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恒星未来伝―Protect Your Eterein―  作者: くろめ
守るための力
54/64

その6-B 友達は大切に

 ★☆★☆★


 ――ルイに連絡が渡る数分前のこと。


「……ふむ」

「んえ、どうしたのですか、朝倉さん?」

「先ほどから資料を確認しなおしているが……やはり間違いは無さそうだ」

「ってことは……文明族エレメントは居るのですか!?」

「近頃世界各国で起きている異常気象、そして天変地異を見るに……恐らくね。断言は出来ないが」

「でも……その人たちを見つけたら、一体どうすればいいのでしょう」

「懲らしめる。それしか止める方法は無かろう」

「……かわいそうなのです」

「それにね……アルト、君も文明族の可能性があるんだよ」

「……んえ……え。え、ええええええええええええええ!?」

「そして、ベガ……同じく異星人と言われた彼もまた……」


 ――さあ、早く連絡だ。解が、見つかるかもしれんのだから……。


「宇宙人だと思ってたのです……これは大発見なのですうううう!!!」



 ☆★☆★☆


 音速で走るベガの背に乗り数十秒。既に僕らは、ちょっとした丘を登り、朝倉研究所一歩手前、あの身長以上の茂みまでたどり着いていた。「少しだけ疲れた」とベガは言い、僕は了解して、背中から降りる。

 ベガはふぅと口に出し、ふと後ろを振り返る。

「酷い雨になりそうだな……」

 その言葉に、僕は疑問符が浮かぶ。

「こっちは、こんなに晴れてるのに……?」

「見れば分かるよ、ほら」

 ベガに言われるままに、手を伸ばす方向……僕らの家の向きを見る。

「わあすっごい……」

 まず真っ先にその言葉が出るほどドス黒い雲が、僕らの町を覆っている。

「アカリたちが帰れなくなると大変だ。今は急ごう」

「うん、いろんな意味で大変だからね」

「……お前は迷惑がるなよ」

「はーい……」

 アカリが一日滞在するとなると、我が身がどうなるか分かったものではない。とはいえ今日の様子を見ると、いつもよりかは多少なりとも安全と言えるのかもしれない。でも、そんなことを我が脳内の天秤にかける理由にはなり得ない。トモリが居て、抑止力となったとしてもである。

「毛嫌いしてるのか?」

「いえ、滅相もない」

「大切な友達じゃないか。絶対に離すべきじゃないよ」

「はーい……」

 ベガって説教癖があるよなぁと、ふと感じる今日この頃。物凄い正論を放ってくるからか、逆らうことはできないし、かと言って、言葉を選んで返答するのも難しかったりもする。でも、自分を考え直す機会になるから、別に嫌というわけではない。ベガはこれを怒った表情でするでもなく、笑顔でするでもなく、無表情で言うから、何というか……ちょっとこわい。

「ほら、早く行こう」

「あ、ああ。そうだな。話し込みそうになってしまった」

 そう言って、ベガはおんぶの体勢になり、僕はその暖かい背中にしがみつく。

「あれ、ルイ。そういえば……」

「どうしたの」

「克服したのか?」

「……何を?」

「音速さ」

「あっ――」


 慣れって凄いなと思う中、ベガは再び、音速となっていくのだった。

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