の自己紹介カラ。私はシアン。第一ステージ、アマゾンラリーのナビゲート役デス。]


「で、お前なんなの?」


名前と役を聞いた所でこいつの存在がわかったわけではない。


っていうか晃、流石にもうガタガタするのやめてくんない?


[シアンデス]


「名前じゃねえよ」


なんだこいつ、面倒臭えな。


[私は人工知能と人工音声のプログラム。この姿は立体映像でございマス。]


そう言って服のスカートの裾を持ち上げて礼をする。


それにつられて浅い礼を返す。


そうか、プログラムの立体映像。


納得。


こいつが幽霊女じゃなくて良かった。


「ほら、幽霊じゃねえってよ」


ガタガタガタガタし続ける晃の腕を叩いて正気を取り戻させる。


何回か叩きながらこいつはプログラムだからと言い聞かせると、やっと現実の意識を取り戻した。


「死んだお祖父ちゃんが川の向こうで手を降ってるのが見えたよ…」


「なんでだよ」


お前が死にかけてる意味がわからない。


[そろそろ良いでしょウカ…]


キョトンとした顔のシアンがこちらに声をかける。


さっきまでのガタガタはどこへやら、「結構可愛い」などとほざき始めた晃の腕を殴る。


「そろそろって、なにがだ?」


[ゲームデス]


ああ、さっき言ってたあれか。


でも本当なのか?


これが、ここがゲーム?


まさか…ゲームであの子達は落ちたのか?


「それ本当なの?」


やっと晃がシアンに向かって声をかける。


[なので説明いたしマス。まずは全体のゲーム説明カラ]


そう言ってシアンが右手を空に上げる。


するとその手の上に長方形のスクリーンが現れた。


[このゲームはメールを受け取った方のみ参加できる特別ゲーム、“三次元ゲーム”デス]


スクリーンに6枚のゲーム盤が映される。


チェス、オセロ、将棋、囲碁、人生ゲーム、スゴロク。


誰でも一度は見たことのある物ばかりである。


[ここ第一ステージはジャングルの『スゴロク』でございマス。ここでは、参加者の方々にスタンプラリーをしていただきマス。マスマスばかりでしタネ。]


てへっ、と某お菓子メーカーの舌を出し続けるキャラクターのように舌を出して見せるシアン。


恐るべし人工知能プログラム、電子だからこそできる可愛い顔だ。


「その顔可愛いね」


[お褒めに預かり光栄デス]


晃とシアンの間にほわほわした空気が流れる。


人工知能とも仲良くなるこいつは一体何者なんだ。


シアンもいつの間にか笑顔になっている。


[説明を続けマス。このジャングルの中には実際の動物では無いアンドロイドの動物が5匹いマス。その5匹全てを見つけ、既に配布しております端末に、動物のスタンプを集めてくだサイ。]


配布してある、と聞いてポケットを探る。


直接配られた記憶は無いから、きっと…


「あった」


ケータイだと思っていた端末を引き抜き、電源を付ける。


『Soutarou Koumura』


俺の名前が表示され、第一ステージのスタンプラリーに使うであろう5つのマスが出てくる。


ここにスタンプが集まるのか。


[今から2時間後、午後6時までにスタンプを集め、私の元へ帰ってきてくだサイ。尚、このゲームは2人1組ですので、1人がスタンプを見つければ、もう片方の方にもスタンプが押されマス。]


「ちょっと待て、もしかして俺の相棒って…」


[もちろん、島田 晃サマデス。]


にっこり笑顔で言われてしまう。


晃の方をこっそり見ると、同じようなニコニコ顔でこちらに手を降っている。


この面倒な奴とチーム、か。


[時間内にクリアすれば、次ステージに進めマス。これで第一ステージ、アマゾンラリーの説明は終わりデス。]


いってらっしゃい、と手を降るシアン。


行けってことだよな。


「さあ!頑張ろう宗太郎君!2時間なんてすぐだからね!」


グイグイと服…いや、襟を引っ張られて後ろに進む。


なんでこんなにテンション高いのこいつ⁈


まだシアンに聞きたいことあるんですけど⁉


「ちょ、ま、ぐ、ぐるし…うえっ」


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