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三次元ゲーム  作者: 九ノ尾 イズナ
アマゾンラリー
2/7

恐らく現実

俺は確かに学校へ行った。


極々普通の公立高校だ。


それで暇だ暇だ喚きながら廊下をウロウロしてたらメールが来たんだ。


あからさまに怪しかったけど、暇だったから一応目を通したんだ。


そしたら後ろから誰か走ってきて、ぶつかって、目の前の階段から足踏み外して、真っ逆さまにタイル張りの地面へ落下…


落下⁈


え、おれ、落ちたの⁈


階段から⁈こう、バッターンって⁈


いやありえねえだろそんな二次創作みたいな展開!


それでここ二次元で憧れのキャラクターとキャッキャウフフ……なんて雰囲気じゃねえよなこれは!


とりあえず、ここが死後の世界では無いことは確実だ。


階段から落ちただけで死ぬなんてありえないし。


だからちょっと向こうに見える川は、三途の川じゃないよな。な?


「…ふぅ」


やっと頭の中が落ち着いてきた。


俺の頭は優秀じゃないんだ、ちょっと詰め込みすぎるとぶっ壊れるから気をつけないと。


「さて、歩くか」


舗装されていない(当たり前だ)雑草やらキノコやら折れ枝やらの地面を踏み出す。


歩くだけでぱきぽきと枯れ枝が音を立て、キノコは形容し難い音を発して潰れた。靴の裏、見たくない。


でもまあ平凡な毎日より面白いものがたくさんあるから楽しいけど。


この際現実に戻るまで楽しんで…


「ウぐッ…」


「…うぐ?」


何かが呻くような声が下から聞こえてきた。


これは下から聞こえてきた声に違いない。


でもなんだろうな、凄く苦しそうな声だ。


ま、まさか土に埋まってる…⁈


と、内心「面白いもの面白いもの!」と目を輝かせながら下を向いた。


しかしそこにあったのは、自分の爪先の上に倒れている(恐らく)男子高校生だった。


なあんだ男かよ、と思うより先に足を引っ込め膝を地面につけてそいつを揺する。


なぜかって?


こいつがありえないくらい泥塗れだからだよ!


これ「泥沼入ってそのまま這い上がってきました☆」って感じだぞ、大丈夫なのかこいつ!


それに俺あの感じだと明らかに脇腹蹴っちゃってたよな!本当無事か⁈


「おい、おい起きろ!大丈夫かよ⁉」


揺すり続けること14秒。


そいつはいきなりガバッと起き上がった。


起き上がるや否やこいつは周りをぐるりと見渡し、最後に俺を見て目を見開いた。


「え、えーっと…大丈夫、か?」


「え?僕?」


男子高校生(以下男子)は案外ケロっとしており、「なにかあったの?」と言いたげな目でこちらを見ている。


え?僕?じゃねえよ、泥沼から這い上がってきましたのスタイルをかましてた奴が何を言う。


「お前、泥沼にでもハマったのか?」


単刀直入に聞いて見た。


すると男子はうーんと考え始め、最後には「まあいいや」の五文字を吐いて立ち上がった。


良くみれば泥塗れなだけで傷などは一つもついていない。


「起こしてくれてありがとね、えーっと…」


「あ、高村 宗太郎」


名前を反射的に答える。


名前がわからなくて焦ってる奴の言動なんてすぐわかる。


だからと言って年齢不詳名前不明の赤の他人に教えるのはまずかったか。


「そうか宗太郎君か。僕は島田 晃。よろしくね」


「は、はぁ、よろしく?」


この状況下のんびり自己紹介などしている場合か。


でも見たところ同い年だし、この世界を探検するには良い仲間かもしれない。


「ところで、ここどこ?」


気づくの遅えよ。



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